近所の酒屋でなにがし
先日、お家に帰る道すがら、いつもの酒屋に顔を出してみましたら、試飲会が開かれてました。試飲会ったって、そのお店の夫婦にお客一人が盛り上がってるという図だったんですが。ってか、その一人客が試飲で酔っ払って出来上がっていたんですね。そこに私が混ざる展開になったんです。要するに二人の客による試飲会。間違いなく採算アウトでしょ。
飲んだお酒は『雪の茅舎』の山廃と(あと忘れた…(笑))。山廃って、基本クセがあるから僕個人としてはあまり得意ではないんです。もっとも、そういうクセを好んで飲まれる方もいらっしゃるから、山廃をどうこう言おうとは思いませんよ。そうねぇ、シングルモルト・ウィスキーで例えるならアイラ(Isley)みたいなもんです。好きな人は好きだもんね、アイラ。(僕、苦手だけど…w)
で、雪の何某、飲んだら意外とクセがない。
「ん? これ、すっきり飲めますね、悪くないです。」
と言ったら、先客が
「え? そうですかぁ? 物足りないですよ~。」
と絡んできた。
…上等だ。
「いや、私は、山廃は得意じゃないもんですから。。今まで飲んできて、飲めた山廃ってほんと、少ないんです。」
と、軽くいなしたつもりが、この発言に店主が絡んできた
「じゃ、お客さんが今まで飲んだ山廃の中で、飲めたのって、何なんですか?」
「えーっと、、そうね、例えば、『末廣』の山廃ですが。。」
そう答えたところ、店主と先客が目を合わせて「ああ~、なるほど~!」と応答。
なんか、この場にいる民は飲んべえだと改めて実感。ってか、酒屋だし。
主人「わかりますよ、そのご意見」
先客「あれは山廃じゃないもんね~」
私「ですから、基本、山廃は苦手なんですって、その中でも飲めるのってのは、そういうことなんですよーい。」
先客「苦手なのはわかるけど、慣れると乙ですよ~」
(慣れたくねぇし…。)
くそう、やな客だな~、などと思いつつ、ふと、商品陳列棚を見ると、意外な品があることに気が付いた私。
「え!?」
私の好きな日本酒って結構ありますけど、その一本に『会津中将』というのがあります。文字通り福島は会津のお酒。今から何年か前にその蔵に行った時、そのめっさ美味い味わい、余韻の素晴らしさに一気にファンになりましたのよさ。母と娘で蔵を守っているというつましさもぐっときた。その蔵はそんなに大きくないから作られる量が少なくてね。中々東京では入手困難な酒のひとつだったんです。(もっとも、通販でゲットする手立てはあるんですがね)…
それが置いてあったんですよ。
私「店主!、この店、前から『中将さん』置いてありましたっけ?」
店主「い、いえ、今回初めてなんですよ、ちょっとご縁がありまして。って、お客さん『会津中将』ご存じで?」
私「そりゃもう! 僕の好きな酒のトップ10にカウントしちゃいます。『中将』なら大概好きです。第一、蔵の姿勢がいい!女杜氏とはいえ、その逆境を跳ね返す意識が高い。新酒も純米も吟醸もひやおろしもみんないいですよ。…決めた。これ下さい。」
散々っぱら試飲して、違う銘柄のお酒を買う。まぁ、よくある話だ(笑)。
レジをしているとき、先客がおもむろに会津中将を手にした。
先客「ぼくも、これ、買おうかな。。」
私「あ、でもそれ、私の先入観かもしれないですよ、のせられないでくださいね!」
先客「大丈夫です、ぼくまだこれ、飲んだことないし、とにかく飲んでみなくちゃわかんないし」
そりゃそうだ。でもね、先客君、君は良いお酒の出会いをしたと思うよ!
などと心の中でほくそ笑む私がいましたとさ。