ハイファンタジーで良くある話ながら戦うバトルを目指すおっさん~田舎の剣術道場の師範代のおっさん。美少女が主の剣術道場に入門する話
「親父!王都に行くぜ」
俺はダビン、40すぎのおっさん。田舎の道場の師範代だ。親父が道場主だ。
ブッカー流という剣術の他に体術も教える道場だ。
弟子達は近所のガキどもで、王都に行って出世するものはいない。迎えに来いよ。
ほとんどが冒険者か、畑仕事の時に魔物に襲われた時の自衛目的だ。
だから身軽だ。
「ああ、行ってこい」
俺は更なる高みを得るために修行に出るのだ。
ってなことで王都についた。
「スゲー!建物デッケー」
とにかく情報収集だ。
剣術道場を回る。
「何だ・・・これは・・」
木刀で打ち合っている。
「イタい!」
「いいか、つばぜり合いなんて戯言だ!一撃必殺!」
看板の名は実戦流だ。
ここに俺の求めるものはない。帰ろうとしたら、呼び止められた。
「おっさん。見学だろう?その手にしている物は剣か?同業者だろう。偵察か?」
若い道場主っぽい奴に言われた。
「はい、これは私が考案した物で竹の束を布に包んだものです」
「「「プゥ~クスクスクスクス~~」」」
笑われた。
「なして?そんなオモチャで練習するの?」
「はい、練習で怪我をしてはいけないからです」
「おっさん。相手してやるよ!」
「いえ、結構です」
「臆病だな」
丁重にお断りをして去った。
いくつか道場を回ったが目的とする道場はない。
しかし、一つだけあった。
「ハンスさ~ん。踏み込みが甘いですわ。もう、半歩ですわ~」
「はい、アデルさん」
デール剣術指南道場・・・
令嬢が教えている珍しい道場だ。弟子は1人しかいない。しかし、道場は立派だ。平民女のドレスに髪は一つにまとめている。金髪で目は垂れている。穏やかに見えるな。
「あの!入門させて下さい」
「え、宜しいのですか?私とても弱いですわ」
「己の弱さを知るのも強さです」
「でも、ここは心が大事がモットーですわ。人格形成が目標ですわ」
兄弟子のハンスさんは八百屋さんだ。
何でも・・・
「お父様が亡くなってから、弟子達は去りましたわ。私では指導力不足だと・・」
「お父様は立派です。指導者の才を見いだしたのでしょう。強さと指導力はまた別物です」
俺は一生懸命に学んだ。
昼はハンスさんの野菜売りを手伝い。
夕方から学ぶ。
「ダビンさん。入門した目的ってアデル先生目的?だったら許さないよ」
「え、アデルさんの剣術目的だよ。心の使い方が勉強になる・・」
「・・・まあ、道徳も教えるけど、本当に?」
ハンスさんは元々出入りの商人だった。道場の窮乏を見かねて入門したそうだ。
「こら~、おしゃべりしない」
「あの先生、撃ち合いの練習にこの竹の剣はどうでしょうか?怪我はしなくなりますよ」
「まあ、素晴らしいわ」
ここは剣で素振り。剣で型をする。ゆっくりと2人で撃ち合いの型を行い。寸での所で止める。
これは我が道場でも同じだ。
しかし、型だけでは強くなれない。型の達人にしかなれない。剣舞があるが、それはそれで立派な技能だが俺たちの目的は違う。
「エイ!エイ!」
「やあ、やあ」
とハンスさんの打撃を受け止める。
この方法、実の剣との差がある。重さが違う。持ち方が異なるが、完璧な練習方法はない。
強いてあるとすれば実戦だ。しかし、人を殺すなんて、平和になった世では無理だ。戦争が終わってからもう15年以上たった。
いいな。こんな平和な日々が続けば良い。
と思ったが。
「たのもー!」
ゾロゾロと人がやってきた。あの実戦流の一派だ。
「「「プゥ~クスクスクスクス~~」」」
「おっさん。ここにいたの?」
あの道場主だ。
「ガイル・・何しに来たのかしら?」
「俺と結婚しろよ。そしたらこの道場を使ってやる」
「断りますわ!剣は心ですわ!」
「それが甘いっての。剣術は実戦だぜ!」
「八百屋とおっさんが弟子だって、それじゃ道場を維持できないだろう」
ハンスさんはブルブル震えてアデルさんの前に立つ。
これは・・・勇者だ。
俺は提案した。
「あの、どちらの弟子が強いかで決めませんか?」
「はあ、その竹の剣でか?」
「いえ、実際の剣で使いましょう」
俺は剣を出した。そしたら、変なことを言い出す。
「おっさん。本物の剣を出して馬鹿なの?木刀に決まっているだろう!」
「えっ、実戦流ではないのですか?」
「木刀に決まっているだろう!」
仕方ないな。木刀を手にする。これも実の剣と違うしな。
「ダビンさん!」
「アデルさんから学んだこと、生かさせて下さい!」
俺は木刀を右手で構え。左手にナイフを持つ。投げるためだ。
「はあ、ルール違反だぞ!」
「えっ、ルール?実戦でルールあるの?」
いちいち面倒くさい。
相手の弟子は20人ぐらいか。この人数なら抜けたことがある。
と思ったが、相手は1人で来る。これは相当な手練れなのか?
手柄は俺のものだ!か?
しかし、これは実戦という名の型だった。
「うりゃー!」
大仰に高く構えて撃ってきた。
ここで先生から学んだ心を披露しよう。
「貴殿、高く構え・・・おっと、ごめん」
「グハ!」
半身になり躱しながら喉をついてしまった。
やり過ぎだな。
次はやせて眼鏡をかけているやつだ。
「フン、奴はカウンター狙い。故にこうして待っていれば打つ手・・ギャア」
「貴殿、心と体が・・・ってまた言い終わる前に倒れやがった」
まただ、全く修行を行かせていない。
「貴殿、捕らわれるな。戦いは変化す・・・・って、また、終わりかよ!」
奴らはこうあるべきだで執着している。つばぜり合い禁止。
たしかにそうであろう。初学者への方便としては良い。
しかし、剣で打ち合うと、ピタッと止る現象がある。そこからタックルや体術などを使えるのに・・・・剣の歯と歯がかみ合い絡まるのだ。バインドと命名した。
・・・ダビンの目標は戦いながら話す事だった。それが心だと受け止めている。
アデル道場主の言う心が大事は道徳である。同じ心でも全く別物である。
アデルは気がつく・・・
「もしかして、ダビンさんは話ながら戦う事が目的かしら・・・」
「アデルさん。・・・俺には分からない八百屋だのも・・・」
そうだ。俺は小説や演劇の剣士に憧れたのだ。
話ながら戦う。思考しながら戦う。かっこよいじゃないか?
弟子は半数に減った。
そのうち、ガイルの弟子の1人が気つく。
「館長!あいつはダビン、千人斬りだぁ!」
「な、何だって、辺境の狂剣士か?・・・」
「失礼な!999人くらい殺した!千人じゃねえよ!さあ、次は皆でかかってこい!」
「「「ヒィ」」」
奴らは去りやがった。
「ダビンさん。貴方は私より遙かに強いのに・・・どうして」
「だって、剣術は心ですもの」
「・・・・その心について話し合いましょう。絶対に間違っていますわ」
その後、アデルさんに提案した。ハンスさんを師範代にするのだ。
「えっ、俺が師範代、やだよ」
「ハンスさんが先輩だろ?試してみろよ」
すると、道場主がお嬢様、師範代がそこらにいる男だ。
「俺も免状もらえるかな」
「ここは優しそうだ」
「アデルさん美人だしな」
大勢集まった。道場は剣術とは別物、経営の才も必要だ。
やんちゃが来たら俺が戦うがこの道場のセオリーになった。
しかし、アデルさん可愛いな。
「ハンスさん。アデルさん好きなの?大変な時に支えたのだからお似合いだと思うぜ」
「俺、結婚しているし!ダビンさんが婿に入るのが流れじゃない?」
「ダビンさん!心について話し合いますわ!」
「はい・・・では、竹剣による斬撃訓練始め!」
「「「「はい!」」」
「これ、楽しいよな」
「だな。負けないぞ!」
戦いは変化する。なら、これも平和な時代の剣術だ。
アデルさんの説教を聞きながら癒やされている毎日だ。
最後までお読み頂き有難うございました。




