「星々を喰らう蛇」 - 11
事故のことが気になるユキヒト
帰宅後、あまり食欲が無かったが用意された夕食を食べながら家族に今日のことを話し、その後はシャワーを浴びていつもより早くベッドに入った
夕方まではとても楽しい気分だったのに、そこから色々あって、今日はどっと疲れた。
爆発で消えた少年、瓦礫の下から生えた頭や手足、ちぎれ飛ぶ特別警察隊員と野次馬、半壊した建物、血の匂い、病院で会った黒ずくめの男たち、マサルの正体・・・それらが僕の頭の中をぐるぐるとまわってしまう。
特に爆発で消えた少年の姿が目に焼きついてしまった。
あのとき見せた、覚悟を決めた目つき・・・
僕が特別警察隊員に正直に彼のことを教えてしまったばかりに。
彼の死亡に自分が関わってしまったのだという罪悪感で、布団にくるまっているのに気持ち悪くなってきた。
ああ、イオリちゃん、ジュン、マキはちゃんと無事に家に帰れただろうか・・・・
何だか、連絡する気になれない。
もし、万が一のことが彼らに起こっていたらと思うと。
平和だと教え込まれて育ってきたこの世界にも、やはり争いの火種はあるんだな。
少年がどうして特別警察隊員に追われていたのか、それは分からない。
布団から半身を出して、制服のポケットから8つ折りの携帯端末の板を取り出し、広げて電源を入れた。
接続して、今日の爆発事件の情報がネットワーク上に出てないか、探してみる。
一つ一つ、ニュースサイトの立体映像コンテンツを確認する。
「・・・本日午後8時ごろ、A地区の居住区、34区でテロリストによる爆破事件がありました。テロリストは特別警察隊員に包囲され・・」
「・・・不審な動きを見せたために警察隊員が発砲し・・・」
「・・・所持していた爆発物が 爆発し、周囲にいた隊員と野次馬を含めて30名以上の死傷者が・・・」
だが、ニュースサイトの立体映像コンテンツには事件が取り上げられていたが、かなり編集されたものになっていた。
今日の野次馬たちがネットワークにアップロードした情報がないか探してみたものの、目ぼしい情報は全くなかった。
携帯端末の板を今度は丸めて制服のポケットに放り込む。
(まぁ、いいや。今日のことは忘れよう・・・ そうだ! 明日、マサルが学校に来るんじゃないか!?彼は、黒ずくめの男たちに追われているんだ・・・ どうしよう・・・)
結局、その日は一睡もできずに朝を迎えたのだった。
続きます。