「星々を喰らう蛇」 - 14
居住区見学のシーンです。
オールドジェネレーションの元居住区見学という名のUFO探索の日が来た。
直前で色々あったけど、昨日あったことが僕の気持ちを上向きにしてくれた。
今日は皆でUFOを探して楽しい一日にしよう。
公共機関のVTOLで元居住区近くの駅までいき、みんなそこに集まった。
僕が一番最後だった。
皆が一斉に僕に視線を向ける。
「みんな、おはよう。ヨシノブ先生、遅れてすいません。」
「問題ありません。それではいきましょうか。」
「おう、ユキヒト。今日みんなの分のお菓子も用意してきたぜ。」
「おはよう、ユキヒト君。ジュン、あんたは子供ねぇ・・・」
「マキ、いいじゃんか!」
「ユキヒト君、おはよう。」
「イオリちゃん、おはよう。」
そして目的地に向けて歩き出した。
歩きながらみんなを見る。
(イオリちゃんはワンピースを着てきた。しかも僕の好きなポニーテールだ!
似合ってるなぁ。対照的にマキちゃんはスカートだけどちょっとボーイッシュな格好だな。)
「二人とも良く似合ってるね。」
「ウフフ、ありがとう。」
「あら?私にはジュンがいるのに・・・でも、ユキヒト君なら・・・いいよ。」
「いいのかよ!」
「ハハハ、冗談だって」
「ハハハ」
「俺をからかって楽しいかよぅ」
ヨシノブ先生が先頭で僕らを引率し、僕らは楽しく話しながら歩いた。
そして歩くこと20分。
その場所が見えてきた。
外側は巨大な壁で隔離されており、入り口に特別警察隊員が二人いた。
ヨシノブ先生が親しげに声をかける。
「あ、どうも。ヤスタカさん、ケンイチさん。お久しぶりです。」
「ヨシノブ先生、お久しぶりです。」
「学生時代は大変お世話になりました。」
「今日の件ですが・・・」
「居住区見学ですよね?最小限の関係者には話を通してます。内部も見回っている部隊がいますが、認証パスを皆さんの体内のナノマシンメモリーに展開してもらえれば大丈夫です。」
「ありがとうございます。ヤスタカさんもケンイチさんも立派になられましたね。」
「いやぁ、ヤスタカは授業中全然勉強しなかったのに、ヨシノブ先生の支援で卒業させてくれましたもんね。」
「本当に感謝しきれませんよ。今は特別警察隊員にもなれたし。」
「フフフ。あ、そうだ。皆さん、認証パスを今からみなさんの体内のナノマシンメモリーに展開しますので、それを受け取ったら、先に居住区回っていてください。私はこちらのお二人ともう少し話をしてすぐ合流します。
ナノマシンの所在地情報通知機能は必ずONにしていてくださいね。
くれぐれも決して単独行動しないように。」
「分かりました。」
「はい!」
「はーい!」
「はいはい」
認証パスをナノマシンメモリーに展開した後、さっそく4人で元居住区を進み始めた。
10階建ての建物、一軒家、いくつもの道が分かれ整理されている。そして数え切れないくらい家が続いている。
居住区だから当たり前だけど。
建物に使われているのはナノマシンが含まれていない、コンクリートやらなにやらっていう素材らしい。
もう建物の壁や屋根の色も剥げ落ちたり崩れ落ちてるし、液晶部分も電源が入らないと何が出ていたのかは分からない。
「さてと、そんじゃ、UFOが発見されたところにいくかぁ。遊園地の近くの丘の上だったよな?ヨシノブももうすぐ合流するだろうし、さっさと丘までいこうぜ。」
「ちょっと、あんた、乗り物は見ないの?」
「いんじゃね?さっきのヤスタカさんて卒業生の人だって勉強ボロボロでも卒業して就職できてたろ?」
「あんたねぇ。根性見せなさいよ。よし、じゃあ私はたるんでるジュンとちょっと乗り物調べながら丘までいくわ。」
「おい、勝手に決めんなよ。」
「空気読みなさいよ。(ごにょごにょ・・)」
「あ、ユキヒト、俺やっぱ乗り物見てくから。二人で先に丘の方いっててくれ」
「あ、二人とも・・・」
マキがジュンにひっぱられて居住区の奥の方までスタスタ歩いていった。
取り残された僕とイオリちゃんは苦笑いした後、二人で遊園地まで歩いていった。
続きます。