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おでん屋さんにて

どうも腹が減っているときってのは短気になりやすいもんです。気をつけなきゃいけません。


お昼休みに「おでん定食」を食べに行きましたのさ。

そこは中々人気のお店ですから結構込み合ってます。私はお昼はいつも一人で食べるんで、相席になってしまうことは最初から覚悟の上だったんですが、今回の相席はかなりでした。




相席になった4人掛けのテーブルに来た男女ペア。先輩後輩的な関係らしい風。

女「わたしね、しじみとあさりの味噌汁の区別がつかないの。」

男「あははは、君、かわいいね!」

手元にあるお茶をぶっかけてやろうかと思った。



隣のテーブルには、女子大生か女子社員ビギナーらしき3人組。

女1「このお店来たくて来たくてキリン待ちしてたー!」

女2「へぇー、…ほら来たよ、おでん定。」

(店員運んでくる)

女1「きゃぁ、これ、ヤバくね?」

女3「うーわ激ヤバっ、しみしみ~!(味・色がしみ込んでいるの略みたい)」

(店員怪訝そうな視線を振りながら去っていく)

女2「ヤバいわこれ撮っちゃおうっ(スマホっ)。ヤバっ、アップしちゃうかも。」

女1「日本酒なんかあったらヤバヤバだよねー。(七味ふりかけて)ヤバーっ」

女3「七味ヤバーっ!」

女2「ヤバいよ、ここのおでんマジヤバーっ!」

どうにかならんかこのヤバチーム。



唯一、静かに食していたのは私の目の前に座っている職業不詳の女性だけだった。

赤いブレザーに黒のベレー帽、片手に何かの美術系リーフレットのようなもの。

静かに豆腐を食しておられた。「目立ち度」は群を抜いてるが。



そんな訳で、なるべく周りに目線や耳を向けることの無いようにして一心不乱に「おでん定食」を食べることを決意した私。(意識してたら気になって気になって飯も喉通らん)


「すんません、山椒ください。」と、店員さんに声をかけ、

「…はいどうぞ!」と奥の方から山椒の入った小瓶を持ってきていただく。

「ありがとう。」(ぱっぱっぱっ!)


お味噌汁とか豆腐とかのおでんネタに山椒をかけるのが、私、大好きでしてね。

いつもの調子でそうやって食べ始めましたのさ。



女1「あ、私にも山椒くださーい」と店員を呼びつける。


ベレー帽、私の置いた山椒の小瓶をおもむろに掴んで自分の豆腐にも振りかけ始めた。


あさりしじみペアの女性の方「おでんに山椒っておいしそう。」とか言い出す。。



(まねっこするなよぉ。)

と無言で語る私は心が狭い。

じゃあ、こんなことはやれねぇだろーとばかりに、おでん皿を掴み上げ、残りのネタとタレをダイレクトにご飯にかけて「さらさら~っ」と食べてみた。



女1と女2、しじみあさりペアの男の方が見事にそれをコピーした。



なんだ、みんな、自分たちだけの世界のふりして、周り見てるんやん。

なーんだなんだ、へへんだ、ぷっ。


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