仕事内容
「おぉ!!ここがギルド?!」
……しょっぼ!!本当にここがギルド?!
「ギルドは世界中、種族や国境なんか関係なく設立されている中立組織だからね。どこに行っても見た目は大抵素朴な感じだよ」
……へぇ、何か期待していた分落ち込みも半端ないなぁ。
「それで?この中で換金してもらうにしても、二枚しかないのに服とか食事とか賄えるもの?」
オッサンの神話にでも出てきそうな布を巻いた感じのひらひらした服もいい加減着替えて欲しいし、私のばっちい洋服も、下着とかも揃えたいんですけど……この辺って古着屋はあるのかね?
「マジュは本当に物を知らないんだね?それとも覚えが悪いのかな?でも話しをしている感じじゃそんな風には見えないのに……一体何が原因で村から捨てられたんだろうねぇ?」
……喧嘩売ってんのか?何とも表現しづらい表情で首を振りながらそう言葉を零すビエネを見て、私はひっそりと拳を握りしめた。
「まぁでも、おかげで僕に奥さんが出来たんだ。君がどんな欠点を持っていようと、僕の愛は変わらないからね?」
……蕩けるように甘やかな眼差しを真っ直ぐに向けられ、小さく息を零しながら握りしめた拳を解いた私は
「はいはい、私もアイシテマスヨ?」
そう囁きながらビエネのまあるい首に腕を回し顔を伏せた。
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がやがや、とギルド内は騒がしい。
「マジュここは荒くれ者も多いからね、僕から離れたらいけないよ?」
建物内へ入ったことでオッサンの腕から解放された私は一応手を繋ぎつつ、ギルド内を見て回る。
「へぇ、あの壁に貼られているのが求人欄?」
ギルドの壁にはびっしりと仕事内容や給金が書かれた紙が貼りつけられていて、面白そうだから内容を読もうとオッサンの腕を引きつつ近づけば……ん?!
「ビエネ、私この文字読めないんだけど」
そう、数字は日本と同じ表記なのに文字は全然違う。……なんだこれ?
「そうだね、文字は難しいよね?」
見上げればオッサンはあの捨てられた村娘の設定を思い出しているのか、だんだんと憐れんだ眼差しを向けてくるではないか!?
「あぁそうですとも!!私はこの文字読めないんだから、ビエネ早く読んで!!」
若干苛つきながらオッサンの足を踏んでやった。
「いたた、駄目じゃないか足なんか踏んだら」
そうは口にするものの、オッサンはちっとも痛がるそぶりを見せない。むしろ余裕の表情で私を見つめてくるので余計にムカつく!!
「良いから早く読んで!!」
ダンダンと地団太を踏んで怒っていることをアピールし、やっとオッサンの視線を張り紙へ向けることに成功した。
「仕方ないなぁ……ふぅん、これは害虫駆除の依頼だねぇ。この辺は初心者用の簡単な依頼が多いから面白そうな仕事は書いていないよ?巨大猪の駆除とか、お年寄りの住宅の掃除とか、そんな感じだねぇ」
「……じゃあ、上級者はどんな依頼を受けるの?」
「盗賊団を討伐したり、戦争に行ったり、モンスターを退治したり……暴れ竜を殺したりかな?」
……えっ?!暴れ竜って、竜だよね?!まさかビエネもその枠に入っていたりしないだろうね?と多少驚きながらオッサンの顔を見上げれば
「驚いた?竜と言っても、伴侶を亡くした竜が理性を失って暴れ回るだけだよ」
だけだよって、その笑顔が怖いわっ!!ってか伴侶亡くすって、私が死ぬってこと?!
「まぁ、竜とその伴侶が普通に暮らしていたらまずありえないことなんだけど。稀に人間や他種族が竜の貴重な鱗や骨や肉を狙って襲う場合、最初に標的にされるのはその伴侶だからねぇ」
のほほんと、私の背に片手を添えてギルドの奥へと押し歩きながら告げるには……衝撃的な内容だな!!
「竜の身体は残す部位も無いほどその全てが高額で取引されているんだけど、欲しくても竜って中々死なないし、どうにかしようと思ったらやっぱり伴侶を狙うのが一番効率的なんだよ。まぁ、だからと言って僕等も黙ってやられてあげる義理も無いからね。……大体、僕の大事なマジュに手を出そうなんて生きる価値も無い」
生きる価値って、私個人にそんな他人を否定できるほどの重要性ありましたっけ……?
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