担々麺の食べ方を工夫しよう
「今日は寒いから身体の内側から温めるお昼にしましょう。」
そう決めて『坦々麺』を食べようと中華料理屋さんに足を運びました。
注文してから待つこと数分。
赤々としたスープの、いかにも効きそうなのがやってきましたよ。
(よしっ、こいつにコショウをかけて更にレベルUPだ!)
私は、醤油やら、お酢やら、ラー油やらが置いてあるトレーからコショウと思しき小瓶を無造作に取り上げ、鼻歌交じりに『パッパッ!』っとやりました。
『ぱかっ!』とフタが外れました。
『どばっ!』っと大量の胡椒が…ではなく、大量のつまようじが担々麺の上に散乱しました。
なんと。
このとき、「間違えちゃった、てへっ」とか何とか言ってしまえば、周りにちょっとした笑いを提供するくらいで場は収まった筈。
でもそれができなかった。
私はその変わり果てたどんぶりを見て、言葉を失い、でも、この場を何とか取り繕わねばと焦りが体を硬直させた。
だが、ぶざまな姿を晒すわけにはいかない。私は全力でポーカーフェイスを保った。
よせばいいのに、何食わぬ顔して更にその上に「お酢」をかけ、さも「つまようじを振り撒いたのは必然である」と言わんがばかりの演技を施し、箸でつまようじを「どけながら」坦々麺を食べ始めた。
撒いてしまったつまようじを「取り出す」のではなく「浮かばせたまま」食べる。何たる奇策。
周りは奇怪な目線と表情を私に送ってきている(に違いない)。
店員さんが、お茶を足しに来つつ「大丈夫ですか?」と聞いてくるかもしれない。
そしたらどう返答しよう?
「あ、おかまいなく。考案中の『充実した食べ方』を実践中ですので(ピース)。」っとか言うことにしようか。
ドキドキしながら完食した。
結局、店員さんは来なかった。
周囲の視線はちょっと感じたが、幸いクスクスしている人はいなかったので、ポーカーフェイスの勝利ということにしようと思ってます。
いろんな汗をかきました。
へんに身体が熱くなりました。