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童話が変わってきていない?(ジャックと豆)

 今、突然にリクエストされて、始めから終わりまでをちゃんと話せる「童話」があるだろうか?

自問自答してみると、何とかギリギリ、日本の昔話だったら、幾つかは話せる自信があるのだけれど、これが海外モノとなると途端に自信がなくなってしまう。

私の記憶ではかなり曖昧なものがありすぎるのだ。


 何しろ、日本の昔話にしても記憶が定かではないところがあるので、まして、海外のグリムやらアンデルセンやらイソップ辺りは、どれが何かさっぱりである。ディズニーの影響もあるので、海外の童話のオリジナルがややもするとみんなディズニーと言ってしまいかねない。


 随分と前の事になるが、かの東京ディズニーランドでは「お姫様フェチ(フェス)」と言う企画があって、このテレビCMを見ていたら、シンデレラと白雪姫が両方とも画面に登場していた。両方とも正しいストーリーは知らないが、たしかシンデレラの方がオリジナルは貧乏な女の子だったと思う。(正しくは違うが)

が、テレビCMに並んでいた両者のそれは、明らかに白雪姫のほうが貧乏ったらしい服装だった。

あれ?白雪姫って、元は貧乏なお姫様だったっけか?

こんな感じだ。


余談だけど「眠れる森の美女」ってのと「白雪姫」は同一だったっけ?別物か?

「眠れる森の美女」だっけ?

「眠れぬ森の美女」だっけ?タイトルすらあやしいな。


そういや、こういう邦題で『助詞』の使い方が非常に曖昧なやつに、

「美しき青きドナウ」なのか、

「美しく青きドナウ」なのか、ってのもあるな。

所詮私の知識なんて、そんなものだ。



 昔、読んだことのある海外の童話のひとつに「ジャックと豆の木」というものがあった。記憶が正しければ、ジャックは心優しいとはいえ、ひどいヤツだった。


 ジャックと言う男の子がいた。彼は貧乏の窮地に立たされた家庭を救済するために、唯一の家畜である牛(だったと思う)を市場に売りに出かけるのだが、道すがら妙な老人と遭遇して、撒いた翌日には天に届くほどに成長すると言う不思議な豆と交換してしまうのである。

換金目的で出かけたにもかかわらず、途中で豆と交換してしまうという失態、既にお話の開始早々時点で完璧なダメダメ度を露呈する。

唯一、ここで評価されるべき点は、老人の言ったことをそのまま真に受けるという「純粋さ」であろう。


 当然、家に帰れば母親に激しく怒られる。母は怒って「こんな糞の役にも立たない豆なんかと、大切な牛を交換してしまうなんて!」と言ったかどうかは分からないが、豆を庭の外へ捨ててしまう(そりゃ、当然だよね)。「もう、お前は夕飯抜き!」ジャックは空腹で床につく他ないが、何故母が怒ったのか理解できなかったという。ジャック大丈夫か。


しかし、異変が起きる。腹を立てた母が庭に捨てた豆、翌朝にはとんでもなく成長していたのである。

で、その豆の木を伝って天に上ったジャックは大男モンスターの住処に到着する。その大男は金貨の袋を持っていて、ジャックはそれを盗んで帰宅。母親に喜ばれて、前日の行いは免責。母はちゃっかりしていた。


 だが、盗んだ金貨も日が経てば底を付く。何しろ働かない一家なのだから無理もない。そこで、ジャックは再び豆を撒いて天に上る。今度は大男宅より、金の卵を産む鶏を盗んでくる。盗っ人ジャック。


 2度の盗みに成功して、いい気になったジャック、3度目には不思議なハープを盗んでくる・・・のだけど、さすがにそこは3度目、大男に見つかってしまい、ジャック必死に逃げるの図だ。大男も豆の木を伝ってジャックを追いかけて降りてくる。


 先に降り立ったジャックは母親と共謀して、豆の木をなたでなぎ倒す。その結果、大男は転落死。


たまんないのは大男の方ではなかったか。。


で、その後ジャックは母親と何時までも幸せに暮らしました・・・とさ。



ええ~っ!?

少年当時の私は腑に落ちなかった。

幸せって、一体何なのだろう?




さて、この童話が私たちに示してくれた教訓とは、一体何だったのか?

(いや、教訓を期待してはいけなかったか?)


これに対して、私の立てた仮説は


1.何はともあれ、人の言う事に何の疑いもなく素直に聞いていれば幸せになる。

2.何はともあれ、母親を第一義に考えよ。

3.自分に何の危害も加えない生き物であっても、形相が恐ろしければ悪である。

4.盗めるところからは徹底的に盗め。

5.心優しき者であっても、時に貪欲になれ。


以上だ。




今回、不意に思い出してしまったので、思い出しついでに書店で復習を試みた。ら、読んでみてびっくりした。


なんと、ジャックは幼少期に大男にお父さんを殺されていたという。

ジャックにそんな暗い過去があったとは知らなかった。


私は、現在書店で並んでいるこの本を読んで、何となく胸がスッキリすると同時に、何となく童話が月日を経て改ざんされているような黒いものを感じた。昔からこんなストーリーだったっけ?


となると、今後も変更されては「ジャックと豆の木」は進化していくに違いない。


子供の体力低下が叫ばれる昨今、樹木に登るなどと言うことは非現実的とされて、「豆の木」はそのうち、「豆の階段」になり、「豆のエスカレーター」になってしまうかも知んない。


「ジャック」の名前が売れると、「ジャック」以外の名前を推奨する市民団体(そんなのいるか?)辺りから、「もっと平等に、他の人名も採用するように!」なぁんて働きかけがきて、今度は男性名ではなくて女性名の「ジル」なんてなってしまうかも知んない。


「豆」についても同様の事が懸念される。この話を通じて「豆」のステータスが上昇することで、他の農産物の知名度とのバランスを取る観点から、農業委員会辺りから「豆」以外の種子を推奨するように!と、圧力がかかって「胡桃」になってしまうかも知んない。


こうして「ジャックと豆の木」が「ジルとくるみのエスカレーター」に変わってしまう日も、そんなに遠くないね。

なんか、このタイトルだと「萌え」系ノベルスみたいだな。


こうなりゃ「エスカレーター」よりも「エスカレーション」にした方がぐっと引き締まるよね。


「ジルとくる美のエスカレーション」とか。


萌え萌えだねー。

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