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料理は大事です!

 間違いなく、未紀が来てからというもの、俺の生活は良い方に向かっている。親から振り込まれたお金で一緒に買い物に出かけ、野菜や肉を買ったりした。驚くことに、未紀は料理が上手い。カップ麺ばかりだった俺の食事に久しぶりの手料理は刺激的なものだった。


「こんなに手料理って旨いものなんだな!」


「作り方教えてあげる。これからは自分で作れるようにならないとダメだよ、お父さん」


「えー、どうして? 未紀の方が料理上手なんだし、未紀が作ってよ」


「もう、子供みたいなこと言わないの!」


 怒られた。料理なんてロクに作ったことのない俺に出来るんだろうか。


「これからは稽古付けるからね」


「トホホ……」


 それからと言うもの、俺は未紀から料理を習うことになった。


「いい? 料理は生きていくうえでの源なんだよ。ちゃんとしたご飯を食べればすべてが上手く行くの」


「いやいや、そんなわけないだろ」


 未紀の教え方はとても分かりやすかった。そのおかげか、1ヶ月が経つ頃には一人でも作れるようになっていた。


「うん。お父さんの作ったご飯、美味しいよ」


 なんてにっこり笑ってみせた。まるで天使。


「そう言われると照れるなあ。でも良かった。未紀のおかげだよ」


「そうでしょう? これからは一人でも大丈夫だよね」


 一人でも大丈夫。このときは料理を作ることだと思っていた。


 俺は、父親ってこともあるしカッコ付けて


「大丈夫だ」


と返事をした。


 お皿を片付けて、歯を磨き、いつものように、未紀と一緒に眠った。微睡みの中、額に柔らかな唇が触れたような気がした。


 目を開こうか迷ったけど、眠気の誘惑には勝てず、そのまま眠ることにしたんだ。



 朝。


 いつも居るはずの未紀が部屋に居ない。買い物にでも出掛けたのかなと思い、しばらく待ってみたけれど一向に帰ってくる様子はない。


 一体どうしたと言うのだろう。心配になった俺は警察に連絡しようか迷った。でも、こんな大学生が少女とどんな関係か問われても困るし、親子だって言っても信じてもらえないだろう。


 頼れるのは自分しか居ない。俺はすぐさまアパートから飛び出して、近所を探しまわる。大学内、スーパーマーケット、一緒に出掛けたところには一通り探したけど見つからない。


 これからは一人でも大丈夫だよね。


 昨夜、未紀が言ったことが頭を過る。まさか、未紀は未来に帰ってしまったと言うのか?


 そんな、さよならも言わずに行くなんて……。


 きっと、どっかに出掛けて道に迷ってしまったんだ。俺は電車に乗って隣町まで探し向かう。



 終電の時間まで必死に探しまわった。もう足はくたくた、こんなに運動したのは初めてかもしれない。


「未紀、一体どこに行ってしまったんだよ……」


 誘拐だとしたらどうしよう。未紀は可愛いしありえないことではない。もう怪しまれようと、未紀が無事なら構わない。警察に連絡することにしよう……。



 あれから数ヶ月経ったが、未だに何の手掛かりもない。警察に話した時は怪しまれたが、俺の必死な様子を汲み取ってもらえたようで、どうにか調べてくれた。


 未紀が居てくれた日常を振り返ると、あれは幸せな夢だったんじゃないかって思うようになってきた。未来から娘が来るなんて漫画じゃあるまいし。


 今日も俺は大学に通う。朝起きるのは辛いけど、教えてもらった料理を食べたらなんだか上手く行くんじゃないかなって思うんだ。

これにて完結です。読んでいただきありがとうございました。


好評なら少し掘り下げた話でも書こうかなと思います。

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