目覚め
「……う、ぁ?」
目が覚めた瞬間、響く鈍い頭痛に頭を押さえ周囲を見渡せば。
「何、ここ」
見知らぬ白い部屋。オッサンはいないし、部屋にあるのは私が寝ているベットと枕元に置かれている知らない花が生けられた花瓶が一つ。
「で、でぐち、出口は……」
だらだらと三度寝して起きた昼過ぎみたいに、頭と目の奥がずくずくと疼いて良く見えないけど、風を感じる。通り抜けていると言うことは窓やらドアもある筈だけど……
「どあが、ない?」
と言っても出入り口はあるけど、閉じたり開いたりする機能が無いと言う意味で。
「洞窟じゃあるまいし、どんだけプライバシーないのよ」
まぁいい。閉じ込められていたわけじゃないなら、さっさとお暇しようっと。
「……それにしても、確か洋服屋さんでオッサンを怒らせて、それからの記憶が無いんだけど」
はぁ。
間違いなくオッサンの仕業だな。
「失礼いたします。お部屋にお邪魔しても宜しいでしょうか?」
寝転がり天井を見つめて考えを纏めている途中で、聞きなれない女性の声が聞えた気がした。
「……へっ?!」
勢いよく飛び起きて入り口を見れば
「お初にお目にかかります。マジュ様」
……そこには、クリーム色の艶やかな髪をくるぶしあたりまで伸ばし、緩やかに吹く風に遊ばせている可愛らしい女性が。
「お目覚めになられるのを氷竜様も夫も、もちろん私も今か今かとお待ちしておりましたわ」
え、はぁ、そうでございますか。
て言うか、この人だれ?
「お加減は如何でしょう?お腹は空かれておりませんか?」
そう話す彼女の服装をじろじろと上から下まで眺めると、身を纏う布は上は顎先から、下は床につくほどの長いロングドレスで……袖なんてどこまで捲れば手が出てくるのかと頭を抱えたくなるほど。
「……暑く、ないんですか?」
見ていて思わず口をついて出てしまった問いに、彼女は くすり と笑みを一つ。
「もう、慣れてしまいましたもの。暑くはありません」
ほぉぉ、慣れるって……ある意味凄い。
なんて、私が感心している内に彼女はベット脇まで近づいていたみたいで
「さぁ、着替えを致しましょう?マジュ様は御嫌かもしれませんが、替えのドレスをご用意いたしましたの」
そう言って、広げて見せてくれたドレスは……
「うっ……」
そう、彼女の着ているものと全く同じ動きにくそうなロングドレスだった。
勘弁してくれ!!
お久しぶりでございます。
更新が遅れすみません。楽しんで頂ければ幸いです。