ダジャレ少年
先日、電車の中で遠足らしき小学生の一団と一緒になってしまった。
賑やかと言うよりも、もはやうるさい状況。私は自然体を維持しようと頑張ったけど、天を仰いで大きく深呼吸するほか手立てが浮かばなかった。いやはや、ホントに元気な集団でした。
中でもとりわけ元気な男の子がいた。車中の音は殆どその子の声だと言ってもいいくらい。
「サルがさる(去る)!」
と、吼えている。
「どう?、サルがさるっ!」
その子は友達に向かって、考え浮かんだダジャレを披露している。
あーっ、寒い。。
そう思う私を無視し、彼は吼えまくる。
「サルがさる!」
同席してた女の子がその子をたしなめた。
これもまた声がでかい。
「わかったよ! あー、もう、うるさいなぁ」
「サルがさるーー!!」
たしなめられようがどうしようが、男の子はその駄洒落をひたすらに繰り返す。
私は段々イライラしてきた。
「サルがさるっ!!!!」
「サールがぁ、さるっ!!!!」
<イライライライラ…>
「サルがぁぁぁぁ、さるっ!」
言い方をどんなに変えたって言ってることは同じだし。
「サールがっ・・・さぁるぅぅぅ。」
(あのね。)
あまりにも繰り返しが激しくて、んなのずーっと耳にしていたら、私のイライラは何故かピークを過ぎちまったよ。不思議なもんですな。
繰り返しの魔術かも。
「サルぅがっ・・・さーるーーーーっ!」
(やれやれ…)
と、思っていたら男の子はいきなり切り替えしてきた。
「猫が寝込んだ!」
(ぷっ)
いかん、ウケちまった。
すると今度は、男の子は怒涛の駄洒落攻撃を始めた。
「イルカは居るか?」
「犬は居ぬ!」
「鹿しか居ないねぇ!」
「象だぞー!」
「サイはダサーい!」
も、もしかすると、彼はかなりの才能持ちなのかもしれない。
いつの間にか車中は笑い声でいっぱいになってた。
ダジャレってさ、たのめ~るじゃないけど、ひとつふたつ程度じゃ寒いが連打されると温まるよね!
・・・(ならんて)。