12.再会
「良かったぁー。死んじゃったんじゃないかと、思ったんだよ、南。」
南が雪に抱き付く。
「おい。生きてるんだったら、生きてるってことを知らせろ、アホ。心配したんだぞ。」
隼人が慎の胸ぐらを掴んで、叫んだ。
「おい、落ち着け、わかったから。く・・・く・・・くびが絞まる。苦しいだろ、オイ。」
慎が、本気で胸ぐらを締め上げる、隼人の腕を掴んだ。
「ああ、すまん。ついな。」
隼人が我に返って、慎の胸ぐらを掴んでいた手を離した。
「まったく。首が絞まって、死ぬかと思ったぞ。」
慎が隼人の手が離れたあと、自分の首元を撫でた。
二人は友との再会に我を忘れていたが、今の異常な状況に、やっと気づいた。
「「なんで、空飛んでる(の)んだ?」」
二人は、自分たちが乗っているものを見た。
「へっ、竜って、一体どういうことだ、槙。」
隼人が慎に詰め寄る。
「とにかく、事情は後で話すから、今は待ってくれ。」
慎が隼人に説明していると、すぐ隣で南が同じことを、雪に問いただしていた。
「このフクロウどうしたの、南。」
「ちょっと待って。落ち着いたら、全部説明するから。」
『『もうすぐ、違う二人が出てくる(わ)ぞ』』
「「どこに出てくる(の)んだ?」」
『『真下だ。』』
雪と慎が下を見ると、洞窟の中ほどの穴から、何かが飛び出してきた。
真っ白な翼が生えた虎だ。
「「「「白虎。」」」」
四人が見守る中、白虎は翼を羽ばたきながら、雪と慎が飛んでいるところまで、上昇してきた。
「見つけた。みんなぁー。」
白虎の背には、守が乗っていた。
「「「「大宝くん(守)。!!!」」」
四人は、白虎に乗って、手を振りながら近づいてくる守を、唖然とした顔で見ていた。
いち早く我に返った隼人が、郷がいないのに気がついて、慌てて聞く。
「守、郷はどうしたんだ?」
「えっ?」
守はきょとんとした顔で、隼人を見た。
「郷だよ、守。あいつは、今どこにいるんだ?」
「えっ、目の前にいるけど?」
守が何でそんなことを聞かれるのか、不思議そうな顔で答えた。
「「「「えっ、目の前って!!!」」」」
四人の目が白虎を見た。
「「「「えーーーーーうそぉーーーーーーーー!!!」」」」
「白虎が郷なのか。」
隼人が信じられないことを聞いて、愕然としている。
「なんでみんな、わからないの?」
『『『『普通、その白虎見て、郷(大宝くん)だと誰が気づく(の)んだ。』』』』
四人は心の中でそう思ったが、誰も敢えて、口にしなかった。
「とにかくここで、ずっと飛んでいても仕方ないわ。私について来て。」
雪が先頭になって、城を目指した。
その後を隼人を乗せた慎と白虎(郷)に乗った守がついて行く。
守が隣を飛んでいる隼人に聞いた。
「どこに向かっているの、隼人?」
隼人は、不本意ながら慎の腰に落ちない様に手を回して、しっかり密着した状態で答えた。
「俺に聞かれても、わからない。」
守は慎を見た。
「王城だよ。」
「「王城!!!」」
隼人と守が叫ぶ。
「ああ、昨日あの洞窟前で、黒騎士に襲われている人を助けたんだ。それで、その助けた人たちが、たまたま王城に住む人で、昨日は俺も雪も、その王城に泊まったんだ。」
「そう、王城ね。」
守は、なんだか気乗りしない様子で呟いた。
そんな話をしているうちに、一行の前に、城が見えてきた。
「すごい、素敵ね。」
南は、真っ白な城の外観を見て、感嘆の声を上げている。
雪は城の城門の前に、舞い降りた。
慎と守もそれに続く。
アテナは、南と雪が背中から降りると、人間の姿に戻った。
「な・・な・・な・・・なんで、人間になるの、えっ・・えぇえーーーー。」
南が目を真ん丸にしながら、アテナを見ている。
「こちら、アテナ。でっ、彼女は私の守護者なの。」
南は慌てて、アテナに手を差し出した。
「はじめまして、南です。」
アテナはとびきり素敵に微笑むと、南の手を握り返すと挨拶した。
「雪の守護をしているアテナだ。よろしく。」
アテナは、南にあいさつした後、後ろにいる、守たちに近づいて行った。
守が目を丸くして、アテナを見ている。
「よっ、よろしくお願いします。守です。で、こっちが友達の郷です。」
まだ白虎の姿のままでいる郷の代わりに、守が彼をアテナに紹介した。
アテナは本当に嬉しそうに微笑むと、白虎の毛をワサワサと触りながら、あいさつした。
「よろしく郷、アテナだ。」
郷が白虎の姿で、頭を下げる。
アテナはさらに目を細めて、白虎のフワフワな毛を触る。
「それにしても、この手触り最高だな。このふっわふっわ感がたまらない。」
アテナが白虎に頬擦りしている。
それを見ていた竜が、慌てて慎と隼人を背から放り出すと、すかさず人間になって、アテナの手を引いた。
「アテナ、それ以上、そいつに触るな!!!」
アレスはそう言いながら、白虎を殺気の籠った目で、睨み付ける。
白虎がビクリと震えた。
「なんだ急に、アレス。別にちょっとモフモフしているだけだ。何も問題ない。」
アテナはやめようとしない。
「そんなにモフモフしたいんなら、俺を触れよ。いくぞ。」
アレスはアテナの手を強引に掴むと、王城の橋を引きずっていく。
「ちょっと、アレス痛い。それにお前で、どうやって、もふもふするんだ。竜に毛はないぞ。」
「うるさい、黙れ。」
アレスは、そのままアテナを引きずって、どこかに行ってしまった。
その様子を見ていた、雪と南は二人で顔を見合わせると、アテナと同じように、|白虎(郷)に近づいて、そのもふもふとした毛を両脇から、さわさわと、触って見た。
「「たしかに、もふもふして、病みつきになる手触りね。」」
竜から振り落とされて、唖然としていた隼人と慎が、白虎になっている郷をさわさわしている南の手を隼人が、雪の手を慎が掴むと、
「「いい加減に、城に入るぞ。」」
「「ええーーー。もうちょっと触りたい。」」
橋を引きずるように、渡って行った。
「郷、取り敢えず、元に戻った方がよくない。」
郷は、唖然とした雰囲気から正気に戻ると、慌てて人間になった。
「今のは、なんだったんだ?」
「あまり深く考えない方が、いいと思うよ。」
「ああ、そうだな。」
二人は、みんなが渡った王城の橋を、トボトボと歩きながら、彼らの後から城に入って行った。




