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第2章 始まりの勇気

まずは電話下さいってことは電話をするべきなのかな・・・

でも・・・何を話そう・・・とりあえずメールにしようかな・・・でも電話って書いてあるし・・・

メールの返信をしたほうが良いのか?それとも電話をかけた方が良いのか?

そんな些細なことで亜美は悩んでいた。


サクッと軽い感じで電話でも出来れば良いのかもしれないけど、

どうしようと考えれば考えるほど答えが出ない。

意識してしまえばしまう程、妙にぎこちなくなってしまう性格を

亜美は自分で十分過ぎるほど理解していたからだ。


亜美は携帯を手にしばらく悩んでいたが、

「よし」とひと言、発すると電話を掛けた。


プルル・・・プルル・・・


「もしもし・・・」

「あつ、もしもし、まーちゃん。亜美だけど・・・」


自分でどうするべきか答えを出せなかった亜美は、

まずは親友のまーちゃんに相談をしようと電話したのだった。


亜美は、一見すると「一人で何でも出来ます」という感じに見える。

女にしておくのはもったいないと周りから言われるほどバリバリ仕事をこなし、

後輩の面倒見も良い。何を頼んでも嫌な顔をせず素早く片付けてしまうので

上司からの信頼も厚かった。

でも、そんな亜美だったが、実は恋愛に関してはダメダメ。


亜美とまーちゃんは学生の頃からの付き合いで、

明るくサバサバとしているところなど、とてもよく似ている。

しかし、恋愛に関していうと、二人はまるで対照的だった。

亜美がただただ受身で待っているのに対して

まーちゃんは、ガンガン自分から落としにいくタイプ。

「狙った獲物は逃さない!」じゃないけど、

いつも気が付けば相手をその気にさせてしまっているのだ。

声を掛けられることの多い二人ではあったが、その勝率には雲泥の差があった。

そして、亜美はそんなまーちゃんから、いつもいつも背中を押してもらっていた。


近くのカフェで待ち合わせし、

昨日の出来事をまーちゃんに一通り報告した。


「亜美はさ〜慎重すぎるんだよ。とりあえずいっときゃいいじゃん。」

まーちゃんからいつもいつも言われているセリフだ。

「男なんて付き合ってみなきゃ分からないし、合わなければ別れればいいだけの話でしょ。

何をそんなに考える必要がある訳??亜美はちょっとでもその人のこといいなって思ったんでしょ。

だったら・・・」

「まーちゃんの言ってくれる事は、よ〜く分かる。

よ〜く分かるけど、それが出来ないからこうして悩んでる訳で・・・」

「もう亜美はいつもそうなんだから。この前の、イケメン君だってもったいない。

絶対向こうはその気で近づいてきてるのに、なんでそこで引いちゃうかな〜」

「だってさ〜まだ良く分からないし・・・」

「何が分からないの?好きかどうかって事?あの時も良いかなって言ってたじゃん。それだけでまずは良いんじゃないの〜相手の事を知るのはそれからでしょ。」

「そうなんだけど・・・」

「私も、何も亜美に、自分から行けとまでは言ってないよ。ただ、せっかく良いな〜って思ってる人からきてくれてるのに・・・亜美にその気がないと思ったら向こうだって諦めちゃうよ。」

「その気がないわけじゃないんだけど・・・」

「だってそんなんじゃ伝わらないよ。私がその人でもあ〜駄目ぽいなって思うと思うもん。

そうやっていつもいつも相手のもう一押しを待ってるだけじゃ駄目だよ。」


今日もまーちゃんから恋愛パワーをいっぱいもらって、亜美は家に帰ってきた。

つい先程まで「帰ったら電話する」と、その気になって意気込んでいた亜美だったが、

一人になると、どうしようかとまた悩んでいた。


そんな時、克彦からメールがきた。

「昨日はどうも。電話番号教えてよ。あと、誕生日と血液型も。」


なんで誕生日と血液型??と思いつつも

とりあえずメールで返事を送ることにした。

なにはともあれ、亜美にとって昨日からの課題だった電話番号を教えるという行為が

一応は果たせた。

亜美がほっと一安心していると、すぐに返事が返ってきた。

次に届いたメールも意図がわかりづらい短いものだったが

その質問に対してもすぐに返事を返した。

その後も、克彦からは次から次と短い文章で色々な事を聞いてくるメールが届いた。


それからというもの、毎日のように短いメールのやり取りが続いた。

初めのうちは克彦から届いたメールに返事を返す程度だった亜美だったが、

いつしか自分から仕事終わりの報告など、気軽にメールをするようになっていた。

そして、克彦とのメールのやり取りは毎日の楽しみの一つとなっていったのだ。








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