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18.魔術学園の書庫

 次の日の朝、全員が朝食後、メリクリンから魔術学園での書庫の閲覧許可が下りたと聞き、全員で魔術学園に行くことにした。

 魔術学園は、王城から街中を抜けて、西側にしばらく歩いた所にある山脈に、沿うように建っている。

 王城からは結構な距離があるので、普通は馬か馬車で行くのだが、生憎ここにいる人間で、馬に乗れるものは一人もいないし、馬車も考えたのだが、けっこう時間がかかりそうだ。

 現代の自動車や電車に乗り慣れている人間には、あまりにもゆっくりすぎるということで、雪と南、慎と隼人、そして郷と守がペアになって、それぞれが守護者に乗って、学園に行くことにした。

 雪がフクロウになったアテナに、南を乗せると、白虎になった郷に乗って、先に飛び上がった守に続く。

 最後尾は、慎が竜になったアレスに隼人を乗せて、後に続いた。

『アテナは魔術学園に行ったことがあるの?』

『いや、話に聞いていたくらいで、実際は今回が初めてだ。』

 雪は、後ろから前に飛んでいる守に話しかけた。

「ねえ、守。ガイアは魔術学園に行ったことはあるの?」

「神殿にいる時に、何度か講義に行ったくらいだけど、行ったことはあるって。」

「ふーん。そうなんだ。」

 しばらく飛ぶと眼下にきれいな白亜様式の建物が見えてきた。

 すいぶん洗練されていて、おしゃれな建物だ。

 魔術学園というよりは、どこかの貴族の屋敷のような雰囲気が漂っている。

 守はそのまま、その建物に向かっていたが、唐突に遥かその手前にある外側の門の前に、降り立った。

「なんで、直接建物の前に降りないの?」

 南が不服そうに、先に降りた守の後に、フクロウから降りながら文句をいう。

「それは、降りないのでなく、降りれないが正解だな。」

 フクロウからギリシャ風の戦闘服を着た姿になったアテナが、後ろから南の質問に答えた。

「えっ、降りないんじゃなく、降りれない?」

「もしかして、あの透明な膜みたいなもの。」

 後ろから雪が近づいて来て、アテナに問いかける。

 南には、その透明な膜が見えないらしく、首を傾げている。

 雪がアテナの後から、南の隣に来ると、南の手を引いて、開いているはずの門に、彼女の手を押し当てた。

「何この変な感触?プニプニしてる。」

 南はおもしろそうに、その透明な膜を触っていた。

「何してるんだ、南。」

 後から隼人が、南の傍に歩いて来た。

「ここ、触って見て。」

 南が示した所を隼人も触って見る。

 ゼリーの表面を触っているような、プニプニした感触がした。

「あんだこれ?」

 隼人も触りまくる。

「うっ、このプニプニ感がおもしろい。」

 白虎から人間になった郷が呆れ顔で見ている。

「なんだ、この透明な膜?」

 慎が隼人と同じように、膜に触った。

「はっ、ぷにぷに?俺には固くて、硬質な感じがするけど。」

 守がハッとして、雪に触るように言う。

「私はあんまり、ぷにぷに系は、好きじゃないんだけど。」

 雪は守の言われるままに、恐る恐る触った。

「あれ、なんだ。ぜんぜんプニプニしてないじゃない。固くて硬質な感じがする。」

 守は慌てて、郷にも触るように言う。

 郷は仕方なしに、前に進むと、その透明な壁に触った。

「どんな感じ?」

「そうだな。プラスチックを触っているような感じだな。」

 守は慌てて、自分でもその透明な膜を触った。

「僕は郷と同じように、プラスチックを触っているような感じがするよ。」

 守は、後ろで四人の様子を見ているアテナとアレスにも触ってくれるように頼んだ。

 二人は同時に触ると、

「「クリスタルを触っているような、固い感じがする。」」

「そう。」

 守は、押し黙って、考え始めてしまった。

「おい、どうしたんだ。守?」

 いつまでたっても、動かない守に郷が話しかける。

「あっごめん。取り敢えず、中に入ろうか。」

 守はそう言うと、左手を門の真ん中に、はめ込まれている水晶に当てた。

 途端に水晶が青く輝き出す。

 他のみんなも、同じように左手を門の真ん中に、はめ込まれている水晶に当てた。

 南と隼人がそれぞれ左手を水晶に当てると、水晶は赤くなっただけだった。

 次に郷、慎、雪が当てると、郷が守と同じく青く、慎と南は透明な光を発して、郷の時より、さらに強く輝いた。

 その光が収まると、透明な膜が門の間だけなくなる。

 守が先頭になって、敷地の中に足を踏み入れた。

 六人も後に続く。

「ねえ、なんでさっき水晶の光具合が違ったの?」

「赤くなるのが、魔力がないもので、輝くのが魔力があるものだよ。」

 守が後ろから隼人と手をつないで歩いて来る、南の質問に答えた。

「なら、なんで守たちと慎たちの色が違うの?」

「僕と郷は、守護者と本人が入れ替わるけど、慎と雪には、別人格の守護者が、本人と当時に存在している。その違いで光り方が変わっているんだ。」

「なるほどね。」

 南が納得した途端、建物がある前方から大勢の人間の声が聞こえてきた。

 見ると大勢の生徒が、こっちに向かってやってくる。

 ”””””すごい見たか。本当に人間の姿をしているぞ。”””””

 ”””見えないぞ、押すな!!!”””

 八人が目を丸くしていると、突然大きな声が響いた。

「もうすぐ授業が始まりますよ。もどりなさい。」

 メリクリンが杖を持って、そこに現れた。

 生徒はメリクインの声にびっくりすると、ガヤガヤと学園に方に戻って行った。

「お待ちしておりました。こちらです。」

 メリクリンはそう言うと、八人の先に立って歩く。

 しばらく歩くと、重厚な造りのクリーム色の壁が目の前に現れた。

 どうやらこれが書庫がおさめられている建物のようだ。

 メリクリンは、建物の前で立ち止まると、青い水晶に手を触れた。

 カチッという音がして、扉が開く。

 八人は、メリクリンに促されるまま、中に入った。

 中は細い廊下が続いていた。

 メリクリンは一番奥のドアを開けた。

 中には、地上三階まで階段上に、びっしり見上げるほどの蔵書が並んでいる。

「「「「「「「「すごい。」」」」」」」」

「はい、国内のあらゆる蔵書は、ここ魔術学園と王都の書庫に納められています。」

 南は思わずため息を吐いた。

「この中から、目当ての蔵書を捜すの大変そうね。」

「一応目録はあるのですが、蔵書がその目録通りの場所に、あるかどうかまでは、わかりません。」

 メリクリンは申し訳なさそうに言う。

「しょうがないよ。一つ一つ捜すさ。一応蔵書目録も見せて。」

 メリクリンは手前の棚を指示した。

「あの棚、全部が蔵書目録です。」

 八人はうんざりした。

 目録だけで、頭が痛くなりそうだ。

「取り敢えず、八段あるから一人一段ずつやるしかないね。それらしいものを見つけたら、このしおりを挟んでから、中央のテーブルに置いて。」

 守はそう説明すると、手短な蔵書目録を開いて、一冊ずつ見ていく。

 南と隼人はペアになると、隼人が蔵書を運び、南が本の中を捜していった。

 雪とアテナは、二人で棚の目録を全て運ぶとそれを片っ端かしら見て行った。

 慎とアレスは、二人で擦り付け合い、結局アレスが勝ったようで、慎がしぶしぶアレスが運んで来たものを見ている。

 郷は棚の前に立ったまま中を確認し、それを戻すを繰り返していた。

「うー、ダメだ。頭痛くなりそうだ。」

 慎は隣の雪を見ながら独り言を呟く。

 雪とアテナは、半分見終わった蔵書を元の位置に戻している。

「雪、戻すの俺がやるから、こっち捜してくれない?」

 雪は、無視だ。

「うっ、なにか変わりにやるから、頼む。変わってくれ。」

 雪は溜息を付くと、アレスに声をかけた。

「アレス、私の代わりにアテナを手伝ってくれない。」

 アレスはくるっと振り向くと、持っていた蔵書を慎に渡すと、喜々としてアテナが持とうとしていた蔵書を代わりに持つ。

「アテナ。それは俺が運ぶから、アテナは座って捜してくれ。」

「いや、しかし。」

 アレスはアテナを座らせると、自分がアテナの前に積んであった確認済みの蔵書を次々に元の棚に運んでいく。

 アテナは、しばらくそれを見て固まっていたが、ハッとすると、まだ未確認の蔵書目録に、目を通し始めた。

 雪は二人をほほえましく見た後、慎たちがやりかけの目録に目を通していった。

 半分ほど通すが、ここまでは全て空振りだった。

 まだ中央のテーブルに運ばれた目録はない。

 雪はちらりとそれを見た後、また黙々と確認していった。

 全員で七割ほど見たが、成果は上がらなかった。

 南が首を回して伸びをした。

「雪そっちあった。」

 南が雪に声をかける。

「今のところ、それらしいものはなし。」

「守たちは?」

「「こっちも今のところなし。」」

 南は成果なしなので、取り合えず、もう少ししたら休憩しないかと守に言う。

 たしかに、成果なしで黙々と作業をするのはつらい。

「そうだね。確かに今の所、何もないみたいだし、取り敢えず、もうひと踏ん張りしたら、休憩しようか。」

「「「「「「「賛成。」」」」」」」

 全員声を揃えて賛成した。

 それから守と郷は自分たちの分の精査を終えたが、その棚から何も見つからなかった。

 南も一通り見るが成果なしだった。

 残るは、雪とアテナが今見ている山のみだ。

 その時アテナが声を上げた。

「あったぞ。」

 全員がその目録を覗き込む。

 守がガイアに代わると、アテナの蔵書目録を受け取った。

 確かに、そこには洞窟の内容記述が記載されているようだった。

「棚の番号は3-777番。アポロン兄さん。」

 ガイアが声をかけると、すでに郷からアポロンになっていた彼が、書庫の三階に向かった。

 ガイアの呼びかけで、アポロンが蔵書を取りに向かったすぐ後に、雪も最後の一冊で、同じような記述を発見した。

「こっちにも同じ記述があるわ。場所は2-777番見たい。」

 慎が雪の見つけた蔵書を取りに、二階に向かった。

 その後、アテナがまた同じ記述を見つけた。

「あった。棚の番号は3-999番だ。」

「俺が見に行こう。」

 アレスはそう言うと、三階に蔵書を取りにむかった。

 その後もアテナと雪は、最後の慎たちが確認しなければならなかった蔵書を見たが、同じ記述のものは見つけられなかった。

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