社会科は嫌いな科目だった
私の苦手だった科目のひとつに「社会」があった。
元々暗記が苦手なので、地理とか歴史とか「暗記力」が勝負を決めてしまうような科目では、常に敗者の立場にあった。その傾向は今でも現役である。
先日、とある銀行が飛び込み営業訪問にやってきた。
聞けば地方銀行の一つらしい。東京圏で生活している私には馴染みのない銀行名だったので、その訪問者に
「本店は何処の銀行なんです?」
と尋ねた。
「岐阜県です」
「それって、琵琶湖の近く?」
「は?」
「あ、ごめん、違った?」
「それ、滋賀です」
「岐阜と言えば?」
「高山ですね」
「奥飛騨の?」
「銀河高原ビールなんてご存じですか?」
「あれ?銀河高原って長野方面じゃ?」
だんだん話が噛みあわなくなってきた。
そりゃそうだ。東京圏で生活していても、栃木と群馬の位置関係が漸く分かった程度の私の理解力では、岐阜と滋賀の区別はわからなくても当たり前か。無理に先方さんのお話についていこうとすること自体に無理があると言うものだ。
「県の位置関係」については、全く知らないわけではない。
疑問に感じたときは、結構それなりにその都度、地図などを見ながら確認作業をしている。
でも、後日再び似たような過ちを犯してしまう。
覚える気はあるんだけど、脳が覚える気がないらしい。
何度もチェックしているのに分からない鳥取と島根の位置関係もそうだし、それより何より『とっとりけん』と漢字で書こうとして、『鳥取』なのか『取鳥』なのか分からなくなってしまうことが頻繁だものね、やだやだ。
そういや、先日は「茨城県」を「茨木県」と書いてしまって、思いっきり指摘されて恥ずかしい思いをしたっけ。いかんなぁ、ご近所なのに…。
千葉県の県庁所在地が千葉市であり、静岡県のそれが静岡市であるように、概ね県庁所在地は、「県→市」と書き換えればOKと思っていた我が少年時代。
愛知県の県庁所在地に愛知市というものがあると思っていた。そんな折に「じゃぁ名古屋は?」と突っ込まれて、本気で言葉につまった少年時代。
宮城県が九州に存在していると信じて疑わなかった少年時代。
広島と岡山の位置関係に悩んだ少年時代。
既にその時点から、行く末が暗示されていた。
地理は(も)苦手だ。
ってか、漢字力そのものが怪しい。
「短い」なんて漢字があるじゃないですか。あれ、この間はヘンとツクリを逆に書いちゃって、書いた後に「なんかへんです」と気付いたからいいものの、気が付かなかったら妙な漢字のまま書類を提出するところであった。
そんな私を見透かしてか、「じゃぁ、僕の住所を教えるよ、ヒガシキョウト…」なぁんて言ったヤツがいる。
「え?何処?」
「ひがしきょうと」
「ふぅん。そういう場所もあるのか」と書いてみたら「東京都」であることに気が付いた。
やられた。
大体、アレだよね、市町村の合併が頻繁に行われる昨今、財政的に行き詰って合併する県が今後登場するかもしれないよ。
茨城県+千葉県=ちばらぎ県
とか、
佐賀県+長崎県=さがさき県
とかね。
…いやぁ洒落にならんな。笑い話で済むことを願ってます。