表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
億万長者=最強?  作者: 俵 利用
3/3

三話 調子に乗っていると高くつくよ

 後で書きなおすかもだけどとりあえず投稿。

村長の娘さん―――イースの勧めでエルフのおばさんが営んでいる宿屋に1000G、銀貨10枚で支払って泊めてもらうことにしました。1G=1円だと考えたらメッチャ安ッです!


 これでご飯つきなのだから日本の旅館と比べてかなり安いなと思った。だがすぐに考えを改めた。部屋は質素ではあったがベッドもあり泊まるにあたって不満は感じなかった。


 だが問題は食事だ。不味かったのだ。というか味がしないのだ。水粥に塩などの味付けが一切ないようなスープと言ったらわかってもらえるだろうか。調味料は使われていないから味がせず、正直食べれたものではなかった。宿屋のおばさんに調味料を使わないのかと聞いてみたら「そんな高価なもの家には置いてないよ」と苦笑された。


 おばさんから話を聞く限りだとどうやらこの世界の調味料は高価な品物のようです。東方大陸からの輸入に頼りきりで絶対的に供給量が足りていない様子、とてもではないがこんな田舎町の宿屋まで調味料が行き渡らないのだと。日本ではワンコイン(500円)程度で買える品が異世界ではその十倍の値段で取引されているのだからその貴重さは推して知るべきだろう。


 だからと言ってさっさと都会にいって豪遊しようぜとはいかない。村の外の世界に何があるか分からないし、何よりこの世界の常識というか一般知識を知らねばとてもではないが豪遊などといっていられません。普通に暮らすことすら危ういです。都会どころか田舎でも危険がたくさんです。しばらくは力と常識をためて安全だと判断してから外に出ようかと考えてますし。


 「じゃあ、おばちゃん、出汁とかとらないのは何で?」

 「ダシって何だい?」

 「はっ?いえ、骨からエキスみたいのを絞りだすと言いますか……」

 「はあ?骨?家は料理に骨なんて使ってないよ、まったくおかしなこと言う子だねえ」

 (出汁知らないとかマジっすか!?)


 骨から出汁をとるという発想自体がないようなのだ。というか出汁という言葉自体知られていないようです。世界一飯が不味いと言われている国でもここまで食文化が酷くないと思う。


 (あまりの文化レベルの違いに冷や汗かいたぜ!)


 こんな食生活レベルでは食事についてはどうしようもない。手持ちに材料があるわけでもなし、すぐに解決できるわけでなし。諦めた。


 僕はその足で武器屋と防具屋へといった。やっぱりね武器とか欲しいでしょ男の子だし!


 武器は筋力Fでも装備可能なダガー二本と投げナイフ20本購入。本当はある程度、間合いが取れるロングソードか槍系武器で持ちたかったのだが重いし嵩張るということで諦めた。近接武器がだめならと投擲武器で距離を取ろうかと思い苦肉の策だけど投げナイフ20本を買った、器用Aの僕だからそこまでひどいことにはならないはず、……たぶん、……きっと。計19000G。


 その後、防具屋にいくも、金属系の防具で僕に合うサイズなんてものはなかった。大体こういうものを装備する人ってマッチョな人だから、置いてないんだって。


 地球みたいに大量生産大量消費という訳にはいかないから当然といえば当然。


 だから防御力がかなり下がるがスピードを生かせるレザージャケットを購入する、ここら辺で一番強い魔物の黒狼の皮を丁寧になめしたものなんだと、見た目重視で選んだけどエンチャントこそかかっていないものの自慢げにマッチョエルフのおっさんが話してた。

たかだか500000Gで買えたけどな!


 ちなみにエンチャントというのは説明するまでももないが魔力付与のことだ。いろいろ便利効果を付ける事らしい。定番だね!失敗したら魔力が漏れ出してその武器もしくは防具をズタボロにしちゃう仕様らしいよ。これまた定番だね!


 お次は行商人にここら辺の地図や常識、歴史本を大量購入、300000G也。


 やっぱ、活版印刷術が発達してないせいか一般的には高価なものみたい。十冊ほどまとめて買ったら行商人のおじさんに目ぇ見開いてびっくらこいてた。


 宿屋に戻ってさっそく買った本を開くが……


 (文字読めねえ。)


 お金チート以外本当に何もないんだな俺……。


 仕方がないので村に繰り出して昨日のスキル屋のおっちゃんに頼んでスキル【読解】《リーディング》を200000Gで購入。


 僕はついでに夜食用のパンを買って異世界知識補充に引きこもる。


 (ふむふむ、何々……)


 書籍によれば、文明は思ったとおり発達した都市部でも地球で言う中世ヨーロッパレベルで200年ほど止まっているみたいだ。細かい発達はあれど、大きな産業革命は未だ訪れず、銃器や機械類もこの世界にはない。その代わりのように、魔法や稀にではあるが地球でもお目にかかれないようなオーバーテクノロジーの魔導具がダンジョンと呼ばれる迷宮から時々、発掘されているようだ。


  一冊目は主に世界観の知識だった。二冊目を手に取る。


 人間族、亜人、エルフ族やドワーフ族、獣人族その他様々な雑種がお互いまたは一方的に敵視、迫害し暮らしている。例えばアテネス連邦国ではさまざなま小国家が集まり形成しているためどんな種族であろうとも国民権を手に入れることができる。一方、エルトフ帝国と呼ばれる大国――現在、世界の覇権を握っている国は混ざり物にやる国民権はねえ状態なんだと。


 だが、僕にとってそんな国政状態はどうでもいい!僕の目は一文に止まっていた。


 尚エルトフ帝国では奴隷制度が充実しておりエルフ、ドワーフ、獣人族等、様々な種族が奴隷として金銭での売買が許されている。


  ナニコレ奴隷!エルフとか獣人族を奴隷にできるってマジっすか!?


 これは僕でも「まあいい」で流せる情報じゃないっすよ。僕お金持ち奴隷たくさん買える、ハーレム作れる。ヒャッホーーーー


 …………騒ぎすぎておばちゃんに叱られました。反省。



 


 「ふわぁ~眠ぅ~」


 細かい文字ばかり読んでいたからかはしゃぎすぎたせいかアキトはウトウトと船を漕ぎ始める。耐え切れないというふうにそのまま机に突っ伏すように眠り込んだ。


 目覚めたら白い空間にいました。目に前に中性的な少年?がいるからここが例の記憶にあった場所なのでしょう。


 どうやらまたあの白い空間に招待されたみたいですよ。こっちの了承無しに、所謂、誘拐だよね。


 『いやいや、夢を共有してるだけだから誘拐とはいえないんだよね、これが』

 「あれ?僕言葉に出していました?」

 「思考を読み取っただけ、神様だからねそれくらいはできるんだ」


 素晴らしい説得力に思わず納得しちゃったよ。いつか自分も使ってみたいものだ。僕は神様だ。うん。無理。


 「その割には記憶の奪い方が中途半端ですよね?」

 『そうはいうけど、記憶を完全に消し去ることはいろいろ難しいんだよ、君達が思っているよりね。体に染み付いた記憶は特にね。味覚の記憶だって残ってたでしょ?強く印象づけられた記憶を消すのは神とはいえ容易ではないんだよ。あと、奪うのは記憶だけに限定したからね。知識と記憶を分割して奪うのはさらに難易度が上がるしぶっちゃけ天地創造よりむずかったんだよ』

 (……天地創造とか話盛すぎじゃね?)

 『いやいや、事実だってピンセットで物を掴むのと手で掴むのどっちがやりやすいかって言われたら手でしょ。それと同じ感じ』

 「はあ、つまり細かいことが苦手と?トラウマも残っているのも大雑把な記憶操作の影響と?」

 『いいや、ただ単に僕が君のトラウマをもらうなんてゴメンだっただけ』


 そりゃあ誰だって嫌でしょ他人のトラウマをもらうなんてそれがたとえ神様でもねと続けて呟いた。


記憶の消去ではなく記憶の譲渡だったのですか。嫌がらせとか疑っててスイマセン。


 『ああ、それと異世界から元の世界に帰ろうとしても無理だから、……最も君はそんなこと考えてないだろうけどね』



 どうやら僕の思考を読み取って先読みしたようだ。うん?なんか日本語変くね?


 (話さなくていいのは楽であるからいいけど。まさにツーカーの関係ってわけですね、全然親しくなった記憶がないけど)


 『んふふ、やっぱ君を選んで正解だったよ、やっぱり生は楽しい』

 (生?)

 『僕のオーダーメイドじゃないってことだよ。つまり、自然発生した人間とでも言えばいいのかな。君の32代前だったかなそんな感じの作ったんだけど自分が作られた存在だと知った瞬間、自殺しちゃったんだよ。それはそれで楽しかったんだけどね。中途半端に終わって不完全燃焼だったんだよ。で、その反省を踏まえて、次に代には記憶封鎖をかけて作ったんだけどなこれまたなんかぎこちない感じになって全然、楽しめなかったんだよ』


 (はあ、それは残念でしたね)

 『君は淡白だね~、もしかしたら君がそうなっていた可能性だってあるんだよ。例えばの話だけど、もし君が『モノ』だと言うならどうするんだい?』

 「別にどうもしないよ、ただ与えられた生を謳歌するだけ。作り出されたって言うならそれはそれで別に構わない。母親の股ぐらから生まれようがあんたの手の中から生み出されようが僕という意識があるならそれでいい」


 言葉に出さなくても勝手に伝わるが、なんとなくこれはちゃんと言葉に出して言わなければならないと思った。

 

 『ふふふ、素直じゃないねぇ』


 中性的な少年?クスクスとなんでもわかってますよ的な笑みを浮かべる。


 ちょっとその笑みにイラついたけど僕が言ったことに嘘はない。そもそも記憶がないのだ。どっちから生まれてようが正直どうでもいい。

 

 『おっと、もうこんな時間か…楽しい時間というのはあっという間だね。それじゃあね、■■■君。別に魔王を倒してこいとか、国作って王様になってこいだなんて言うつもりはないからそれはもう作ったことがあるからね。ただ私を楽しませてくれればそれでいいよ♪』


 そこで僕は二度目の目覚めを体験する。


 夢の中で長々話していたせいか全然疲れが取れない。誘拐ではないかもしれないけど立派な安眠妨害だ。


 朝食はまた水がゆのようなまずい飯でした。


 (もう無理、これ以上豚の飯食べるのは絶対無理)



 という訳で狩りじゃぁ!肉じゃあ!


 準備もできたことだし森の外へ行こうかとおもう。といっても日帰りだが。


 僕は運動能力がどれだけ上がったのか試す必要があると感じていたのでちょうどいい。はっきり言っていきなりステータス上強くなったと言われても実感がわかないんだよね。


さて、問題は場所を何処にするかということなのだが、ハッキリとした物差しが必要だ。というわけで森に来ています。昨日、僕が手も足もでなかったホーンラビット(仮)(名前を聞き忘れたので)と対峙したいんだよね、こう見えてもリベンジに燃えてます。フフフ正直強くなったから仕返ししたいんだよね。


 少し怖いがステータス上、問題なく倒せる相手だしそれにある程度の緊張感というものは必要だと思う。実力なんて言うものはいつでも出せる状態でなければ意味がない。びびって実力の十分の一も出せなかったじゃいざというときに困るのです。 


 僕はさっそく買ったばかりのダガーを右手に持ち、村の近辺にある森、というか森のなかに村があるという感覚なのだが―――に入っていた。


 森の中に入ってすぐにホーンラビット(仮)を見つけた。野生の獣のくせに随分見つけやすい。警戒心とかあるのでしょうか。


 ホーンラビット(仮)はこちらに気づいていないみたいだけど、わざと僕は音を出して近づく。耳をピンとたて、気づいたようだ。


 こちらに気づいてくれたのはいいがなんか昨日とうってかわってすげえスピードで逃げてくんですけど。逃げられると追いかけたくなるのが人間でして極端に強化された脚でホーンラビットを追いかける。


 「って、疾いな僕!?」


 追いかけるつもりが追い越してしまった。


 といか目の前に木がすごい勢いで迫ってくる。


 「うわっと…止まれぇええ!」

 

 そんな僕の意思に反応したのか【軽身功】が発動する。


 すごい勢いで木を蹴りつけるが反動がない。そのままホーンラビット(仮)へと反転。


 ホーンラビット(仮)慣性を無視した移動に反応しきれなかったのかあっさり捕まる。

 

 「びっくりしたあ……敏捷Sってこんなに速いのか……というか【軽身功】地味にスゲエ」


 無駄に超人的な身のこなしに驚きつつも狩りは続く。今度はちょっと抑え気味に走ろ。  


 それからもうさぎちゃんを見つけては【軽身功】を使い体重をなくし大地といわず、木や岩を蹴りつけ、立体機動でホーンラビット(仮)を捕まえて麻袋に放り込んでいく。一つDが増えるだけで人はこんなにも自由になれるのかとちょっと感動した。


 【縦横無尽】を習得しました。


 あれぇ?突然、頭の中にナレーション流れたんですけど……スキルという存在があるのは知っていたけどわざわざ律儀に教えてくれるもんなんだ。親切設定にちょっとお兄ちゃんびっくりだよ。


 《天の窓》で確認してみたらバッチリ【縦横無尽】の文字が刻まれていた。


 え~っと何々、空中を一度だけ踏みしめることができます。……何それ?


 試しに意識して空気を踏みつけるとなにか足ごたえがある。


 何これ?


 もう一度踏み踏みすると消えた。ふむふむ。


 いくつかの検証をしてみたがどうやら空中で一回だけ足場を作るみたいです。なんというかむちゃくちゃです。自然法則少しは働け。



 


 それからも慣らし運転は続きました。


 「ははははははははッ!!ひゃっほー!!」

 

 これは楽しい。キャラが立ってない僕がキャラ崩壊を起こしてしまうほど愉しい。身体が風のように軽い。こんなにも体が自由自在に動けると楽しく感じてしまうのはしょうがない、記憶がない僕にとってこれが実質的、初めての運動になるのでしょうか、ホーンラビットに追いかけられた時は運動というよりデスレースでしたから。


 そんな興奮は二分も続かなかった。調子に乗って走りすぎました。息も絶え絶え正直もう走りたくないです。誰だよ体動かすのが楽しいとか言ったの。


 それにしたって息が切れるのが速すぎる気がします。いくら運動不足の僕だってどこぞ巨大ヒーローみたいに3分で息切れは流石にしません、ホーンラビット(仮)に追いかけられていたときでさえ10分は持ちました。


 思うに速すぎて、体力がついていかないのだろうと思った。敏捷Sに対して体力が低すぎたのでしょう、なにせ体力の方はFですから。例えるなら軽自動車にロケットエンジンを積むようなものですか。すぐにエンストを起こしてしまう――いや、エンストぐらいならまだいいけど最悪エンジンに耐えきれず自壊してしまうことだってありうるのでは……。


 そんな想像をしてぶるぶる寒くもないのに震えが止まらない。


 (そんな極端なことがなくても敵の真っ只中で息切れとかあったら……)


 先ほどよりリアルに想像できて冷や汗がが頬を垂れる。ブルブル。


 短期決戦ならともかく長期戦になるとボロが出てくる。体力は売ってないからな地道に鍛えるしかなさそうのがまた笑えない。修行必要ないとか誰が言ったんですかね、まったく。


 しばらくは抑えて走るようにしよう。





 「ふふふ、今日は肉祭り♪肉祭り♪おばちゃんに調理してもらおうっと」


 そんなことを歌いつつ帰途につく。 


 久しぶりに食べたお肉は野性味があって美味しかったです。


 あと、厨房を貸してもらって早速ウサギちゃんの骨で出汁とったスープを作ってみました。


 宿屋のおばさんにも一口飲んでもらったら胃をがっちりスネークバイトしてやりましたよ。


 おばちゃんがどうしてもと頼み込んでくるので調理方法を教えてあげた(と言ってもじっくりことことするだけだけど)これで宿屋も少しは繁盛するといいのですが、ぶっちゃけここの飯激マズのせいでだいぶ損している気がするし。


 おばちゃんはお礼に宿代はいらないよと言ってくれました。嫌味に聞こえるかもしれないが宿代くらい僕にとってほんとどうでもいい出費だったので謹んで遠慮しました。


 僕もわざわざ鍋の前で時間を潰さないで済むから教えただけですし。



 

 そんなこんなで一週間ほどその生活が続きました。


 僕のステータスはこんな感じになりました。


  名前 アキト 種族:人間 職業:なし

Lv:13

年齢:17

筋力:F→D

体力:F-→C-

魔力:G-

敏捷:S

器用:A


スキル 【多種族言語】(オールラングエッジ)【読解】(リーディング)【体術B】【軽身功】【縦横無尽】【短刀E】【投擲F】


 新しいスキルが二つ増えました。ダガー素振りしたり、投げナイフを的やウサギめがけて投げてたら【短刀E】と【投擲F】を覚えた。イースに聞くと一週間でFはまあまあなんだって特に才能があるわけじゃない常識的スキル且つ常識的習得スピードなんだと。


 ただ【縦横無尽】を覚えたっていったら驚かれた。よほどの達人じゃないと覚えることは無理だと言われる習得難易度Sランクに該当するんだって。


 もちろん、僕に才能があったとかじゃなくてただ習得しやすい下地が揃っていただけだなのだと思う。【軽身功】という身軽さと敏捷Sというスピードがあったからこそこうも簡単に覚えれたのだろうな、うんあんな常人離れしたこと普通はできねえわ。


 まあ、推測未満思い込み以上の考えに過ぎないけど君に才能があったんだと言われるよりはよっぽど信じられる仮説だ。


 仮説ついでで言えば、体力の方が上がりがいいのは素養とかじゃなくて敏捷のお陰で負荷が大きくかかったせいだろう。重石付けて走るのと同じだ。負荷がかかれば体は勝手に適応しようとする。


 逆のことも言えるけどね、才能がありすぎるあまりに技術が成長しないパターンとか。気をつけるようにしよう。






 その日もいつものように体力をつけるためにホーンラビット(仮)を追いかけるという日課に出かけた。ハーレムを作るためにも体力は必要不可欠。変な意味じゃないからね。


 森から村へかえる街道の途中、盗賊に襲われました。といってもみたことある顔がちらほらどうやら村人のようです。口許をスカーフで隠していますがバレバレです。こう見えても記憶力はいいのです。記憶喪失してますけど。


 要件は9割くらいはその格好を見た瞬間、理解したけど一応、話を聞いてみた。同時にイースが言っていた色々というのはこれのことかと納得しました。

案の定、彼らは種族がどうのこうの言ってから人間族(ヒューマン)ごときがそんな大金を使うのはどうのこうの言って俺達高貴なエルフ族が使ってやるからおとなしく差し出せ云々。


 種族意識が高いというかプライドがお高くとまっていらっしゃる方がいるのですね。初日に、無遠慮に投げられていた視線はただ単に珍しいというだけでなく村に入ってきた異分子を警戒する視線だったわけですね。


 宿屋のおばさんもエルフでしたけど気さくにに接してくれていたからあんまりそういうことないのかなと意識してなかったけどやっぱりあるのですね異種族差別。まあ、当然といえば当然ですか。肌が違うだけで争うのが人間ってものですから。


 あんまりに長口上だったので素早く回り込んでダガーの柄部分で後頭部を思いっきり叩いてやりました。


 【体術B】も加わったのか一撃でリーダー格らしき男はあっさり気絶した。

 

 敏捷Sのおかげで低ステータス相手ならば「ふっふっふ、どこを見ている後ろだ」をガチで実践できるようになったようなったし、村人相手ならばぶっちゃけ僕の敵ではない。


 そこからは僕のワンサイドゲーム。


 殴りかかってきた男にカウンターの一撃で迎え撃ち、鎌で斬りかかった者には左のダガーで受け止め、右のダガーをこめかみに打ちつける。鍬を頭部に振りおろそうとかかってきた男には足を引っ掛けて転倒させた。


 【軽身功】と【縦横無尽】を駆使しまくった悪夢のような曲芸のような動きに翻弄される盗賊たち、誰も僕の姿を捉えることができない。


 その戸惑う様がちょっと可笑しかったので笑ってしまった。恐慌状態の彼らにはもはや木霊する笑い声でさえ恐怖の対象だったのか。「ヒィィィィィッ」と叫んで一人また一人と逃げていく。


 うんちょっと愉悦。どうやら僕は現代社会における暴力による抵抗感とか罪悪感とかが著しく欠ける性格らしい。


 事情を聞くために逃げ遅れた男に投げナイフで足を止める。器用Aによって補正された投げナイフは僕の思い描いた軌跡をそのままに取り巻きの一人のズボンを大地に縫い止める。


 気弱そうな男は尋問するまでもなく勝手にペラペラしゃべってくれました。どうやら狭い村ということもあって、僕が連日、高い買い物をしていることが噂になっていたようです。


 目立つような行動を避けていたつもりなのですが村人たちには結構バレバレだったようです。


 一方、村人からすれば黒狼のジャケットという代物を常時装備しておいてどこが目立たないような行動を避けていたのかというか感じなのだがアキトはまるで気づいてない様子。


 それにしても、田舎の情報伝達スピードはすごいです、ここ一週間買った代物のほとんど全て把握されていました。田舎恐るべし。

 

「うーん、どうするかなこれから」


 村人に襲いかかれるとかそろそろ村とか出たほうがいいだろうかと考えるが


 (まあ、いいか)


 考えるのをやめました。思考放棄です。また返り討ちにすればいいかなとだけ思っていつものように宿屋へと帰る。


 


 買い物内訳


 【読解】 200000G

 【鉄製ダガー】×2 17000G

 【投げナイフ】×20本 3000G

 【黒狼のジャケット】 500000G

 雑費 310000G


 残金 99,948,970,000G


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ