「星々を喰らう蛇」 - 10
マサルは何者だ!?
男たちが僕に話しかけてきた。
「ちょっといいかな。君は、今日の爆発事故の現場周辺にいたね?」
「あの、どちら様でしょうか?」
「君は質問に答えていればいい!」
「おい!相手はまだ子供だぞ!失礼。我々はこうゆうものだ」
男がID情報を立体映像で表示した。
「特別警察の方なんですね?」
「ああ、所属は聞かないでくれ」
次に、立体映像である少年のイメージを表示して、
「この少年のことで何か知らないか?」
と尋ねてきた。
その少年の姿は、すぐに思い出せた。
あのとき道の前から走ってきた少年だ。
その後は、姿が消えて・・・・
思い出したら、気分が悪くなってきた。
「今日道ですれ違っただけです。」
「そうか」
「じゃあ、この少年は?」
次に男がイメージを切り替えたとき、
「マサル!?」
と思わず声を出してしまった。
見覚えのある顔。
今日のおかしな態度が気にかかっていた。
「知っているんだね?詳しく教えてくれないか?」
「学校のクラスメイトです」
「そうか、やはり周辺に潜伏しているな」
「この少年はテロリストの一味なんだ。住所などは分からないか?」
マサルがテロリストの一味と聞いて、動揺が隠せない。
(悪いやつだったのか?)
その後はいろいろ聞かれたけど、マサルについてはA地区の同じ学校に通うクラスメートとしか答えなかった。
当然だ。
今日初めて話しただけだから。
30分ほど質問攻めにあった後、一人の男の人と連絡先を交換してからやっと解放された。
マサルは変な奴だけど、悪い奴には見えない。
でも、いいや。知ってることはすべて話した。
一旦親に連絡を入れて帰ることにしよう。
携帯端末から通話アプリを起動する。
ネットワーク接続後、立体通信の相手イメージが表示され父と母と妹の姿が現れた。
「お前、夜遅くまで何してたんだ?」とは父の声。
「ちょっと事故に巻き込まれてね。病院に行ってたんだ。」
母は心配して「大丈夫なの?怪我とかしてない?」としきりに聞いてくる。
珍しいのは妹で、久しぶりに「あんた、本当に大丈夫なの?」と心配した様子で
話しかけてきた。
「みんな、大丈夫だよ。今からタクシーで帰るね。」
「VTOLでもいいのよ?」
「いいさ、僕のナノマシンメモリーの電子マネーは無駄遣いしたくないし。」
「遅くなるなら先に電話しろよ」
「うん。わかった。」
「なんだ。大したことないんだ。」
そして、みんなに無事を伝えた後、携帯端末の薄透明のペラペラの板を8つ折りにしてポケットにしまった。
家族の顔と声を聞くと、何だかすごく安心できた。
そして病院前で電気自動車のタクシーを捕まえて、帰った。
続きます