最強TS令嬢はブチ切れて反逆する。
気分転換に書きました。自分で書いていて滅茶苦茶だなっと思ったけれどぜひ読んで読んでください。暇つぶし程度にはなるかと思います。ブックマーク、評価、感想お待ちしています。
どうも皆さま。
私はノクス公爵の長女のニーナと申します。
この度、この国の第一王子のニュクス様の婚約者になりました。
婚約者に、こん、やく、しゃ。
……結婚。
あーー!!
いやだぁ!!
マジでふざけんなよあのハゲ!!
嫌だ嫌だって拒否しているのに最後に王命出してくるし。
残った髪の毛毛根から死滅さしてやろうか!!
……ごほん。
皆さま、申し訳ございません。
少々取り乱しておりました。
……あー、やっぱり面倒だな。
普通にいくか。
こんな感じに私の普段の口調は男まさりだ。
何故かって?
今は女の身だが、前世は男だったんだ。
なんの因果か前世で死んで異世界でニーナとして生まれたんだ。
いろいろあったが、今ではこの身体に馴染んでいるし受け入れているし愛着も持っている。
最初は大変だったが、慣れるものだな。
ただ一つだけ慣れることも受け入れる事もできない事がある。
男だ。
人として普通に接する分にはいい。
が、異性として接するにはキモチガワルイ。
元男だったせいか、どうしても男を好きになれない。
女の子のほうがいい。
だって可愛いし柔らかいし綺麗だし。
うん。やっぱり女の子だな。
そんな私に男と結婚なんてできると思うか?
答えは否だ。
結婚なんて絶対にしたくない。
するぐらいなら死んだ方がマシだ。
だから私は女一人で生きられるように努力した。
ありとあらゆる力を付けた。
今では最強令嬢の名を欲しいままにしている。
ふふふ、おかげで女の子にかなりモテるものだ。
しかし、ここで弊害がでてしまった。
力を付けた理由にはもう一つ理由がある。
男は、特にこの国の貴族の男は薄いプライドの持ち主だ。
自分より優れた奴に嫉妬する。
そのくせ、地位の高い奴には恭順する。
そんな奴が最強と呼ばれる私を嫁にもらいたいと思うはずがない。
そう思っていたし、実際にそうだった。
私の目論見は成功していたのだ。
ここまでは。
大きすぎる力が仇になった。
あのハゲ…国王は私の力をモノにするために第一王子と婚約させたのだ。
何度も何度も拒否したのに、最終的に王命で強制させられたのがつい先ほど。
さっそく、あのハゲは私を使って戦争を起こして領地を広げる計画を練りにどこかへいった。
そして、私と婚約した王子だが、
「ふん。まさかお前と婚約する羽目になるとはな。最悪だ。大方権力でも使ったか。まあ、王妃にはしてやるが俺はお前の所には行かんぞ。王妃にさせてもらえるだけありがたく思え」
と言って去っていった。
私はこの日最大級の殺意を抱いたが何とか沈める事ができた。
ー▽ー
婚約から数ヶ月。
とても嬉しい出来事が起こった。
私やクソ王子が在籍している学校に転校生がやってきた。
可愛らしい女の子だ。
あざとすぎるので私は好みではないが。
しかし、そんなあざとい女の子に王子は夢中のようだ。
最近では「お前以外は考えられない」とか何とか言っているそうだ。
……上手い事誘導すれば婚約破棄できるんじゃね。
私はそう思い、歓喜した。
早速とばかりに行動しようとするがどうやらその必要はなさそうだ。
どうやら彼女も転生者のようだ。
しかし、その性格は常識ある日本人ではなく超ビッチなようでやはり私とは合わない。
クソ王子の他に騎士団長の息子や宰相息子や宮廷魔導士長の息子などにも近づいて逆ハーを形成しようと。
しかも、全員婚約者がいるにもかかわらずだ。
あ。私のはいいんだよ。
クソ王子の攻略(笑)だけは応援している。
ちなみに、私の弟にも近寄って来たようだがうまくいっていないようだ。
そんなビッチさんは今は積極的に私の悪評を流布している。
私に悪口を言われたとか、教科書を破られたとか、上から水をかけられたとか、王子とかにもらったドレスを破かれたとか。
きっと最後には階段から突き落とされるんだぜ。
同じ元日本人だからわかる。
そんな感じにビッチさんが頑張ってくれているので私が動く必要はなさそうだ。
一応監視はしているが。
ー▽ー
なんやかんやでとある大きなパーティー。
「ニーナ・ノクス!! 貴様のような悪女と結婚などできん!! 俺の婚約者のは俺を癒してくれるルーがふさわしい。よって貴様との婚約を破棄し、ルーと婚約することをここに宣言する!!」
ついに、ついに来た!!
ついに相手から婚約破棄の言葉がきた。
私が国王のハゲに何度言っても無理だった。
だから、相手から破棄させるようにしようと思ったのだ。
まあ、私が動くまでもなく事はなったのだが。
主にビッチさんのおかげだ。
ああ、奴がルーと呼んでいる人な。
私はビッチさんと呼んでいたので本名はしらない。
「はい、私には異論はありません。というわけで陛下。私と王子の婚約は破棄ということでよろしいですね」
「い、いや」
「よ・ろ・し・い・で・す・ね」
「う、うむ」
少し威圧して強制的にうなずかせる。
ハゲはしまったという顔をするが、この公共の場ならあとで撤回は不可能だろう。
婚約破棄などこのような場でするものじゃないが最初に大声で宣言したのはクソ王子だ。
私に責任はない。
「婚約破棄をされた女がいつまでもパーティーにいては皆様も不快でしょう。私は退室させていただきます。それでは皆様ごきげんよう」
優雅に礼をして会場から出ようとする。
「待て!!」
が、クソ王子に止められてしまった。
「まだ何か? あなたの望みは叶ったはずですが?」
「まだお前はルーに謝っていないだろう!!」
「何を言うかと思えばそんなこと」
「そんなこととはなんだ!! お前がルーをいじめたんだろう!!」
クソ王子がその後、やってもいないいじめとやらを話すとビッチさんが辛いことを思い出したかのようにワッと泣き出す。
そしてクソ王子だけでなく誰々の子息やらが集まって彼女を慰めている。
おぉ、見事に逆ハーを形成しているな。
流石はビッチさん。
「わ、わたしは一言ニーナさんに謝っていただければ許します」
そんなビッチさんは気をよくしたのかとても傲慢な発言をした。
許します?
仮にも公爵令嬢に対して許しますだと?
それはノクス家に対しての侮辱か?
「なんて優しいんだルーは。さあ、謝れ」
「やってもいないいじめとやらで謝ることはありません」
「なんだと!! ルーのやさしさに感謝せず謝らないだと!?」
なにをそんなに驚いているのかこのクソ王子は。
こんな公式の場で公爵令嬢が頭を下げることの意味が分かっているのだろうか。
「ルーが言ううから謝れば許してやろうと思っていたがもう我慢できん!! 衛兵!! こいつを捕えろ!!」
どうしたものかと一瞬悩んだ衛兵であったが、王子の命令に逆らえる訳もなく近づいてくる。
はぁー。
もういいよね。
「待て!!」
魔法を発動させようとすると私に迫っていた衛兵に待ったがかかる。
「今のは王子の戯言だ。気にする必要はない」
「父上!?」
「...ええそうさせていただきます」
意外にも援護を出してくれたのはハゲだ。
ハゲから国王にランクアップしてもいいかもしれない。
もっとも、もう王族とは関わる気はないのだけど。
「ニーナ嬢は王子との婚約を破棄。これよりリュート共和国征伐軍に従事することを命ずる」
...は?
今なんと?
リュート共和国の征伐軍に従事?
リュート共和国は我がノクス公爵領に隣接する国だ。
国土は小さいが気象は穏やかで様々な特産品を作りだしている。
なんと米まであるのだ!!
当然貿易もしているし、かなり良好な関係を築いている。
国主ともあったことがあるが、気にいいおじいちゃんだった。
それに孫娘は私にとって親友も同然の存在だ。
「えーと、冗談ですよね?」
そんな国への征伐軍に参加のお達しが信じられずに冗談かと聞き返した。
しかし帰って来た答えはNOだ。
どうやら属国になるように言ったらしいが断られたので征伐軍を向けることにしたらしい。
しかも領地が隣ということで多大な負担を我が公爵家に背負わせて。
私が今まで知らなかったということは最近ハゲが独断でやったことだろう。
ふ、ふふふふ、ふふ
「ふざけるな!!」
あー、もういい。
もういい!!
もともとあってないようなものだが愛想が尽きた。
言われもない罪で謝罪を強要され、さらに交友のある国を亡ぼせだと?
屑だ屑だと思っていたが、やはり極上の屑だ。
子も子なら親も親だな。
「王命を断るつもりか?」
「王命だと? 私利私欲のために私を使ってリュート共和国を亡ぼせということか? そんなもの断るに決まっているだろう」
「愚かな。衛兵」
ハゲは止まっていた衛兵に再び私を捕えるように命令する。
愚かなのはお前だろう。
私が誰か忘れていないか?
それとも国王である自分の方が力がいると思っているのか。
魔法を発動させる。
すると、私を捕えようとしていた衛兵は全員地面に沈んだ。
重力魔法で立てないようにしただけだ。
「マーノ、こっちに来い」
「はいっ!!」
会場にいる弟を呼び寄せる。
「これより我らノクス家は王家に反逆し独立する。帰って準備するぞ」
「かしこまりました姉上」
「それでは皆様ごきげんよう。王家と戦争になるかと思いますが皆様と敵にならないことを祈ります。では」
最後に令嬢になり、優雅に礼をして転移魔法でこの場を後にした。
ー▽ー
その後の顛末はこうだ。
領地に戻った私たちは事の顛末を両親に告げた。
父はひっくり返り、母はにっこりと笑みを浮かべた。
母も王家には思うところがあるのだろう。
当主は父だが、権限は私が握っているようなものなので特には問題ない。
案の定、王家は私たちノクス家を反逆罪で指名手配をし戦争を吹っ掛けてきた。
が、軽くあしらい、私たちに味方をする貴族たちを吸収しながら王都に進んだ。
ほとんどの貴族が私たちの味方をしてくれてので特に苦労するでもなく、王都に攻め入り、あっという間に決着がついた。
まあ、基本的にハゲは無能だったからな。
甘い言葉や賄賂で地位を手に入れた宰相や騎士団長や宮廷魔導士長やら無能な貴族やらしか味方してくれなかったのだ。
カリスマ性が違うのだよカリスマ性が。
そんなこんなで謁見の間。
王座に座るのは私。
眼下で騎士に押さえつけられているのはハゲやらクソ王子やらビッチさんやら宰相やらその息子やら。
最後に見た時より化粧の濃いビッチさんやクソ王子は喚いてうるさいし、ハゲやら宰相家はガタガタ震えている。
ああ、ちなみに騎士団長やら宮廷魔導士長やらはもう既にこの世にいない。
あいつら賄賂とかで出世した奴らだから実力が伴わないのだ。
なのにいろいろ勘違いして戦場に出てきちゃって。
私が出るまでもなく首だけになっちゃったんだよな。
「そんなに震えなくでもいいぞ。なにも命まで取る気はないからな」
その言葉に全員顔を上げる。
その瞳には希望が見えているのか輝いている。
「ほ、本当か!?」
「ああ、ただしこちらの要求にはしたがって貰うからな」
「し、従う! なんでも言うことを聞く!!」
これが大国の王の成れの果てか。
「ほら、これにサインしろ」
契約書を取り出しハゲに見せる。
「な、なんだこれは!?」
なにしろこちらの要求はこの国の七割の国土だからだ。
あと、賠償金と不可侵条約。
「今回の戦争で味方してくれた人たちの領地だよ」
「ばかな! こんな要求認められん!!」
「んー、別に認めようが認めまいがどっちでもいいぞ? まあ、こちらの要求には絶対に従ってもらう。さもないとこれな」
親指で首を斬りをとす動作をする。
なぜこいつらを殺さずに生かしているかは、こいつらに残す領地があまりうまみがない上に今回こちらの味方をしなかった領地のため反乱分子が出現しやすい領地だからだ。
つまり、面倒な管理はしたくなかったのでこいつらに押し付けようということだ。
「さ、はやくサインを。それとも死ぬ?」
「...わかった。要求を受け入れる」
このハゲに死ぬような度胸はなく、やはり契約書にサインした。
「はいどうも。ちなみに、契約違反しようものなら死ぬ呪いがかかっているから注意しろよ」
そんなのは嘘だが、これだけの恐怖の中にいるのだ。
おそらく信じただろう。
さらに真っ青になってうなずいているし。
「さてと、面倒な戦争はこれでお終い。私の名代は置いていくから細かいところはそいつに聞いて」
王座から立ち上がり、謁見の間から出ようとする。
「ああそうだビッチさん。ルーちゃんだっけ? ここは日本じゃないけどゲームでもないし現実なんだよ? 身の程をわきまえて生きな」
去り際にビッチさんにこれからのアドバイスをする。
うんうん、いいことをした。
後ろで大きく喚いているけれどきっと感激しているのだろう。
さあ、これから忙しくなるぞ。
国としていろいろ整えないといけないからな。
でも、なんとかなるだろう。
ニーナ・ノクス:ノクス王国初代女王。剣、魔法ともに最強クラス。最初の会戦では竜巻やら雷やらで無双していたりするが、すぐに人が集まったため直接戦うことはほとんどなくなった。凛とした雰囲気が女性に人気でとてもモテる。男にもモテていたがどうでもよかった。王家の事は嫌いで国王には会うたびにハゲろと念じていた。最後まで結婚することなく、マーノの息子に王位を渡してどこかに消えていった。
マーノ・ノクス:ニーナの本性を知っている数少ない人物。普段と令嬢モードのニーナのギャップがすごいため笑いそうになるのを必死にこらえている。美少女の婚約者がいる。
王子:傲慢なクソ王子。自分が一番じゃないと気が済まないくせに努力しない。超優秀なニーナを毛嫌いしていた。
国王:ハゲ。ニーナの力を使い、世界征服を目論んでいた。国王である自分は絶対の存在だと信じて疑わないためニーナに命令を出すも断られ反逆される。無能。
王子の取り巻き:面倒なので名前はない。親同様あまり優秀ではない。
ビッチさん:ルーと呼ばれている女。転生者で逆ハをー目論みニーナを排除しようとするが手を出す相手が悪かった。