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姫騎士騎士団と勇者君

作者: 十一屋 翠

 この世界では選ばれた女しか魔法が使えない。

 攻撃魔法も、回復魔法もだ。

 故に選ばれた女達は貴族以上の地位を持つ。

 だがその女達の力は魔物(全員メス)の王、魔王には絶対通用しない。

 その魔王を倒す事が出来るのは、唯一男の勇者だけであった。

 だがその男の勇者は魔物(全員メス)には勝てない。

 その為、如何にして勇者を無傷で魔王の元へと運ぶかが戦略の鍵となっていた。


 しかし勇者は魔物(全員メス)を引き寄せる。

 たとえ密室に篭っていてもだ。

 最新の研究で、勇者の聖なる力に魔物(全員メス)が引き寄せられるのが原因だと判明した。

 一種の魔法的なフェロモンである。

 それに対抗する為、勇者専属護衛部隊、姫騎士騎士団が設立された。

 姫騎士騎士団、それは選ばれた女達の中でもっとも優秀な一万人で構成された騎士団である。

 能力、容姿、魅力といったあらゆる視点で優れた姫騎士達で勇者を魔物(全員メス)の誘惑から守るのが使命である。

 魔物(全員メス)は勇者を殺さない。

 人間以上の美しさを備えた魔物(全員メス)は捕らえた勇者を巣に連れ帰り、一生そこで飼い殺しにするのだ。

 美味しい娯楽を与え、時には娯楽を与え自分達の種族の繁栄の為に利用する。

 何故か、それは勇者の放つ聖なる魔力は魔物(全員メス)に対するフェロモンだからだ。

 ぶっちゃけていうと勇者を独占したいのである。

 だから勇者の心が人間以上の美しさを持った魔物(全員メス)に傾かない様に姫騎士騎士団が囲い込んで魔王の元へと運ぶのだ。


 魔王の城へと運ばれた勇者は魔王と一対一で決闘を行う。

 魔王の邪悪な力には勇者の聖なる魔力しか耐えられないからだ。

 そして邪悪な力が使えない魔王は、ただの世界一美しい美少女である。

 当然容易に勇者に組み伏せられる。

 戦いに敗れた魔王は殺せと言い放つ。

 本来なら勇者は魔王を殺す事で使命を全うする。

 そして王都に戻り姫騎士騎士団に囲われて好き勝手に暮らす事が出来る。

 だが、勇者は姫騎士騎士団によって囲われていた。

 男より強い選ばれた女である姫騎士騎士団の中に、唯一の男として放り込まれた勇者は初めて姫騎士以外の女を見る事になる。

 姫騎士達より美しい女。

 姫騎士達より気高い女。

 勇者のお気に入りになって騎士団の中で優位を得たい姫騎士達の、水面下でうごめくドロドロとした女の争いに常に晒されていた勇者にとって、王としての気品に満ちた魔王はとても美しかった。

 ならば勇者のする事は単純である。

 男として魔王を口説く。

 勇者は常に聖なる魔力というフェロモンを魔物(全員メス)に放つ。

 そんな相手に情熱的に口説かれれば、いかな気高い魔王といえどもやがては陥落する。

 そして恋人同士となった二人がやがて夫婦となったその時、勇者と魔王は力を失い只人となる。

 世界は仮初の平和を取り戻すのだ。 


 そして月日が流れ、新たな魔王が生まれる。

 新たな勇者が生まれる。


 そして姫騎士騎士団と魔物達(全員メス)による勇者の奪い合いがまた始まる。

 なお、勇者が魔王を殺して姫騎士騎士団の元に戻る確率は一割以下である。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『勇者が魔王を殺して姫騎士騎士団の元に戻る確率は一割以下』というオチ [一言] 一割以下って、絶対水面下の攻防だけじゃないよねww それこそ肉体言語でも闘ってそうww
[良い点] ある意味勇者と魔王の壮大な婚前夫婦喧嘩 平凡な一生が許されるということは政治的な干渉ができなくなるのでしょうか? [一言] 姫騎士団のもとに戻る勇者は実はホモセクシャルだったりしませんか?…
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