One
夕日が子どもを家へ帰す 月が世界を淡く照らす
街に漂うカレーの匂いと 色づき始める食卓の灯り
変わらず進み続ける時計 滲み続ける紫の空
あの空に吸い込まれそうな不安 ママのベッドに潜り込む少年
いつまでも繰り返すと思っていた時間
一度だって繰り返されたりなんてしなかった
今ならわかるよ 少しだけ大人になった僕ならば
大切に想う人が 一人一人 増えていくよろこび
今ならわかるよ 少しだけ 苦さを潰した僕ならば
大切に想った人が 一人一人 去っていくかなしみ
絶対のない世界の雨に打たれて軋み鳴く僕の骨
今頬を伝う雫は 雨の下にいる君のための涙
「泣いたっていいんだよ」
雨が上がれば いつか陽が差し 未来へ向けて 虹が架かるよ
似たような日々に ほんの少し 笑顔を添えて
ありふれた日々で ありふれたディナーを囲もう
今ならわかるよ 少しだけ大人になった僕ならば
大切に想う人と 一つ一つ 噛みしめる幸せ
今ならわかるよ 少しだけ幸せを知った僕ならば
大切に想う人を 一人一人 抱きしめるその意味
みんなとわかり合えるなんて 思ってなんかいないけれど
十人十色 違いがあるから だから世界は美しい
今でも迷うよ 少しだけ大人になれた僕だけど
不器用にしか生きられず 一つ一つ 福音を壊す
それでも歌うよ 今もまだ子どもの頃の僕のまま
大切に想う人に 一つ一つ 想いを届けるため
今ならわかるよ 少しだけ大人になった僕ならば
大切に想う人が 一人一人 増えていくよろこび
今ならわかるよ 少しだけ大人を夢見た僕だから
大切に想う人が 一人一人 大人になる世界で
一つ一つ 未来が浮かんでは消える
力強く伸びる花のように 空を泳ぎ回る鳥のように
音を抱いて走る風のように 僕たちを眺める月のように
進み続ける時計の針を ひと刻みずつ感じながら
雨の上がった蒼天の下で 七色の橋を探しながら
温かい食卓を思い浮かべて あの頃の音を奏でてみるよ