迷い
「体調どう?今日はご飯どうする?」
あれから1週間経った。
そういえば、体調悪いことになってたんだったな。
「うん。行く行く。」
「良かった。よし、行こう。」
何週間も行かないと気まづくなるからしょうがなく行くことにした。
「体調良くなったなら早く答え出しなよね」
と優子が小声で伝えてきた。
そう言って他の4人は全て知っているかのように先に行ってしまった。
「ごめんね、小春。」
「言ったんだ。」
「え?何を?」
「告白したこと。」
「言ってないよ。」
「ふーん、そっか。」
話切らしちゃった。
「あのさ、ごめんね、先週ご飯来なかったの俺のせいだよね。
でも、今日来てくれて本当に嬉しいっていうか安心した。残り少ない大学生活だし、そこは今まで通りにしたい。」
意外と悩ませちゃってたんだな。
「こちらこそ気を遣わせちゃってごめんね。返事なんだけどさ、」
「ちょっと待って。」
せっかく断ろうとしたのに止められた。でも少し安心してる自分にがっかりする。
「返事はもう少し待ってほしい。」
そこでもう一度返事を伝えようとする勇気はなかった。
「わかった。みんなのところ先に行っててもらっていいかな。」
「わかった。」
どうして自分にはきちんと振る勇気ってもんがないんだろ。
本当に嫌になる。
香川のこともまだ好きになれるか分からなくて、そこは意地になってる部分もあるけどさ。
こっちくらいは話終わらせないといけないのに。
今までなら振る必要もない人を振ったりはしなかった。
面倒くさい。宇佐美と付き合おうかな。
最後の学生生活、誕生日もクリスマスも一人は寂しいしまぁ就職していい人見つかったら別れればいいしね。
そうだよ、今まで通り。それでいいじゃないか。
何が、俺を好きにさせてみせる、だよ。
連絡先教えてやったのに一個も寄越さないじゃん。
本当にムカつくのに、毎日スマホ確認してる自分もいる。
忘れられない、あの吸い込まれるような視線も柔らかそうな唇も底意地悪そうなあの笑顔も。
どうしてくれるのよ、好きになっちゃうじゃないか。
本当に頭おかしくなって来た。
「おい、大丈夫か。」
ほらね、本当にタイミング悪い。
「誰のせいだと思ってるのよ。」
「俺のことで悩むなんて、そうかそうか。」
「別にそんなんじゃない。」
「じゃあ連絡も来ないし、連絡先消そうかな。」
「嫌だ。」
しまった。
ふと見上げると悪意に満ち溢れた笑顔を浮かべていた。
「では、連絡お待ちしてますね、ビッチの小春ちゃん。」
「だからその名前、、」
「では告白は断られてこの僕とお付き合いするということでお間違いないですか。」
もし、こいつと付き合ったらあの唇に、
って違くて。
「顔赤いですよ、早くお断りして来てくださいね、ビッチの小春さん。」
あいつ見てたのか。
絶対こっちから、好き、なんて言わないんだから。