第2話
懐かしい…夢を見た……。
子供の頃、クルと初めてあったときの事を……。
その日は晴れていて、父さんが森に薬草を採りに行くのに無理矢理着いていって一緒に森に出た。
しばらく森を散策して、大きな切り株の所で父さんが立ち止まり振り返る。
『薬草を採ってくるから、切り株の上で待ってなさい。』
『もしも、何かあればこれを鳴らしてお父さんを呼ぶんだぞ。』
と言われて、手のひらサイズの笛を貰って、父さんを待つことにした…。
じっとしていると小さな動物が近づいてきて、膝に乗ったり、横で寝たりしいていて……。
遊んでいると、慌てた1匹の小さな動物が近寄ってきて何かを伝えようと必死だった…。
それで……僕は、父さんの言い付けを破って、小さな動物達に着いていった……。
かなり走って息切れしながら着いていくと、木々がなぎ倒されていて、その中心に僕が生きていたなかで見たことがないほど大きな鳥が倒れていた……。
近くには、小さな動物から大きな動物……たぶん森に住む動物達が来ていたんだと思う。
大きな鳥に近づくと父さんより大きな翼が赤くなっていて怪我をしているようだった……。
大きな鳥が僕に気づいたのか睨み付けてきて、少し……いや、かなり驚いて、腰を抜かしてしまった。
でも、その大きな鳥の目をよく見ると睨み付けたのではなく、かなり弱っていた目だった……。
僕を呼んだ小さな動物はたぶん大きな鳥を助けて欲しかったんだろうが、生憎この頃はまだ回復薬を作ることができず、悩んだ結果父さんから貰った小さな笛を鳴らした。
ピィィィィーーーーーーーー………。
笛の甲高い音が森中に響き、しばらくすると父さんが走って来た…。
『何をしてるんだ!エイム。』
怒られてしまったが、父さんは周りの状況を見てすぐに察した…。
『こいつは……エイム…エイムはこの大きな鳥を助けたくて呼んだのか?』
父さんは優しい声で尋ねる。
僕はその問いに力強く頷いた。
『分かった…じゃあ、エイムも手伝ってくれ。』
父さんが持っていた籠の中から緑色の草を取り出して大きな鳥の嘴に運ぶ。
『薬草単体だと効き目が薄いし苦いだろうけど我慢してくれ。』
『……』
大きな鳥は嘴に入れられた草を食べるが、それでも怪我をしている翼からまだ血が流れている。
すると、父さんが立ち上がり…。
『エイム、少しの間ここで待っていてくれ。
大きな鳥を守ってやってくれ』
その言葉に再び力強く頷き大きな鳥に近づいて抱きしめるように守った。
暖かい羽だった……。
それを見た父さんが村?の方に走っていった。
父さんが帰ってくるのを待つ間もずっと大きな鳥から離れなかった………。
しばらくして、おでこの部分が赤くなった父さんと村の薬師のタタさんが大きな包帯を持って来た。
『これまた……大きなヘルスですね…』
『それより先生!お願いします!』
『分かってる…エイムは少し退いていてくれ…』
タタさんの言葉に従って大きな鳥から離れるとタタさんが大きな包帯で怪我をしている翼に処置した……。
『これで後は安静にしていれば、すぐに傷口も塞がって1ヵ月後にはまた飛べるようになるだろう。』
『ありがとうございます、先生!』
父さんが頭を下げたので、僕もそれを真似て頭を下げた。
すると、タタさんが慌てた声で……。
『頭を上げてくれよ!
いつも薬草を届けてくれるクリムに2度も頭を下げられたら、お師匠様に怒られちまうぜ!』
『ははは…、それでも…ありがとうございます、先生』
その後は父さんが村長に掛け合って貰って、怪我が治る間だけ村の近くに大きな鳥を避難させることになった。
そして……。
大きな鳥は怪我が治ると近くで悪さをしていた、大きな蛇の魔物を退治して村を出て森の中に住みかを作った。
僕はその大きな鳥に会うために毎日、父さんに着いていって遊んでいた。
その大きな鳥は大きさを変えて僕達の家族となって過ごしている………。
そんな懐かしい夢から覚める。
そういえば……あの時の笛……あのまま父さんから貰った後……う~ん……………どこかに隠したんだろう……。
起き上がって、横を見ると、まだカイ君とカガ君は眠っていて、窓の外はまだ暗い。
そっと扉を開けて、自分の部屋に入ると、まだクルは止まり木で寝ていたので起こさないようにゆっくりと、父さんから貰った剣を持って、裏庭まで行く……。
・
・
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裏庭に出るが、誰もいない……。
もうすぐ春なのに風が少し冷たい。
とりあえず体をほぐすために軽く準備運動をしてから、剣を持って村での日課である素振りをし始めた………。
ブン………ブン………ブン………。
剣が風を斬る音が静かな裏庭にとけ込む。
ここは、村の朝より静かで集中できる……。
何度か振っていると僕が出てきた裏庭の扉が開く音がした。
「…あら?」
まだ静かな裏庭に鈴のような声が透き通る。
僕は剣を振るのを止めて声のする方に顔を向けると…。
昨日、校舎の食堂で見た勇者様……確かシャイン様?が立っていた……彼女も冒険科なのだろうか、僕と同じ制服の色だった……。
昨日見たときも思い出せばそうだったような……。
「えっと……おはようございます?」
「…フフ…おはよう。」
挨拶をすると、何故か少し笑って挨拶を返してくれた。
「お名前を聞いてもよろしいかしら?」
「え?あっはい、僕はエイムです。
昨日来たばかりの入学生です。
……あなたは……シャイン様…ですか?」
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。
私はクレア=シャイン…別に様なんて付けなくてもいいですよ。」
そう言って、にっこり笑う。
勇者様って物語のように優しいし、笑顔が素敵な人なんだな…。
「分かりました、そうしますね。
…シャインさん。」
「フフ…そういえば、エイム君は何を何をしていましたの?」
「僕は、日課の素振りをしてました。」
そう言って僕は持っていた剣を掲げる。
そういえば、シャインさんも腰に剣を2本差している。
「そうでしたか。
では、私も横でさせていただきますね。」
「はい!どうぞ!」
「フフ…ありがとうエイム君。」
僕が素振りを再開するとしっかりと剣を振れるスペースをとってシャインさんも素振りを始める。
ブン………ブン………ブン………。
ス………ス………ス………ス………。
同じ形の剣なのに全く違う音が静かな裏庭にとけ込む。
チラッとシャインさんの方を見ると、さっきの柔らかな雰囲気が一転して真剣な眼差しで剣を振っていた。
剣は僕の目では追えないほどに早く、風を斬る音が遅れるほどだった。
僕はその剣の素振りに釘付けになったが、すぐに自分の素振りの事を思い出して再開する……。
・
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しばらく振っているとまた裏庭の扉が開く音がした。
「あら?朝から頑張っているわね。」
昨日聞いたエリさんの声だ。
僕は素振りを止めると、ちょうどシャインさんも素振りを止めた。
「「おはようございます!エリさん!」」
「フフフ、2人とも元気ね。
そろそろ、朝食の時間だから、そこのシャワー室で汗を流してきてね。」
「分かりました。」
「シャワー室?」
「?どうしたのエイム君?」
「シャワーって何ですか?」
「そういえば、教えてなかったわね。
シャワー室は簡単に言えば簡易的なお風呂場よ。」
「なるほど、分かりました。」
とりあえず、エリさんが指を指した小屋にシャインさんと一緒に向かい、中に入ると男用女用で別れており、男用に入ると合計4つの扉があった。
制服と下着を脱いで扉を開けて入ると、蛇口ではなく、長いホースに何かが付いていて、お湯と書かれたものを捻るとお湯が何かから出てきた。
なるほど、こういう物もあるのか。
・
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さっぱりした。
綺麗な制服を着て外に出るとちょうどシャインさんが出てきた。
「…さっぱりしたね、エイム君。」
「はい!気持ちよかったです!」
「フフ…。」
キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴った……。
「この時間のチャイムってなんですかね?」
「昨日来たばかりでしたね、エイム君は。
この時間ですと、起床のチャイムですね。」
「へ~…詳しいですね、シャインさん。」
「フフ…、と言いましても私はエイム君より早めの2日前にララト君に教えてもらったの。」
「へ~そうなんですか。」
ララトって…昨日シャインさんと一緒に話していた王子のどちらかかな?
「起床のチャイムは朝食のチャイムと合わせているので、校舎の食堂に行きましょ?」
「はい!」
そう言って行こうとしたが、肝心なことを忘れていた。
「あ…っと、すみません、今日は寮の食堂で食べようと思っているので行けないんでした…。」
「あら、そうでしたか……では、また今度にしましょう。」
「はい!そのときは、ぜひとも。」
そう言って僕はシャインさんと別れた。
……そういえば、クルを起こしに行かないと…。
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部屋の前まで行くと、ちょうど扉が開いてカイ君とカガ君が出てきた。
「お!早いなエイム!」
「おはよう!カイ君!カガ君!」
「む……ぉはよぅ……。」
「すまんな、エイム、こいつは朝に弱いから、食堂まで連れてってやってくれ。」
「うん!分かったよ!
でも、その前にクルを起こさないとね。」
「そうか、じゃあ!カガを頼むな。」
そう言ってカイ君は廊下に出ていった。
部屋に入ってクルを起こす。
「クル~朝だよ~」
「…クル?クル~ク♪」
「うん!おはよう!朝食に行くよ。」
「クル~♪」
「カガ君も、行くよー。」
「……ぉぶってくれぇ…」
「う~ん……分かったよ、しっかり掴まってね。
よいっしょっと…」
「…ありがとう…」
「どういたしまして、クル、行くよー。」
「クル♪」
カガ君を背負った状態で部屋を出て、階段を降りる。
……カガ君って思ってたより軽いんだな……。
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食堂に入ると、昨日エリさんがいっていた通り校舎の食堂より少ない。
「着いたか…ありがとう、エイム…降りるよ。」
「そう?分かったよ、はい。」
カガ君を降ろして校舎の食堂にもあった紙を出す箱に近づく。
クルの朝食はすぐに決まったが、校舎の食堂にあった"日替わり挑戦"が無かったので、"日替わり料理"にした……。
"今日の日替わり料理"と書かれた板に"焼き魚と玉子焼き"と書いてあった。
紙をエリさんに渡すとエリさんが奥で調理してすぐに"日替わり料理"とクルの"魔物用の料理(鳥型)"が出てきた…美味しいそうだ。
「エイムも日替わり料理か…」
「カガ君も?」
カガ君のお盆にも同じ料理が置かれていたが量が僕より少ない。
その後は人が少ないからすぐに席に着けた。
「美味しいね、この焼き魚に玉子焼き。」
「ああ、エリさんの手作りだからな。」
「クルック~♪」
「クルも美味しいって。」
「フフ、そうだろう……。
そういえば、エイム。」
「?何?カガ君?」
「エイムは私らより早く出ていたようだが、裏庭に行っていたのか?」
「うん、裏庭で素振りしてたんだ~。
そういえば、シャインさんと一緒だったよ~。」
「シャイン…ああ…今の勇者様か…。
どうだった?」
「すごかったよ!
僕には真似できない速さで剣を振っているのに音が僕と違って小さかったよ!父さんみたいだった!」
「ほぉ…、エイムの父も剣を使うのか。」
「うん!僕の剣よりも大きな剣を振っているのに、全然ぶれないんだ!
僕でもこの剣で気を抜いたら体幹が崩れちゃうのに、シャインさんは凄いな…って思ったよ!」
「そうか……そういえば、エイムは魔法は使えるのか?」
「う~ん、母さんは中位魔法?までは使えていたけど、僕は下位魔法の水と明属性しかまだ使えないよ…。」
「ほぉ…明属性か……エイムよ、少しだけ魔法がうまくなるコツを教えよう。」
「本当!ありがとうカガ君!」
「ははは、まあ、コツといってもすぐにうまくなる訳ではないから、継続してやるんだぞ?」
「うん!分かったよ!」
「よし、とりあえず、片付けてから裏庭に出よう。
ここでは、エリさんに迷惑だからな。」
「うん!…楽しみだな~。」
話している間にカガ君が朝食を食べ終わったので一緒に片付けて、裏庭まで行く……。
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裏庭は先ほどと違って明るく、芝生が朝露に濡れていた。
クルはその芝生の上に羽を休めている。
「では、コツを教えよう。」
「うん!お願いします!」
「クク…では、教えよう。
まず…エイム、これは見えるか?」
そう言ってカガ君は人差し指を出す。
「?何のこと?」
「ふむ…魔眼は無いか…。」
「魔眼?」
「ああ、魔眼と言うのは……。
要は相手の魔力の属性や量が見える眼の事だ。
まあ、他にも色々な力はあるがな。」
「へ~、カガ君はあるの?」
「ああ、もちろんだ…まあ今回は関係ない。
では、エイムは自分の魔力を体の中で循環できるか?」
「?魔法を使うんじゃないの?」
「それでは、一部の魔力しか出せず非効率だからな。」
「う~ん……………。」
「ははは…、そう考え込むな、しっかりと私が教えてやろう。
まずは、私が魔力を送るからそれを感じ取ってくれ。」
「うん!お願いします!」
カガ君が近づいて手を握る………。
すると、手のひらが暖かくなってきた。
「なにか感じたか?」
「うん!暖かくなった!」
「ならば、次はその暖かいものを探して、それを体の中で循環してみろ。」
「う~ん?分からないけどやってみる!」
暖かいもの…暖かいもの……。
………………。
・
・
・
……あ…何か全体が暖かくなってきた…。
えーっと、これを体の中で循環させる……循環…循環…。
「む?待て、エイム。」
「…?どうしたのカガ君?」
「今やっている循環は少し難易度が高いからおすすめしないぞ…。」
「?難易度が高い?でも暖かいものを感じたよ?」
「今やっているのは太陽の暖かさを自分の中で変換して魔力に変えて、循環しているから、今のエイムがやれば魔力量がエイムの魔力量の限界を超えて気絶するぞ。」
「ええ!?」
「だが、今のエイムでは厳しいがしっかりと循環ができれば有用だから、その感覚は覚えておけ。」
「うん!分かったよ。」
「だが、今はただの循環をしてみろ。
さっきの暖かいものを自分の中で探して循環させるんだ。」
「うん!」
えーと、さっきは暖かいものが全体にあったから、外の暖かいのと分けて循環……分けて…循環……分けて……。
「待て待て、エイム、それも違うぞ。」
「え?また、違うの?」
「今やっていたのは、内側と外側で循環しているぞ。」
「???」
「あ~……簡単に言えばさっきのはエイムと空気中の魔力を出し入れしていたんだ。」
「えーと、それをするとダメなの?」
「う~む…一概にダメとは言えん。
実際、魔力の放出と空気中の魔力を取り込むことは修行には使える。」
「へ~」
「ちなみに、魔力の放出は無属性の修行に使えるし、空気中の魔力を取り込むことは自然回復より効率が良い。
まあ、その感覚も覚えておいて損は無いぞ。」
「分かったよ!」
「次は循環だけを意識してみろ。」
「うん!」
循環だけ……暖かい…ものを……循環……。
あ……暖かいものが体の中で循環してるから、冬春季なのに本春季みたいに暖かい……。
・
・
・
しばらく、魔力を循環していると扉の開く音がした。
「お!ここに居たか2人とも!」
「静かにしろ、カイ。」
「ん?おお…。」
「そういえば、カガ君…これはいつまで続ければ良いの?」
「魔法がうまくなりたいなら、一生と言っても過言ではない。」
「へ~そうなんだ~。」
さっきからずっと循環しているから、少しだけ意識をそらしても乱れずに循環できるようになった。
「そういえば、いつから循環させているんだ?」
「ん?朝食が済んですぐだが?」
「おいおい…うそだろ…。」
「嘘じゃないよ~カイ君。」
「……カガ……エイムの魔力量ってどれくらいだ?」
「フフ、聞いて驚け…お前より少ないぞ。」
「嘘だろ!?」
「?」
「まあ、エイムは魔力の体内循環を無意識に体外循環と合わせてやっているから空気中に魔力がある限り止まらんぞ。」
「ええ~!?」
「あれ?また、外側と循環してたの?」
「ああ、だが問題無いぞ。
次はそれを意識してさらに早くしてみろ。
冬春季だが春夏季並みに暖かくなるぞ。」
「うん!やってみるね!」
「天才かよ……。」
「クク…そう思うだろうが、どっちかと言うと努力の賜物であり、エイムの素直な性格のお陰だろう。
お前も努力しないとエイムに追い付かれるぞ。」
「くそ~、正論だから言い返せね~。」
カイ君とカガ君は仲が良いな~……。
でも、とりあえず、今は内側と外側の循環を意識しないと……。
う~ん……少しでも集中が切れると3つの事を同時は難しいな~……。
そんな事を考えていると何かが近づいて来るのが感じ取れた……。
感じ取れたと自覚すると同時に扉が開く音がした……エリさんが服が入った籠を持って出てきた。
「あら?今日はみんな一杯頑張ってるわね。」
「エリさん、籠をお持ちします。」
いつの間にか、カガ君がエリさんの近くに居た。
「ありがとね、カガ君。」
「いえ、問題ありません。
ほいっと……。」
「フフ、カガ君の魔法は凄いわね。」
「当然ですよ、これくらい。
この籠をどこまで?」
「フフ…実はここで干すのよ。」
「そうでしたか、ではお手伝いさせていただきます。」
「ありがとね、助かるわ。」
「あ、僕も手伝います!」
「じゃあ俺も。」
「フフ、みんなありがとね。」
その後はみんなで洗濯物を干した。
…よく見れば等間隔に棒があって、紐が付いていた……確かに、ここで干したら日の光が十分あたる。
ちなみに、手伝っている間もしっかりと魔力を循環させていて、ほんの少しだけ早く循環できているような気がした。
・
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・
・
洗濯物を全部干すと裏庭の半分が埋まった。
「みんなお疲れ様ね。」
「いえ、これくらいのことなら、いつでもお呼びください。」
「フフ、頼りにしているわね。」
「僕もいつでも手伝います!」
「みんな…はぁ…元気だな……はぁ…。」
「カイ君、大丈夫?」
「あ……ああ………。」
「クク…修行が足りておらんな、相変わらず。」
「みんな仲が良いわね……。
そうだわ、はい、これ。」
突然エリさんがポケットからなにかを取り出した……。
よく見ると、緑色の鍵だった。
「?エリさん、これは?」
「私も知らないんだけど、ずっと前の管理人に受け継がれていて、良いことをした生徒に渡すように言われてるのよ。」
「へ~……なんの鍵何ですかね?」
鍵を観察するが、色以外は何の変哲もない鍵だった。
キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…
「あら、もうお昼ね。
みんな寮で食べるのかしら?」
「「「はい!」」」
「フフ…じゃあ、腕によりをかけて作るわね。」
そう言って、エリさんが寮に戻っていったので、それについていった……。
「…………。」
「なあ…カガ……知っていたのか?」
「いや?…だが、鍵については私が創ったものだ。」
「なら、教えてくれよ。」
「フフ……それは……。」
「それは……?」
「教えるわけないだろ。」
「な!?」
「それに秘密の方がいいだろ?」
「………まあ、そうだな…楽しみにしておくぜ。」
食堂に入ると、朝より人が少ない……というよりは僕達以外は誰も居なかった。
「人…居ませんね…。」
「まあ、昼食はよほど近くにいない限りは、校舎の食堂に行くやつが多いって聞くな。」
「へ~。」
「私はどんなに遠かろうとエリさんの料理を食べるがな。」
「お前の場合は、それ以外にも人が少ないからだろ…。」
「それもある。」
「とりあえず、昼食はなんにしようかな…。」
朝食は"日替わり料理"だったから、他の料理……。
う~ん……。
「悩んでいるなら、これにすると良い。」
「?分かったよ、ありがとう、カガ君。」
カガ君が勧めてくれた"グラタン(大盛)"を選んで、クルはいつも通りの"魔物用の肉(鳥型)"を選んでエリさんに渡して、しばらくすると器をミトンを使って持ってきた。
「熱いから、このミトンを使ってね。」
「分かりました。」
その後、クルのごはんも貰って席に着く。
カガ君は僕より少ない量のグラタンで、カイ君は大盛の白ごはんと大盛のハンバーグだった。
「そういえば、2人とも、このあとは用事あるか?」
「僕は特に無いよ~。」
「私も特に無いが……なんだ藪から棒に…。」
「いやなに、この学園ってめっちゃ広いから探索しないか?」
「興味あるけど……迷子にならないかな?」
「なるほど……いいだろう。
エイムよ、私はここにそこそこ詳しいから安心しろ。」
「そうなの?じゃあ、行きたい!」
「じゃあ、昼食後に探索するか!」
「うん!」
「フフ…なら、地図を渡しておくわね。」
「はい、お願いしますエリさん。」
・
・
・
・
昼食を食べ終わって、しっかりと準備してから外に出る。
カイ君はエリさんから貰った"校内地図"を開く。
「結構大きいね。」
「ああ、すまんがそっちを持ってくれ。」
「うん!分かったよ!」
僕はカイ君に言われて右側を持つ。
「今日は天気が良いから、外を探索するか。
どうせ、校内はその内行くだろうし。」
「うん!」
「ふむ…ならば、ここに行くか。」
カガ君は"庭園"を指差した。
「庭園か…良いんじゃねえか?」
「僕はどこでも良いよ!」
「ならば、決定だな。」
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・
庭園は校舎近くにあって、植物がきれいに整えられている。
「すごいね!こんなきれいな庭、初めて見たよ!」
「俺も初めてだな…。」
「ふむ…変わっておらんな…。」
「?」
そんな話をしていると向こうから人が出てきた。
「おや?君たちは……入学生かな?」
「はい!エイムです!」
「カイです。」
「……カガ…。」
「…なるほど、私はナチュア=キビトレビエント
調合の先生をしているから、気軽にキビト先生と呼んでくれ。
…それで、ここに何のようかな?」
「今、校内を少し探索してて最初にここに来ました。」
「なるほどね、ではここは私が案内しよう」
「お願いします!」
キビト先生についていくと、
庭園の奥に向かうと白い丸机と椅子があって、そこに女性が座っていた。
「急にどこかに行かないでくださいよ~。
…あれ?その子たちは冒険科の生徒ですか?」
「ええ、そうですよ。
しかも、入学生さんです。」
「そうなんですか!初めまして、キビト先生の助手のファーブ=ミントです!先生じゃないですが、気軽にミント先生って呼んでください!」
そう言ってミント先生は近づいて来た。
「はい!エイムです!よろしくお願いしますミント先生!」
「カイです。よろしくお願いします。」
「……カガ……。」
「?カガってファニス校長と同じ名前なんですね。」
そういえば、どこかで聞いたことあると思ったら、ファニス校長の名前だ。
「…ファニス校長とは関係はない。」
「そうですよ、ファニス校長には子供は居ますがもう20にもなる大人ですよ。」
「あ!そうでした!ごめんね、カガ君。」
「問題無い。」
「それなら良かった。」
「そういえば、ミント先生は何をしていたんですか?」
「今はキビト先生とここで休んでいたんです。」
「そうだったんですね。」
「そうだ!冒険科になるなら植物の知識を覚えておいて損は無いですよ!
採集依頼の優劣にも関わりますからね!」
そういえば、父さんも
『いいかエイム、冒険者は魔物の討伐依頼以外にも採集依頼もあるから、採集の技術と採集物についてしっかりと覚えるんだぞ。』
って言ってたなぁ……父さん達元気かな……。
「そうだね。
と言っても、"鑑定眼"を持っていたら覚えなくても済むけどね。」
「鑑定眼?」
「そういえば、魔眼について詳しく教えてなかったな。」
「立ち話もあれだから、椅子に座ろうか。」
キビト先生に促されて椅子に座る……あ、クッションのお陰でお尻が痛くない。
「…じゃあ、魔眼について話すか。」
「うん!」
「魔眼には色々な力があると言ったが、今の所力が判明している魔眼はそこまで多くない。」
「へ~。」
「というよりは魔眼を持っている事を隠す奴も居て、あまり表にでないだけだがな。
まあ、それは置いといて、判明している力で多いのが先ほど話に出た、鑑定眼と魔力眼だな。」
「そういえば、朝に言ってたね。
確か……魔力眼は魔力の色や量が見えるんだったよね?」
「ああ、その通りだ。
だが、魔眼と言うのは生まれ持った才能のようなものであるが、魔力眼と言うのは努力すれば、誰だって使うことができるし、実は魔力眼はエイムも持っているんだ。」
「ええ!?…あれ?でも朝は無いって言ってたよね?」
「フフ、それはな、眼に魔力を集中させる事によって見ることができるんだ。」
「眼に?どうやって?」
「それはな…。」
そう言ってカガ君は朝と同じように人差し指を立てる。
「今、私は指に魔力を送っているが見えるか?」
「???………全然見えない…。」
「なら、これならどうだ。」
そう言うと、カガ君の人差し指が光った。
「ほぉ…。」
「光った!」
「これは魔法を使ったが、さっき指に纏わせていた魔力に意味…指示を出したんだ。」
「???」
「ふむ…少し難しいか…。」
「ならば、私が説明しよう。」
頭が混乱してきたが、横からキビト先生が話しかけてくる。
「キビト先生が?えーと…お願いします!」
「フフ、よろしい。
では、まずは基本的な魔法について説明しよう。」
「?」
「魔力の事を知るには基本から学ばないとね。」
「なるほど……お願いします!」
「フフ、魔法と言うのは自身あるいは自然や魔力を持つものに対してしたいイメージを言葉で言うんだ。」
「イメージ?それに、それならカガ君は魔法を使うとき何も言ってませんよ?」
「そうだね、イメージと言うのは、例えばエイム、今から炎を頭のなかで考えてごらん。」
「?分かりました……。」
炎……木を燃やして…メラメラ燃えて……暖かい…けど危ない……。
「考えたね?」
「はい。」
「イメージって言うのは要は頭のなかで考えたことを指すんだ。
それで、カガ君はそれを言葉でなくそのまま魔力に反映させたんだ。
かなり高度な技術ということだね。」
「そうなんですか。
カガ君って凄いんだね!」
「もちろんだ。」
そう言って、カガ君は少しだけ自慢気に声が大きかった。
「それで話を戻すけど、魔力に指示を出すときにできる属性とできない属性があるだろ?」
「はい。
…僕も水と明属性以外はできません。」
「なるほど、なら、他の属性については知っているかい?」
「はい!
えーと、火、明、土、水、暗、風…ですよね。」
「ああ、それらを下位魔法と呼んで、先天的に覚えやすい属性があるんだ。
エイム君は最初に覚えた属性は明属性かな?」
「……はい…確かそのはずです。
……でも何で分かったんですか?」
「私が魔力眼を使ったからね。
実は魔力と言うのは、さっきカガ君が人差し指に魔力を纏わせたって言ってたよね。
「はい。」
「魔力自体は指示を与えずに、今エイム君がやっている魔力を身体中に循環させるだけでも、効果が出るんだ。」
「なるほど、だから体が暖かいんですね。」
「そうだね。
でも、実は今のままでは、ただ体の中にある魔力…エイム君の場合は明属性が強いから、外の明系統……空気中にある日の光や光を発するものによって変化した魔力を体の内と外で循環させているだけだから、不完全なんだ。」
「そうなんですか……。」
「それで、たまに先天的に得意な属性が無いって人が居るんだ。
まあ、その人は"無属性"…つまり身体強化魔法が使えるんだけど、今、エイム君がしている循環もそれに近いんだ。」
「?」
「ただ今のままでは明属性が混ざっていて効率が悪いけどね…。」
「明属性が混ざってる??」
なんかどんどんよく分からなくなっていく……。
僕が混乱していると、話を聞いていたカガ君が……。
「キビト先生…とりあえず、今は魔力眼の説明に戻りましょう。
別に授業で習いますから。」
「そうだったね。
ありがとう、カガ君。
…そう言うことだから、詳しく知りたいなら学園が始まってから専門の先生に聞くと良い。」
「分かりました……。」
「フフ、がっかりしなくても、しっかりと授業を受けていれば、すぐに答えにたどり着くさ。」
「…はい!」
今は分からなくても、いずれ分かるなら、楽しみに待っておこう。
……そういえば、結構、話が脱線してたんだなぁ……。
「それで、魔力眼だったね。
と言っても、すでに魔法について話したし…。
最後は、実践的な事を話そうか。」
「実践的??」
「ああ、今エイム君がやっている魔力循環で身体中に均等に分けているのを1ヵ所に集めてごらん。
もちろん、体外魔力循環は止めてね。」
「?何で、外との循環を止めるんですか?」
「そうだね……簡単に説明すると、エイム君の貯めることのできる魔力量を越えてしまうからだね。」
「……越えると…どうなるんですか?」
「最悪の場合……一時的に魔法が使えなくなったりするね。」
「!」
「まあ、死ぬことはないし、失敗する事も経験なんだから。」
失敗する事も経験………。
父さんも、たまに村に来る冒険者さん達も同じこと言ってたなぁ……。
「だから、今はとりあえず、集めてみようか。」
「はい!」
どこに集中させようかな……。
そんな事を考えていたら……。
キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…
「おや。もうこんな時間か。」
外を見るとすでに空が赤く染まっていた。
「仕方ない、エイム、カガ、帰るぞ。」
「うん…。」
「それくらいの修行なら部屋でやれば良い。」
「……うん!」
「フフ、ではエイム君が成長するのを楽しみにしておくよ。」
「頑張って下さいね、エイム君!」
「はい!今日はありがとうございました。
キビト先生!ミント先生!」
庭園を離れて、カガ君は寮に、僕とクルとカイ君は校舎に別れて向かった。
・
・
・
・
・
校舎の食堂はいつも通り生徒で一杯だった。
「今日も一杯だね。」
「ああ。」
とりあえず長い列に並ぶ………。
しばらくして、僕達の出番が来た。
今日も"日替わり挑戦"と"魔物用の肉(鳥型)"を選んで厨房に出す。
今日は何かな~。
しばらくして、お盆の上に山のように積まれた、白く柔らかい食べ物が出てきた。
「すみません、これって何て言う料理ですか?」
「ん?ああ…それは"中華まん"っていう料理だ。
熱いから、火傷するなよ。」
「"中華まん"……分かりました、ありがとうございます。」
その後、クル用のごはんを置かれて、カイ君の待つ席に急ぐ。
山のように積まれているので、持っていくのも一苦労だった…。
「今日もそれにしたのか……。」
「うん!量が多いからね。
それに朝食と昼食が少なかったから…。」
「あれで少ないのか……。
まあ、いいか…いただきます。」
「いただきます!
暖かくて、美味しい~!」
"中華まんの"大きさもなかなか大きくて、暖かいうちに食べとかないと勿体ないから、火傷に気をつけつつ急いで食べる………。
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「ごちそうさま!」
「相変わらず早いな…ごちそうさま。」
「クル~♪」
やっぱりこれくらいの量がちょうどいいかな…。
そんな事を思いながら、返却口にお盆を置いて、"挑戦報酬券"を貰った。
このペースならすぐに7枚揃いそうだ。
「じゃあ、一旦寮まで帰って休憩してから、大浴場に行くか。」
「はい!」
「にしても、今日は昨日より人が多いな…。」
「そうですね……出入口まで時間がかかりそうですね……。」
「クル~…。」
「今日の朝もそうだったが、どうやら学園の先輩達が実家から帰ってきたようだから、明日からは寮で食べるか…。」
「そうですね…こう、人が多いと、ゆっくり食べれませんから…。」
「そ…そう、だな。」
結局、食堂を出られたのは返却してから10分後の事だった……。
「あら?こんばんは、エイム君。」
「へ?あ、こんばんは、シャインさん。」
食堂を出ると今日の朝に出会ったシャインさんが居た……。
「あれ?エイム、知り合いだったのか?」
「違うよカイ君、今日の朝、偶然出会ったんだよ。」
「へ~。」
カイ君の質問に応えながら、身なりを整えながら、周りを見るとシャインさんの周りに昨日見た他国の王子様が居た…。
「シャイン、この方達は?」
「こちらの方は先ほど話していたエイム君です。
それと……すみません、あなたは……。」
「あ、いえ、こちらこそすみません、俺…じゃなかった、私はカイと申します。」
「なるほど、ではこちらも…。
私はガッド王国の第1王子のガッド=ララトです。エイム君、カイ君、よろしく。」
「あ、はい、こちらこそよろしくお願いします!」
「ああ、よろしく。」
「じゃあ、次は俺か。」
そう言って、もう1人の…リュウズ王国の王子様が口を開く…。
「俺はリュウズ王国の第1王子のリュウズ=ドラグ…。
まあ、よろしくな。」
「はい!よろしくお願いします。」
「よろしく。」
「では、私も…。
私はクレア=シャイン…シャインと呼んでください。」
「分かりました、シャイン。」
カイ君は凄いなぁ…。
僕は何て言うか憧れの勇者を呼び捨てになんかできないよ…。
そんな風に感心していると、カイ君が……。
「そういえば、シャイン達はこれから夕食か?」
「はい、ですが…。」
「かなり混んでそうだな…。」
「ああ、出るのもやっとだったぜ…。」
「そうだね、返却口からここまで時間がかかっちゃうよ。」
「クル~…。」
「ん?エイム、そのヘルスは君の使い魔かい?」
「使い魔なんかじゃないよ。
クルっていって僕の家族だよ。」
「クル♪」
「そうか、それはすまない。
にしても、立派なヘルスだな。」
「うん!
でも、初めて会ったときはもっと大きかったんだよ!」
「「「「え!?」」」」
「え?」
みんな何で驚いているんだろう?
「ヘルスが成長したら大きいと聞くが……てっきり、子供かと思ったんだが…。」
「?クルはもう大人だよ?」
昔は父さんに子供だからダメって言われたけど…。
「それよりも、夕食はどうするんですか?」
「え、ああ、そうだな…今日は寮で食べることにするかな…。」
「そうだな、明日はもう少し早く来るか…。
では、エイム、カイ、シャインまたな。」
「はい!またどこかで!」
「おう、また今度な。
って、シャインも冒険科なのか!?」
「フフフ、そうですよ。
では、寮に戻りましょうか。」
そうして、シャインさんと一緒に寮に戻る…。
帰る途中でシャインさんから聞いた話によると、
ララト様とドラグ様は特別科という特別な生まれの人が任意で選べる科目に入学するらしく、シャインさんも入ることはできるが……。
「私は世界を冒険しながら、困っている人を救う、賢者カガ様のような人を目指すために、冒険科に入学しようと思いました。
……少々、子供っぽいですが…。」
「いや、立派な考えだと思うぜ。
俺だってそんな夢があってここに入学するわけだし。」
「僕もそう思います!」
「フフフ、そうですか…そうですよね!
お2人とものおかげで自信が持てました!」
「はは、それは良かった。」
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寮に着いて、シャインさんと食堂で別れて、部屋に戻った。
「む…やっと帰ってきたか…。」
「おう!」
「お待たせカガ君!」
「かなり混んでおっただろう…クク」
「あ!その感じは…お前、知ってたな!」
「さて?なんの事やら?」
「……はぁ…まあいい、それより準備できてるな?」
「…ああ、もちろんだ。
いつでも行けるぞ。」
「なら、少し休憩してから行くか。」
「分かった。」
「…そういえば、エイム。」
「?何?カイ君?」
「クルって、どれくらい前に会ったんだ?」
「えーと、確か、僕が4歳の頃だから、6年前だね。」
「6年……出会った時はでかかったんだよな?」
「うん!」
「そうか……」
「もう休憩はいいだろ?行くぞ。」
そう言ってカガ君が立ち上がり、つられて僕達も立ち上がって部屋を出る。
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大浴場に着くと食堂ほどではないけど人が居た。
とりあえず、クルを魔物用の場所に預けて中に入る。
「こっちも人で一杯だね。」
「ああ、だがこれくらいなら全然問題ないだろ。」
「さっさと入って出るぞ。」
「そうだな。」
「うん!」
昨日と同じ通り制服を籠に入れて体をきれいに洗って、温かいお風呂に入る………気持ちいい~。
「さっぱりしたね~。」
「ああ、やっぱり大きい風呂はいいな!」
「まったくだ…。」
「クルも綺麗になったね。」
「クル~♪」
「じゃあ、帰って寝るか。」
「そうだね。」
来た道を帰って寮に戻る。
「そういえば、あまり他の冒険科の生徒と会わないね。」
まだ、2日しかここに居ないけどシャインさん以外の冒険科の生徒とは会っていない。
「そりゃあ、あれだろ。」
「?」
「たぶんだが、全員入学式まで冒険ギルドで金を稼いでるんだろ。
そういえば、エイムは冒険登録しているのか?」
「え?まだだけど…。」
「マジか……。」
「え?だって10歳では登録できないんじゃ…。」
「そりゃあ、普通はな……とりあえず、明日は登録しに行くか…。」
「???」
よく分からないけど、明日の予定が決まったようだ……。
その後は部屋に戻って、クルを止まり木で休ませて、僕も日記を書いてからベッドで休むことにする…。
やっと僕も父さんと同じ冒険者になれると思うと、少しだけ気持ちがざわざわした………。
クレア歴1380年 冬春季 28日 晴れ
今日は夢で昔の自分の思い出を振り返ることができた。
起きて裏庭に出て日課をこなしていると勇者様のシャインさんに出会った。
シャインさんの素振りは切れがあって僕より速い剣捌きだった。
朝食は寮で食べたけど校舎の食堂より暖かく感じた。
その後にカガ君が魔力循環という魔法が上手になるコツを教えてくれて、午後にはカイ君と合流して学園の中にある庭園に行った。
綺麗に整備されていて、そこでキビト先生とミント先生に出会った。
夕食は校舎の食堂で大量の中華まんを食べた。
お肉がたっぷり入っていて、とっても美味しかった。
食堂を出てすぐ、ララト様とドラグ様に出会った。
2人とも気さくな人で明るく爽やかな人だった。
明日は立派な冒険者になるために登録しに行くからとても楽しみだ。
日記の最後は少しだけ力強く書かれていた……。
魔法について
(下位) (中位)
火 炎
風 明 雷 光
暗 土 闇 泥
水 氷
(上位) (極位)
灼熱 煉獄
嵐 明光 真空 後光
暗闇 岩 暗黒 岩盤
凍結 零度
対極になっている属性(火↔️水)(明↔️暗)(風↔️土)は片方覚えると片方覚えにくいです。
他にも特殊な魔法があります。
ありがとうございました。