14.隼人と南の体験談
郷と守の体験したことを聞いた後、隼人と雪も四人と別れた後の事を話した。
「俺達も郷たちと同じように、洞窟に飛び込んだと同時に、穴が塞がったんだ。後ろに戻れなくなったんで、ひたすら前に進んだ。でも、行けども、行けども、道しかなかったよ。なにも出ないばかりか、本当になにもなかった。最後は行き止まりになったかと思ったら、洞窟から吐き出されて、慎たちに助けられた。後は郷と守が知っている通りだ。」
「だから私たちは、守護者も、メリクリンさんが言う、使い魔ももっていないわ。」
南が申し訳ないような顔で、謝っている。
「違うよ。申し訳ないと謝らなければならないのは、僕たちのほうだよ。」
「えっ、何言ってるの。」
「さっき雪が聞いただろ、あの遺跡はなんだって。」
雪は頷いている。
「あれは、ある意味、前世の自分に出会うための遺跡なんだ。」
「前世の自分。」
四人は声をそろえて、反芻する。
「そう、昔はそのための遺跡だったんだ。でも今ではあの遺跡は、使い魔を得る為に使っているんだろ。」
守はメリクリンを見た。
「はい、そうです。私が洞窟に入った時は、自分の前世に出会うようなことは、ありませんでした。私があの遺跡で、出会ったのは、この青い鳥です。」
そう言うと、メリクリンは、手のひらの上に青い鳥を出して見せた。
「「きれい。」」
南と雪が声を揃えて褒める。
そこには、輝くように、青々とした小鳥がいた。
「ありがとうございます。」
メリクリンはうれしそうに、二人から発せられた褒め言葉を受け取った。
小鳥も嬉しそうにさえずっている。
「メリクリンは、その小鳥をどうやって、使っているの?」
「そうですね。魔法を使う時の補助とか、魔法の伝達に使っています。」
「他には?」
「その他はこれといって、ないですが。」
「そうか、やっぱり大変なことになってるようだね。」
「大変なこと?」
「そう、四百年前にあの遺跡の傍には、あんな黒騎士なんかいなかったんだ。なのに、今はいる。それどころか、異世界人まで召喚しちゃってるんだよ。」
「異世界人の召喚って、私たちのこと?」
雪が自分たち六人を見回した。
守は首を振ると、
「僕らじゃなくて、正確には、あの汽車の中や洞窟内で死んでいた人たち、そして隼人と南の二人だよ。」
「えっ、でも私たちも・・・。」
「よく聞いて、雪。僕たちは元々、この世界に、生まれ変わるはずだったんだ。」
「それじゃ。」
「そうだよ。たぶん何かの力が働いて、僕たちは逆に、異世界に今まで飛ばされていたんだ。でも今回、また遺跡の力で、元の場所に戻ってこれた。それも今度は、逆に、あっちの世界から、隼人や南を召喚するような形で、連れて来ちゃったのさ。」
「そんな。」
雪は驚愕で固まっていた。
雪だけでなく、全員がそんな状態だった。
「それはガイアが言っていることか。」
郷が守に問いただす。
守は頷いた。
「守、それじゃ俺達は、元いた世界に戻れるのか?」
隼人は守に問いかけた。
「南と隼人なら、遺跡の力で帰れる可能はあるよ。でも僕や郷、慎、雪は、元々こっちの人間なんで無理みたい。」
守はきっぱり言い切った。
郷、慎、雪の三人は、守の言葉に呆然としている。
「雪。」
南がテーブル越しに、雪の手を握っている。
「大丈夫?」
あまり大丈夫じゃない声で、南に雪が笑いかけた。
「大丈夫。」
目が泣きそうである。
メリクリンも、守の驚愕の話に、目を丸くしている。
守は、大きなため息をついた後、メリクリンに視線を固定した。
「メリクリン。」
「はい、なんでしょうか?」
「今、この国に、書庫かなんかない?」
「一応、書庫なら魔術学園と王宮に書庫がありますが?」
「じゃ、僕をそこに案内して。」
「はぁ、それは構いませんが、またなんで。」
「今、聞いた話だけじゃ、遺跡がなんで、そうなっちゃったのかわからないから、書庫に行って、調べて見ようと思って。」
「確かにそのほうが、良いでしょうね。わかりました。明日までに、王宮と学園の両方の書庫の閲覧を申請しておきます。」
「ありがとう、なら申請者は、ここにいる全員分をお願いね。」
守る以外の5人が目を剥いている。
「当然でしょ、僕一人で調べられないもの。手分けするのは当たり前だよね。」
守の笑顔に、5人は黙って頷いた。
「じゃ、メリクリン、よろしく。」
「畏まりました。」
「あっ、それから、僕たち三人も慎の部屋で寝るから、そこよろしく。」
「はい、でも別々の部屋も用意できますが、ご一緒でよろしいのですか?」
「うん、色々話さなければならないこともあるし、そのほうが都合がいいんだ。」
「わかりました、なら・・。」
メリクリンは、南を見た。
雪がすぐに気が付いて、
「ええ、私も南といろいろ話したいから、南は私の部屋で、一緒に寝られるようにしてもらえるかしら。」
「わかりました、そのように用意させましょう。ではこのことは、私の方から王へ報告して、おきます。」
「うん、そこはまかすよ。よろしく。」
守の話が終わったところで、六人はそれぞれに別れて、部屋に向かった。
外は夕暮れになって、少し寒くなっていた。




