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病院のおっかない先生

どこにでも、優しい人とおっかない人がいる。

おっかない人はいない方がいいと思うけど、やはり必要であるということも頷ける。


先般、ある方をお見舞いに病院に出掛けたときのこと。

面会予定時刻よりも早く着いてしまった私、当人は検査室の方へ行ってしまっているのであろうか、不在だったため、ぶらぶらと付近を徘徊してみた。

小児病棟の辺りに足が向いたとき、廊下の向こうから、若い看護婦さんを二人ほど連れて、メガネをかけたとっても怖そうな髪型七三分の先生がやってきた。

私の数メートル先で、病室に入るや否や、その先生が一喝した。


「おい!婦長は何処だ!この部屋に担当医が一人も付いていないじゃないかっ!」


その声を聞き届けたのか、婦長らしき方が走ってきて

「すみません、今、ドレーンを取りに出たところなんです」

「そういうときには別の看護婦をここに張り付かせなくちゃだめだろうが!」


数秒後、その担当医がドレーンを持って入室。

「何処行ってんだ!」

「申し訳ございません」


僅か数十秒間、しかも、中の患者の一人にドレーンが必要な状況が出たのであろう。その場所までは数十秒あれば行って帰ってこれる距離だったようだ。しかし、その先生は許してはくれなかった。


怖いが、多分その先生の言っていることが正しいのだろう。


そして、廊下を挟んで別の病室へ先生は移動する。

既に、その病室はそんなこんなで空気がぴりぴりしている。


私は、そーっと、その部屋を覗き込んだ。

部外者の私が、そんなところをうろついているのをその先生が知ったら、私に何て言うか分かったものじゃない。でも、その先生のその後の行動が気になって仕方なかった。


先生は小さな女の子のベッドのところへ行った。

その子のお腹を出しながら、二人の看護婦さんに

「触れてみろ!」

という。

看護婦さんはそれに従う。

「この場合はどうする?」

問題が投げかけられた。

二人はしどろもどろに答えをするが、先生は

「え?なに!?きこえねぇよ!」

と煽る。

「○○です、△□の対処をするのがいいと思います」

「バカヤロ。ちがうだろ、これはこうでこうするんだ!」

「はい!」

「しっかりしろよ!」


ぴりぴりした空気はその患者の女の子にまで伝わってしまったようだ。

とうとう女の子は泣き出してしまった。

「おいおい、泣いちゃったらこまるなぁ…」

その先生はそう言いながら看護婦さんに言う、

「泣いてしまうと正しい判断が鈍るから、こういう場合はちゃんとあやさないといけないぞ!」

と言いながら、女の子に向かって

「よしよし、こわくないぞーっ!」

笑って「いない」目で語りかけた。


それ怖い。


女の子は泣き止んだ。

恐怖心がその子を凍らせてしまったのかもしれない。



「な?ちゃんとあやせば、通じるんだ!」



私は、この先生のクランケにはなりたくないと思いました。

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