「星々を喰らう蛇」 - 3
学校の食堂のシーンです。
休憩時間の食堂は今日も賑わっている。
テーブルを囲んで向かいにジュンとその彼女のマキ、こちらに僕と隣にイオリちゃんが座って昼食をとりながら談笑している。
「俺、今度からバイト始めるんだ。そして自家用VTOL買ってマキと二人っきりでデートするんだ。なぁ、マキ。」
ジュンが笑顔でマキの方を向いた。
マキも楽しそうに
「ちゃんと免許とって、安全運転するのが条件だからね!」
と言った。
ジュンもマキという良い彼女ができて良かったなぁと思いつつ、僕なら自家用VTOL買って、今隣にいるイオリちゃんとデートしたり、空飛ぶUFOに横付けして近くで眺めたりするけどなぁと思った。
でも勇気のある人がUFOにVTOLで近づこうとしたけど、UFOが空に溶け込むようにして姿を消したという話も思い出した。
最近、ジュンにマキという彼女ができた。
マキは、僕らとは違うクラスだけど明るくて誰とでも仲良くなれるタイプだと思っている。
それに結構かわいい(イオリちゃんには劣るけど)。
最初にジュンから紹介されたときは、何て話しかけたらいいか迷っていたけどマキの方からぐいぐいと僕に話かけてきたので、僕にとってありがたかった。
でも一番良かったことは、マキがイオリちゃんとは幼馴染ということが分かり、
昼食の時間にはイオリちゃんも僕らと一緒にいるようになったことと、クラスの中でもイオリちゃんと話をする機会が増えたことだ。
でもイオリちゃんが僕の彼女になったわけじゃない。
そこは僕が頑張らないとなぁ。
と、マキがこう切り出した。
「ねぇ、ところでさぁ、今度四人で一緒にオールドジェネレーションの元居住区に行ってみない?
UFOマニアのユキヒト君に影響された訳じゃないけど、みんなもUFOって見たいよね?
最近UFOブームだし。レアな映像を記録できたら有名人になれるかもよ。」
イオリちゃんの前で僕がUFOマニアだって強調しなくても・・・。
「俺も見たいけど・・ でもさぁ、もし禁止区域に入ったことがばれたらそうとう怒られちまうぜ。
親に連絡されたら、小遣い減らされちまうよ。」
「ジュン!もしそうなってもあんたはバイトすればいいでしょ?ねぇ、ユキヒト君とイオリも行こうよ。ね?ね?」
「僕もいきたいけど、日中だと目立つんじゃない?」
「うん、あそこって今警察の人がパトロールしてるわよね。私も興味あるけど行くのは難しいと思うわ。」
「そうなのよね。だとしたら夜に忍び込むしかないかしらねぇ。」
「おい、マキ!みんなも興味あるかもしれねーけど行くのは無理だって。」
「もー、あんたねぇ。UFOブームなのよ?もし警察に見つかってもオールドジェネレーションの歴史研究で調査に来たとか適当に誤魔化せばいいじゃない。」
「うん、それ、いい考えかもしれないね。ヨシノブ先生に頼んで一緒に来てもらったらいいかも。
あの人って確か昔『オールドジェネレーション史』の本出したことあるらしいし。」
「ほら!ね?ね?」
「私は・・ 皆が行くなら行くわ」
「よし、じゃ決定ね。「歴史」のヨシノブ説得するのはユキヒト君とイオリに任せたわ。」
「しょーがねぇなぁ。」
この時、これはある意味イオリちゃんとのデートって考えられるかもって嬉しくなったら、どうやら顔に出てたらしく、イオリちゃんが「ユキヒト君、嬉しそうね」って笑った。
「何でもないよ。」と真顔になって答えておく。
(危ない、危ない。)
さて、ヨシノブ先生の説得か・・・ うまく行くかな・・・
僕は授業中サボっているところばかり見られているけど、イオリちゃんはいつも真面目に授業を受けているからイオリちゃんがいれば何とかなるかもしれない。
マキの奴、僕とイオリちゃんを一緒に説得にいかせようとするなんて。
一緒にいられるよう気を使ってくれたのかもしれないな。
考えながら、ふと食堂の内部を見渡してみると、他の生徒たちもテーブルを囲んで食事をしたり、友達と談笑したりしているのが見えたが、そこであることに気づく。
(マサルっていつも昼食の時間に姿を見ないけど、どこでご飯食べてるんだろう。)
続きます。