バイオリンとフィドル
オーケストラなどで言うところの「ヴァイオリン(バイオリン)」。一方、カントリー・ソングのジャンルには「フィドル」というのがあります。その昔、私はてっきり「形は同じだけど、似て否なるもの」と思ってました。
ヴァイオリンとフィドルは「同じもの」と知った時はそりゃもう驚いたのなんのって。
心の中で「そうだったのかーっ!」とお恥ずかしながら吼えました。
で、二者の構造は全く同じ(チューニングはどうかわかんないけど)で、クラシックで演奏するものがヴァイオリン(イタリア語)、カントリー・ソングに拘らず民俗音楽で演奏するものがフィドル(英語)と定義されてるらしい。
もっとも、「ヴァイオリンは歌い、フィドルは踊る」という名言もあるようで、なるほどこう考えてくると、「似て否なるもの」というのも「当たらずとも遠からず」ってとこか。
ヴァイオリンを弾く人をヴァイオリニストと言いますよね。一方、フィドルの場合はフィドラーだ。方や「イスト」、もう片方は「ラー」だ。これだけでもかなりの違いがある。吉永小百合さんと、安室奈美恵さんの違いくらいだ(古い例えで恐縮です)。
「イスト」が付くと独裁者なイメージがきますけど、「ラー」が付くとモンスターなイメージがきます。どっちもお互いに歩み寄ろうとしない力強さを感じます。
で、その他に区別方法には以下のようなこともあるようなんです。
楽譜通りに正しく弾いても音楽にならないのがヴァイオリン
楽譜を無視して弾いても音楽になるのがフィドル(そうなんか?)
下手なヴァイオリニストは無視される
下手なフィドラーは袋叩きにされる(そうなんかー)
ヴァイオリニストはそっと音を出す
フィドラーはいきなり突拍子もない音を出す(わかる)
ヴァイオリンの上手な人は正しい運指をマスターしている
フィドルが上手な人は無茶苦茶の運指で正しく弾ける(なんかすごい)
ヴァイオリニストは演奏会が終わってから酒を飲む
フィドラーは演奏前、演奏中、演奏後に酒を飲む(さらにすごい)
ヴァイオリニストは楽譜がないと困る
フィドラーは楽譜があると困る(そんなこと無いよねー)
ヴァイオリニストは演奏家である
フィドラーは作曲家である(ほほー。)
なんか、こうして俯瞰すると、世の中誤解もかなりあるようだ。
フィドルを誤解していたのは私だけではなかったようだ。
それがわかっただけでもちょっと安心しました。