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#4 ブタと二足歩行とインスタ映え

街の最北端。どっしりと構えた豪華な家が建っていた。

あれだな、アメリカのビバリーヒルズ的なやつ。カレンの写真で一回見せてもらったことがある。

絶対、トイレとか3つ4つあるでしょ。あとジャグジー。うらやま。


「ローニッヒ伯爵よーー!!我ら勇者一向に倒されたくないのならば、おとなしく出てこーーい!!」

ナイラスさん、声がでかい。あと、そんな古典的な方法で出てくるわけない。


「なんだとーー!!この私にそんな無礼な口を聞いていいと思ってるのかブヒ!!」


「まじかーーい」思わずツッコんでしまった。

建物の中から声が返ってきた、なんかブヒって聞こえた気もするけど。


領主の家の3階のバルコニーに人影が見える。


「魔王軍幹部・ローニッヒ伯爵であるブヒ。きさまらが勇者一向とな?」

膨らんだ薄桃色の肌。たるんだ目に、つぶれた平面状になっている大きな鼻、そして頭のてっぺんに生エマ2つの三角型の耳。まさしくブタだった。なぜかバスローブを着た二足歩行のブタ。そしてその後ろに大きな鎧を着た、ブタの護衛かとこれまたブタが二人、立っていた。

「まじかーーーーーーーい!!!!!!!!」

「えぇ!何、なんだブヒ!?」

すかさずスマホを取り出してパシャパシャと連写をする。

ブタが二足歩行で喋った。イッツ・ミラクル!!


「コホン。…ローニッヒ伯爵、街の水道を止めているらしいな!なぜそんなことをする」

ナイラスさんが聞いている間も俺はシャッターを切り続けた。

「ブハハハ!!決まっているだろう、人間を家畜とし、我ら魔族がこの世界・ゼウスを支配するためだ!!」

俺の世界だとあんた完全に家畜なんですけどね。

いや、そんなことよりあの3匹のブタと一緒に写真を撮りたい。あのブタ、画力えぢからはんぱない。夢の国でもあんなんお目にかかれん!


しかしどうやってあの3階までたどり着こう。なんか家の中から侵入したら罠とか仕掛けてありそうだし……。

辺りを見回す。


「ナイラスさん、取り込み中悪いんだけど、その斧であの木、切ってくんない?」

俺は領主の家の門の前に生えている大木を指さした。


「勇者様、何を?」

「いいから、いいから。我に秘策あり!」

俺が胸を張ってそう言うとナイラスさんは戸惑った顔をしながらも大木の前に立ち、一太刀で木を伐採した。魔王を倒しても職には困らなそうだ、いい木こりになれる。


俺は倒れた大木の前に行って、おもむろにそれを持ち上げた。だいぶ物理法則を無視しているがそこは勇者という設定らしいので気にしない。



ナイラスさんとマリナさんは最近、俺の突飛な行動に驚かなくなってきた。エマちゃんに至っては港町で買ったグミのようなものを食べ始めている。

たいして3匹のブタは目を点にしてその場に立ち竦んでいた。


「せーの!!」

ズドンッ!!

勢いよく飛ばした大木が門の前から領主の家の三階まで立てかけるように置かれた。

そして橋を渡るように、俺はその大木を駆け上がっていった。

「うおおおおぉぉぉ!!!ブターーー!!!」

「ぶひぃ、く……来るなぁ!!!!!!!」


「あの、写真、一緒に撮ってくれません?」

「……ブヒ?」


パシャ。

#4・ブタと二足歩行とインスタ映え



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