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ある魔女が見た廃世界

作者: 生姜十兵衛
掲載日:2026/01/08

一行でも読んで頂けたら、嬉しくて踊ります。

イータ帝国軍基地に設けられた軍部病院で、クレアは片手にノートを持ち、長官に報告をしていた。

「本日の死傷者数は1209名。そのうち、既に死亡が確認されたのが705名。現在治療中が504名です」

読み上げながら、これがいつもより少ないことに気付いていた。


この世界では、大地から湧き出でる魔力が人々の生活源だった。暗い夜を照らす灯り、寒冷地域で人を生かす暖、怪我や病を癒す薬、そして人を殺す兵器。それらの全ては強大な魔力によって賄われていた。


しかし、北暦1635年現在、人口増加と度重なる紛争により、魔力は枯渇しつつあった。世界を左右する大国、イータとカノープスは、残された魔力で国民を護るべく、「魔力資源戦争」を開戦した。

大地に頼らず、体内から魔力を生成できる魔女は、「魔力資源」の一つとして扱われる。戦争の激化に伴い、イータ帝国軍は彼女の出身地である「魔女の郷」を管理下に置いた。


   ◆


ある日、治療中のクレアの元へ、年下の同僚であるミレーが駆け寄って来た。

「クレアさん、お手紙ですよ。さっき伝書鳩が来てくれたんです。こんな戦地まですごいですよね」

彼女は去年から軍部病院で働き始めた新人で、少し前に下級兵達に集団で言い寄られているところを助けて以来、クレアに妹のように懐いている。

「ありがとう。この兵士の脚を治したら、すぐ読むよ」

「じゃあ、ここに置いときますね」

「うん」

クレアは、ベッドに横たわっている下級兵に目を落とす。その右脚の傷口からは、滝のように血が流れていた。おそらく爆撃によるものだろう。

「失礼します」

そう言うと彼女は、その傷口に両手を当てて魔力を注いだ。するとみるみるうちに血は止まり、傷口は元通り塞がった。

「しばらく安静にしていてください」

「どうもありがとう。助かりました」

先ほどまで浅い呼吸を繰り返していた兵士は、信じられないものを見るように自分の脚を見つめていた。 クレアは小さな声で「お大事に」と返すと、テーブルの上に置いてあった手紙を取り、足早に自室へと向かった。


六畳ほどの寂れた部屋に、看護師たち用の簡素なベッドが並んでいる。クレアはそのうちの一つに腰を下ろすと、しばらく封を切れずにいた。


数分経って、冷えた指先でようやく鋏を手に取り、短い文章に目を通す。


「クレア・グレイス様。

先日、魔女の郷にて空襲がありました。その際に回収されたカレン・グレイス様と思われるご遺体を、スレイオ高原の遺体収容所にてお預かりしております。1週間以内に遺族と思われる方が申し出ない場合は、こちらで処分させていただきます。心当たりのある際はどうかお早めにお願い申し上げます。

イータ帝国軍 事務管理局」


何度か読み直した後、彼女はその内容を理解した。

――それは、母の訃報だった。


魔女の郷は戦地から遠いため安全だと聞いていたが、どうやらそうではなくなってしまったらしい。近頃では戦争の中心地から1番遠いと言われている村々までもが焼けてしまうほどだ。無理もなかった。


彼女が込み上げて来た吐き気を堪えていると、薬品に使う魔力の残量を調べ終わったミレーが部屋に戻って来た。

「クレアさん、長官が明日の担当について話すから集まってほしいって…」

彼女は手紙を握りしめて立ち惚けるクレアに驚いた様子だった。

「大丈夫ですか? 顔色があまり良くないみたいだけど」

「大丈夫。一緒に行こうか」

クレアとミレーは兵士たちの血で汚れたエプロンを取ると、消毒液の入った洗濯カゴに入れて部屋を出た。

  

「明日は合戦の日。多くの死傷者が出ることが予想されるため、看護師たちは今から言う地点で兵士たちの治癒に従事してもらう。使える魔力の量は…」

長官が喋っている間、クレアはどうにかして母の遺体を引き取りに行けないか考えていた。


配られた地図を見るに、一番近い正規の輸送路は戦場になってしまい使えないだろう。

となれば、少し遠回りのルートを通っていく他はないが、そうすると明日にでも出なければ間に合わなそうだ。

「……と言うことで、各自指定の場所に朝六時までに集合するように」

他の看護師たちが立ち上がり、椅子が軋む音が部屋に広がった。


クレアは一足遅れて席を立ち、長官の机の前まで重い足取りで歩み寄る。

「故郷に住む母の訃報が入ったんです。六日で戻りますので、一時的にお暇を頂けませんか」

出入り口付近ではミレーが不安そうな顔で見つめていた。

「駄目だ」

長官はしばらく資料から目を上げなかった。しばらくしてからペンを置き、胸元から取り出したタバコに火をつける。

「明日は合戦だ」

「期限内に引き取らなければ処分されてしまうんです」

「その処分は、軍の管轄外だ」

彼は煙を吐き出すと、数秒黙り込んで頭をかいた。その後、脱いでいた帽子をもう一度深く被り直し、取り合う意思はないと言わんばかりに、次の資料に手を伸ばした。

「欠員は出せない。以上だ」

「…分かりました」

クレアは奥歯に力を込め、黙ってうなずいた。


俯いたまま出口へ向かうと、そこで待っていたミレーが、彼女の手を引き、人気のない外まで連れ出した。困っている人は放っておけない彼女のことだ。何か励ましの言葉でもかけてくれるつもりだろう。


そう思っていたクレアだったが、彼女が口にしたのは予想外の言葉だった。

「クレアさん。私、以前、お婆ちゃんの遺体を引き取りに行ったときに使った秘密の経路を知っているんです。教えてあげるので、明日一緒に合戦を抜け出しましょう」

「え…」

ポカンとするクレアの両手を包み込むように握ると、ミレーは早口で続けた。

「そこなら、早ければニ日でここに戻ってこれますよ。敵の基地を横切らなくちゃいけなくって少し…いえ。かなり危ないですけど…明日は合戦なのできっと内側の警備は甘くなってるはずです」

「でも、配置された場所に居ないとまずいんじゃ…」

「大丈夫ですよ。すぐ行ってすぐ帰って来るだけです。私、いつもお世話になっているのでお礼がしたくって、心配なら今日の深夜出ましょう。お母さんを迎えに行ってあげてください」

この様子なら、合戦はかなり長引くだろう。終わってから行ったのでは確実に間に合わない。それに、ニ日で帰ってこれるなら、そこまで迷惑にもならないはずだ。クレアは少し考え、顔を上げた。

「分かったよ。ミレーちゃんがそこまで言うなら。この後暗くなったら抜け出して、すぐに戻ろう」

「お役に立てて嬉しいです。では、また後で」


   ◇


基地の人々が寝静まった頃。クレアとミレーは約束通り、裏口から外に出た。

「向こう側に見えるのがカノープス国軍の基地です。明るくなる前に行きましょう」

「うん」


北風が山々から吹き込む荒野を、二人はひたすらに歩き続けた。小一時間が経過した頃に、白色の光が淡く灯るカノープス軍の基地に着いた。

「ここからはどうしても基地を横切らなきゃいんですけど…」

「この格好じゃ目立つかもね」

「すみません、まさか真夜中も訓練をしている兵士がいるとは思わなくって…」

「それなら多分、大丈夫だよ」

そう言ってクレアが指を差したのは、野晒しにされた兵士たちの遺体だった。

「まだ生きてますか」

「もう死んでるよ。もう冷たいし脈もない」

「そうですよね…」

短い沈黙が流れる。ミレーはクレアの意図を受け入れたのか、兵士たちに向かって手を合わせた。


遺体から服を奪った二人は、再度手を合わすと、カノープス軍基地の敷居を超えた。練習場では何人かでまとまって蹲る下級兵がいた。

「何してるんでしょう? 嫌に静かですけど」

「…」

下級兵達の手には、白い袋包みが握られている。クレアは一眼見るだけで、それが両国で禁止されている薬物だと分かった。麻薬の一種で、一時的に感覚を麻痺させる効果がある。しかし、下手に怖がらせてしまわないよう、ミレーには言わないでおいた。

「あんまり関わらない方が良いよ。行こう」

「はい…」


二人が下級兵たちの横を通り過ぎて行くとき。その中の一人が、ミレーの足に縋るようにしがみついた。

「きゃっ」

ミレーが小さな悲鳴を上げ、慌ててクレアが引き剥がそうとする。するとその兵士は、小刻みに震える手で二年ほど前の紙幣を差し出した。

「俺の薬を買って来てくれ…西の闇市で売ってる」

他の仲間たちは気にも留めていない様子だった。否、仲間では無いのかもしれない。集団で薬を摂取して、一時的に思考が停止しているのだ。

「西の闇市はここからずっと先ですよ。どうして薬が必要なんですか」

彼の手をミレーから離しつつ、クレアは幼い子供に語りかけるように聞いた。

「脚が痛くてしょうがないんだ。死にたいぐらいだ」

「看護師は?」

「昨日爆撃でほとんど死んだよ。俺たちみたいな下級兵は応急処置すらしてもらえないんだ!」

焦点が合わないものの、兵士の目は必死だった。


「あ、あしが痛いんですか」

今まで怯えていたミレーが唐突に尋ねる。すると彼女の意図を汲み取ったかのように、クレアは少しため息をついた。

「私たち、明日の合戦に向けて派遣された救護隊なんです。痛む方の脚を見せていただけますか」

そう言うと、クレアはミレーに鞄から治療に必要なものを出すように指示をする。

兵士は何が起きたのか理解しかねる様子だった。しかし、やっと受け入れたのか。右脚の裾を捲って、クレアに差し出した。


おそらくやり方も知らずにしたであろう応急処置を、できるだけ丁寧に剥がしていく。薄い布から膿んだ傷口が見えた時、思わずクレアは鼻を摘みそうになった。

傷そのものの重度は、どちらかと言えば軽い方だ。しかし長い間放置されすぎて、中に細菌が住み着いている。

「ミレーちゃん、傷口の消毒をしてくれる? そしたら私が治癒魔法をかけるから」

「分かりました」

ミレーが消毒液を傷口に染み込ませる間、兵士は先程のように騒ぎはしなかった。ただ黙って、自分の傷口を見つめていた。

消毒を終えた兵士の脚に、クレアがそっと両手を置く。ボロボロだった皮膚が綺麗になって行く様子を、兵士は静かに涙を流しながら見守っていた。

「ありがとう…」

「いいえ。お大事に」

兵士が深く頭を下げる姿を後に、クレアとミレーは先を急いだ。


   ◇


空が白み始め、冷たい雨雲がスレイオ高原の上空を覆っていた。周りの環境に一切馴染む気のない簡素な小屋の前。その入り口でクレアとミレーは足を止めた。


クレアは今一度吐き気を催していたが、同時に安堵してもいた。ここで手続きさえ終えてしまえば、後は流れに従うだけだと思えたからだ。

「クレアさん、大丈夫ですか? ごめんなさい、長く歩かせてしまって」

「いや、別に脚が痛いわけじゃないよ。大丈夫」

しかし、依然として扉に当てた手は前に押し出せずにいた。


見兼ねたミレーが、クレアの片手を軽く握って扉を開く。

「こんにちは。遺体を引き取りに来ました。誰かいますか?」

「今行きます」

中から低い声でそう返したのは、奥に座っていた白髪の老人だった。椅子の上は愚か、歩いてこちらに向かっていく姿から、一層背が低いことが分かった。

「お名前は?」

クレアは意を決して応えた。

「クレア・グレイスと申します。魔女の郷に住んでいた母の遺体を引き取りに来ました」

「ああ、魔女の郷ね……」


老人は少しその場で黙り込んだ後、少し苦しそうな顔を口をついた。

「もうここには無いよ。さっき持ってかれた」

「え――」

クレアの耳に、外の雨音だけが響いた。


「どういうことですか。期限はまだ先のはずですよ?」

ミレーが聞くと、老人はかなり罰の悪い様子だった。

「まあ最後まで聞いてくれ。あんたら、この先の峠にある『アルゴ研究所』って分かるか」

「アルゴ研究所?」

「イータ傘下のアルゴ公国が国営してる研究所だよ。何でも、新しい魔力資源を探すために魔女たちに協力を要請してるらしいがな。魔女の遺体は、種類ごとにまとめられて持っていかれた」

それを聞いて、クレアの表情はたちまち曇った。やっと来れたというのに。母の遺体はここには無いと言うのか。

「……その研究所への行き方を教えてください」

「ここから馬車に乗って半日とちょっとだ。徒歩はお勧めしないぞ。もうじき、吹雪が来る」

「馬車?」

「待っていればくるさ。客席は一人分だがな」

それだけ言って頭を下げると、クレアはその場にしゃがみ込んでしまった。


「クレアさん」

ミレーがクレアの肩に手を添える。

「行ってきてください。私、ここで待っててあげますから」

「何言って……」

「馬車は一人しか乗れないそうですし、行っても私は中に入れてもらえないでしょう。大丈夫ですよ。当初の予定とは少し違うけど、合戦が終わるまでに二人で戻って…後で長官に叱られましょう」

早口だが優しい声で言うミレーを見て、クレアは顔を上げた。

「いつもの看護服に着替えてください。馬車を捕まえてきます」


明るいところで見ると、よくもまあ血だらけの軍服をここまで着れてこれたものだとクレアは思った。

看護服の紐を結んで、ミレーを追って外に出る。小屋の前では、既にミレーが馬車の御者と話していた。

「クレアさん。乗せて行ってくれるそうです。御者さん。さっき言った通りアルゴの研究施設までお願いします」

「最近は研究所行きの客ばかりでね。狭くて悪いが、後ろの荷台に乗ってくれ」

「ありがとうございます」


クレアは少しばかりの荷物だけ荷台に乗せると、ミレーの方に向き直った。

「ミレーちゃん、色々ありがとうね。このあと一人で大丈夫?」

「大丈夫ですよ。もし何かあったら、近くのイータと同盟国の基地に助けてもらいますから」

そう言うと、ミレーはクレアの両手を握った。

「どうかお気をつけて」

「うん」


クレアを乗せると、馬車はゆっくりと坂を登り始める。北に見えるアスター山脈からは、吹雪の柱が顔を覗かせていた。


   ◇


馬車の荷台で揺られながら、クレアは雪に降られる周辺の村々を眺めていた。揃いも揃って焼けてしまっている。


戦争が始まってから、どうしてかこの地方は、豪雪に度々見舞われるようになったらしい。2週間前の新聞にも猛吹雪に襲われたと記されてあったし、乾燥していてさぞ燃やしやすかったことだろう。

同じように焼け野原になった故郷を思い浮かべ、クレアは悪夢を見るような気持ちでうたた寝した。


目を覚ました頃には、アルゴ研究所が丘の上に見えていた。

「着いたよ。えらく揺れちまって悪かったね」

「いえ、ありがとうございました」

クレアは悴んだ手で御者に運賃を渡すと、荷台から下ろした荷物を持った。


研究所の建物は、石で頑丈に作られているようで、ネズミ一匹許さないと言わんばかりの風貌である。

クレアはその小さなドアを、恐る恐るノックした。

「どなた様でしょう?」

ドア越しに低い声の女性が応答する。中の様子は、外からは読み取れない。

「クレア・グレイスと申します。母の遺体がこちらにあると聞いたので、参りました」

暫く沈黙が流れる。もしかしたら既に燃やされてしまっているのではないかと、クレアは心配したが、幸いそれは杞憂に終わった。


「魔女の郷の方ですね。お待ちしておりました」

ドアが開かれた途端、やたら愛想の良い男性がクレアを迎え入れた。

「寒かったでしょう。どうぞこちらに、かけてください」

「どうも……」

ソファに腰掛けたクレアの元に、温かい紅茶と毛布が運ばれてくる。先ほどの男性は一度奥に消えたかと思うと、風格のある中年の男性を連れて戻って来た。


風格のある方の男性が、クレアの向かいに腰掛ける。

「私の名はハック・オード。この研究所の所長をしている者です」

そう名乗ると彼は、クレアの手を強引に引き寄せて握手をした。


「クレア様。よくぞここにお越しくださいました。お母様のことは、深く心中お察しいたしますよ。私も戦争で妻と娘を亡くした身でしてね。最も、それで何かが大きく変わったわけでも無いですが」

「あの……ご歓迎感謝します。ところで、母の遺体は何処に? 可能であれば、直ぐにでも引き取りたいのですが」

「こちらで大切に保管させていただいております。勿論。渡したいのは山々なのですが……」

眉間に皺を寄せると、ハックは脇から新聞を含む資料の束を取り出した。

「少し話を聞いていただけませんか」

それらを広げてクレアに向けると、ハックはおもむろに口を開いた。

「この三年と少しの間に、どれほどの人間が死んだと思いますか」

「さあ…」

「二十万人以上ですよ。この瞬間も、その数字は増えている」

ハックはそれらをやや役者めいて言い切ると、一度黙って、今度は静かに続けた。

「私達は、この戦争に良い加減終止符を打つつもりでいます」

「そのために、魔女あなた達の協力が必要なのです。これで、一人を除いて、全ての魔女が集まりました。こちらへ来てください」

クレアは促されるままに奥の部屋の扉を開いた。


「……!」

そこで大きなテーブルを囲んでいたのは、かつて魔女の郷で共に暮らした同胞達だった。

「クレアちゃん、久しぶり!」

幼馴染だったアリスが、クレアの元に駆け寄ってくる。それを合図にしたかのように、他の郷の人達も次々とクレアとの再開を果たした。


暫くして、ハックが他の職員や魔女達を集めて話を始めた。

「出来るだけ早く戦争を終わらせるために、アスター山脈に位置する氷の魔女――通称ゼカルパを封じる必要があります」

「ゼカルパ?」

その第一声を聞いて思わずクレアはおうむ返ししたが、他の魔女達は既に把握しているらしかった。

「魔女の郷以外で魔女は生まれないはずでは?」

「ええ、彼女も魔女の郷の出身ですが、知らないのは当然です。三百年前のカノープス帝国の伝承に、六代目の皇帝と契約を交わし、彼とのみ言葉を交わしたとあります。つまり、とうの昔に魔女の郷を出て行った訳ですね」

魔女は魔力の強さほど長生きすると言われている。ならば、ゼカルパという魔女は、それだけの魔力を持っているということだ。

「大した軍事資源を持たないカノープス軍が、長年他の大国と渡り合えたのは彼女の絶大な魔法があったからです」


そこまで言い切ると、ハックは何人かの職員に命じて、巨大な銅の鎖のような物を取り出させた。


「これは『太陽の鎖』。魔力を高熱に変換できる道具です。魔女に対抗するには、魔女の魔力を使うのが一番。皆さんには、明日アスター山脈でここに魔力を秘めて欲しいのです」

()()()()()()()()()()()()()()。そんな話、今まで聞いたことがあっただろうか。


「勿論、ゼカルパを撃破できた暁には、魔女の郷の復興と、頑丈な警備の添付により、悠久の平和をお約束いたしましょう」

魔女達を含め、研究所に居る人々全員がハックの演説めいた説明に、熱心に耳を傾けていた。

「これも未来のためです。協力してください」

ハックが勢いよく部屋のドアを開くと、雪で冷やされた風が吹き込んできた。それを合図に、ほかの魔女達も続々と席を立つ。テーブルには、魔女達の飲んだ紅茶とクレアの影だけが残っていた。

「氷の魔女…太陽の鎖……魔女の力」

頭に残った気掛かりな言葉だけを、呪文のように繰り返す。何故だかクレアは身震いした。


   ◇


翌朝、クレアは友人にゆすられ目を覚ました。暖炉に火が灯り暖かい室内に反して、窓の外では風で薙ぎ倒された木が雪を被っていた。  


「おはようございます。皆さん」

研究所所長のハックが、やけに真面目な顔で言った。

「これから向かうのはアスター山脈です。現在合戦が行われていますが、貴女達に危害が直接及ぶことは決してないのでご安心ください」

それだけ伝えると、彼はクレアを含む魔女達を大人数用の馬車に乗せた。


馬車に乗っている間、クレアはどうにも雲行きが怪しく感じてしまう気持ちを押さえつけるかのように、魔女達と談話した。

「クレア。軍部病院はどんなところだったの?」

昔と変わらぬ柔らかい声で聞くのは、幼馴染のアリスだった。

「あんまり良いところじゃなかったかな。寒くてさ」

「そうなんだ。私は民間の病院に派遣されたんだけど、そっちも汚くって散々だったよ」

「どうやって研究所まで辿り着いたの?」

「私は、治癒魔法を使える魔女は敵軍に狙われるかもしれないから保護ってことで案内されたの。クレアちゃんは?」

「私は…」

クレアはここ数日の出来事をポツポツと話した。アリスはその都度、気まずそうに相槌を打って、最後にはクレアの頭を撫でた。四人姉妹の長女である彼女は、いつもこうして一人っ子のクレアを慰めた。

「大変だったみたいだね。でも、もうすぐ戦争は終わるんだ。ハックさん達も親切だし、一緒に頑張ろう」

「そう…だね」

普段ならその言葉に心底安心するはずなのだが、その時だけは、どうしても蟠りがとけなかつた。 鬱々とした気分のまま、馬車は走り続けていた。


アスター山脈の裾野に着きかけた時、クレアは高い山々の間に、巨大な人影を目撃した。

「ゼカルパ……」

確認せずとも直ぐにわかった。まるで絵画の中のように、白く佇む姿。兵も砦も、その足元では玩具のように小さかったが、とても大勢を殺した兵器とは思えなかった。

「見えましたか。あれが、一息で小軍を全滅させる氷の魔女です」

いつの間にいたのか。ハックが興奮した様子で指を差す。

「彼女を共に封じましょう」

クレアは言葉を返さなかった。


   ◇


馬車が止まり、皆が雪原の上に足をついた。そこに用意された太陽の鎖。魔女達は、それの周りを円状に囲った。

「私が合図したら、これに魔力を入れてください」

同胞達は皆、手を触れた。渋っていたクレアもアリスに促され、指先を触れる。

「では、お願いします」

ハックが声を張り上げる。クレアにはそれが、合図ではなく命令のように感じた。


クレアは集中した。生きていない物に魔力を込めるのは、簡単な作業ではない。 しかし、この時だけは不自然なほど滑らかに魔力が吸い込まれていった。

「…っ」 

暫く触れていると、手のひらに刺すような痛みが走った。思わず手を引きそうになるクレアの動きを、女性の研究員が止める。

「待って――」

意識せずとも魔力が込められてゆく。いや、吸い取られてゆくと言う方が正しいのではないか。

「手を離さないでください」

まずい。最早、女性を押し除けてでも鎖と距離を取ろうとしたが、クレアの足にはもう力が入らなかった。


「もう結構です。手を離してくれて構いません」

ハックが声高らかに言った。


クレアが当たりを見回すと、他の魔女達も次々と崩れ落ちてゆく。

仕舞いには、全員雑多に支えられて馬車に押し込まれた。

「逃げ出さぬよう、魔女達の腕を縛りなさい」

「はい」

ハックの支持に従った研究員達が、魔女達の腕を後ろに回し縄で縛った。


クレアは抵抗できなかった。ただ、何が起こったかを理解しかねていた。


魔女も研究員も、それ以降誰一人として口を開かなかった。重苦しく冷たい沈黙に包まれた馬車は、西に向かってただひたすらに前進した。


   ◆


外では夜雨が降っていた。まだ徴兵されて間もない将校が、長官の執務室に入り、簡潔に報告をした。

「スレイオ高原のルートを経由して、我が軍の兵士。推定五千人の通過を確認しました。既にその付近の敵軍基地は破壊済みです」

長官は書類から目を離さず、小さく頷いた。

スレイオ高原遺体収容所への輸送路の、先日まで使用不可能とされていた。しかし、回収された遺体数と他経路の通過人数の不一致により、未管理の優秀経路として再評価された。この計画は、それに基づいて行われたものだった

「アルゴ研究所から通達が来た」

長官は、灰皿に灰を落とし続けた。

「ゼカルパの応戦に備える。当該ルートから、集められるだけの戦力を送るよう伝えてくれ」

「承知いたしました」

将校が退出すると、長官は残された資料に視線を戻した。書類の端には、既に破棄対象として線を引かれた基地名が並んでいた。


   ◆


長い間揺られて、馬車がようやく止まったのは、変わり果てた魔女達の故郷。魔女の郷だった。


ただ焼け野原になったと言うわけではない。石でできた研究所の片割れがいくつも立ち並んでいる。その奥には郷の宝である神杖の像がへし折られ、巨大なアルゴとイータ軍の拠点が建てられていた。

「あ…」

クレアは虚しさにまともな声も出なかった。

ただ昔の面影を全く無くした郷の奥へ、研究員達に引き摺られて連れて行かれた。


クレア達は、住居を改造したと思わしき空間に案内された。窓もない部屋の中には、汚いベッドだけが大量に設置されている。鍵は外からしかかけられない仕様になっていて、まるで刑務所のようだった。

「非道なことは承知の上ですが、貴女方には今日からここで生活してもらいます」

ハックが淡々と報告する。


魔女達は声を荒げた。

「どういうこと?」

「ゼカルパを封じるんじゃなかったの?」

「魔女の郷は全部焼けたって聞いていたのに」


中には魔法を放とうとするものも居たが、太陽の鎖に全て吸い取られ、小さな光の玉しか出なかった。

「ええ。鎖を使いゼカルパを封じるのは真実です。現に兵士たちがカノープス軍に攻撃をしています。ただ…」

「戦争を終わらせただけでは問題は解決しない。新たな魔力資源の確保が必要なのですよ」

静かに言い切ると、ハックは魔女達を指差した。


「これから貴女達は、我々人類の生活源として、永遠に魔力を提供し続けるのです。既に死亡した魔女の遺体に残った魔力も、多少の足しにはなりますが、生きている魔女はもっと有効ですから。魔力の再生周期に合わせ、明日から専用の道具で吸い取り始めますので。では」


暗い面持ちで立ち去ろうとするハックに、アリスが叫んだ。

「ふざけないでよ……それじゃあ、まるで家畜みたいじゃない! 絶対に嫌――」

その瞬間、彼女の肩から噴水のように血飛沫が上がった。魔力銃が撃ち込まれたのだ。

「アリスちゃん!」

クレアが倒れたアリスを抱き抱えて、治癒魔法をかけようとすると、ハックは彼女にも銃口を向けた。

「なんのつもりですか?」

「後ほど言うつもりだったのですが、ここでは魔法の使用は一切控えてください。我々の分が減ってしまいますから。それから、私を含む研究員や兵士たちに対し反抗的な態度を控えること。この規則を破った場合は、それ相応の罰を受けていただきます」


クレアは正気を疑った。こんな狭い部屋に押し込められて、アリスの言うように家畜のように一生を過ごすのか。その上、怪我人に治癒魔法すらかけさせて貰えないとは。

「でも彼女、今怪我を」

「こちらで治療しますのでご心配なく」


アリスは腕を拘束されたまま、研究員達に連れて行かれた。


翌朝、クレアを含む何人かの魔女は、魔力の徴収のために別室へと案内された。部屋には、例の鎖によく似た魔道具が設置されている。

「それに魔力を全て注げ」

看守の言葉と共に、クレア達は手に焼け付くような痛みを覚えた。太陽の鎖に触れた時と同じで、徐々に足腰に力が入らなくなってゆく。

「よし。終わったな」

抵抗する余地もなく、全ての魔力を注いだ後、看守に引っ張られて元の鍵のかかった部屋に戻された。


朝と夜に一度ずつ支給される硬いパンと濁った水。魔力が少し回復するたびに、何度も何度も吸い取られる日々が続いた。アリスの言う通り、本当に家畜みたいだった。


そんなある日、幼い魔女の一人が提案をした。

「ねえ、郷の地下道から皆んなで逃げない?」

その言葉に魔女達ははっとした。緊急時のために掘られた極秘経路は、郷の魔女が魔法をかけない限り、入り口は開かない。

「あそこなら、私達以外は入れないし」

明日は、いよいよアルゴ研究所とイータ帝国軍がゼカルパと対戦する日だった。暫く大人しくしていたし、郷の警備は手薄になるだろう。

「それ、良いね」

クレアを含む魔女達は、その提案に賛成し、明日の深夜に決行することとなった。


   ◇


アスター山脈一帯では、既に戦況が最終段階に入っていた。

カノープス帝国拠点へ向け、続々と兵が送られてゆく。アルゴ研究所の研究員達も、所長であるハックの後に続いた。


山に紛れて聳え立つゼカルパは、既に三日間に及ぶ大量の弾丸をその身に受けている。

「あと、もう少しだけ弱らせれば、太陽の鎖に繋ぐことができるでしょう」

ハックがイータ帝国軍の長官に伝えると、彼はさらに応援を要請した。


その間、クレア達は密かに囚われている場所を抜けた。

地下道の入り口に辿り着き、郷で語り継がれて来た順番通りに錠に魔法をかける。


「開いたよ。皆、急いで」

一人の魔女の掛け声により、皆一斉に地下道の中に入った。 暗く狭い地下道の中を抜けた先で、クレアは思わずため息をついた。久しく感じていなかった静かさが、そこにはあったからだ。


暫くして、ひと際開けた空間に出る。

「あった。避難壕だ」

ここの梯子さえ登れば、だれも知らない廃村に出る。いざとなれば、そこをまた生活の拠点とできるようになっていたのだ。ここまで見つからずに上手くいくとは。魔女達の胸は期待と安堵、そして、少しばかりの不安で、穏やかに満たされていた。

「あたしが先に登って、梯子を垂らすね」

そう歳上の魔女が言う。


しかし、そこでクレアはある違和感に気づいた。

保存していたはずの食料も魔道具も、綺麗さっぱり無くなっている。おまけに、むしていたはずの苔も消え失せている。まるで、誰かがつい最近管理をしたかのように。

「上に行かないで!」

クレアが叫んだが、一足遅かった。歳上の魔女の後から、皆梯子を登ってゆく。クレアがその下で危惧していると、予想通り、五、六人の兵士と研究員が、上から顔を覗かせた。

「全員、腕を後ろに回せ! 元の場所に戻ってもらう」


もっと、早く気づいていれば。不甲斐なさを身に感じ、クレアは沈黙した部屋で、明け方まで蹲っていた。


「暇でしてね。こういう記事、外じゃあ読めないでしょう」

翌々朝の魔力の徴収後。新人の看守は、クレアの前に新聞を広げて見せた。

「イータ帝国軍の軍部病院が、敵軍に破壊されたらしいですね。最近、ゼカルパ討伐のために兵が集められて、警備が手薄になったからだそうで…」

「戦地にあるところですか」

「そうに決まってるでしょう。戦況はこっちが有利って言われてるけどどうだか。だって今月の死者数は先月の倍以上ですからね」

「あの、詳しく読みたいので見せていただけませんか」

「まあ、少しだけなら」

クレアは、渡された昨日の新聞を穴を開けんばかりにじっくりと見た。

三年前なら、地域で行われていた祭りなどの明るい内容も掲載されていたはずだが、今は戦争の内容が隅々に敷き詰められていた。

「え…」

その一番端に位置する小さな欄には、今月の死傷者の数と、遺体の行方が記されている。その中には、ミレーの名前も載っていた。


   ◇


郷からの逃走を試みた件で、クレア達の生活は一層制限されるようになった。


冷たく狭い独房のような部屋で、誰とも話すことを許されない。一日が終わったのか始まったのかも分からないまま、クレアは壁に背を預けて座っていた。


そんなある日。長らくゼカルパ討伐に励んでいたアルゴ研究員とイータ帝国軍兵らが、高らかにラッパを鳴らしながら帰還した。

「戦争が終わったぞ! カノープス軍の降伏により、我々の勝利だ!」

郷で待っていた者達は、魔女達を除き、皆抱き合って喜んだ。

「皆さんの協力のおかげです。太陽の鎖でゼカルパの生け捕りに成功しました。これからは、彼女の魔力も使い、資源不足にも戦火にも怯えずに生きていきましょう」

そう演説するハックは泣いていた。彼が長官と握手を交わすのを見届けると、兵士達は宴の準備に取り掛かった。


元は、どこの国の支配地でもなかった魔女の郷に、今やイータ帝国の国旗が高々と掲げられている。

復興の兆しは全く見えない。それどころか、これから常に搾取し続けるのだ。ならば――。

「看守さん、ゼカルパはどこに幽閉されているんですか」

「地下の元避難壕だよ。魔錠を破壊して、改造したところさ」

魔女達はその夜、薄暗い部屋に集まり、意味のある心中を決心した。


   ◇


国中が戦勝で喜びに包まれており、郷も勿論例外ではない。夜になると、長官や兵士達が一斉に集まって宴をしていた。

 

その中で、クレアは魔女達一人一人の手を強く握った。

郷ではそれを「太陽の祝福」と呼んでいた。


本来は、死にかけた者を救うための術だった。その手で触れることで、魔女の生命力そのものの魔力を、吸い取ることができる治癒魔法の応用。これを扱えるのは、郷ではクレアの一族だけだった。


クレアは、怯えていた幼い魔女に「大丈夫だよ」と囁くと、彼女を初めに手にかけた。それを見て覚悟を決めた同胞達も、一人ずつ静かに最後を迎えた。


やがて、アリスの番になった。

「クレアちゃん、こんな大役を任せちゃってごめんね。ありがとう」

その弱々しい笑顔が、何故かミレーと重なる。クレアは何も考えるなと自分に言い聞かせながら、幼馴染が息を引き取るのを待った。


全ての魔女の魔力を吸い取り、その内の微量を鍵を開けるのに使った。外に出たクレアは、前回のように隠れることはしなかった。

「おい、魔女が一人逃げたぞ。捕まえろ!」

酒に酔った兵士達が命令され追って来る。それでもクレアは無視して走り続けた。同胞たちの亡骸が見つかるのも、自分が犯罪者になるのも、所詮時間の問題にしか思えなかったからだ。


入り口が完全に開放されてしまった地下道に入る。


一歩踏み入れたところで、凍てつくような冷風が中から吹き込んできた。以前はこんなことはなかったから、今は()()が居るという事実がひしひしと伝わって来る。


早足に、しかし、同胞達に託された魔力を一滴たりとも溢さないように、しっかりと大地を踏み締めて歩いた。


   ◇


「――ゼカルパ」

避難壕に囚われた、巨大な氷の魔女の名を呼ぶ。

「……」

ゼカルパは返事をしなかったが、やがて背を屈ませてクレアのことをじっと見つめた。

「貴女に頼みがあります」

ゼカルパの吐く冷たい息を浴びながら、クレアは続ける。

「私達から魔力を吸い取っても、全ての人には行き届かない。いずれまた戦争が起きて、人々は苦しみ続ける。私達も、最期まで無意味に搾取されるでしょう――同僚も家族も居ないのに」

「だから、同胞達と話し合って、すべての魔力を貴女に捧げることにしました」


クレアは、少しためらった。


同胞達と話し合って決めた、分かる限り最善の結末だ。しかし、これで本当に良かったのだろうか。戦争で魔女の郷を奪ったイータとカノープス。今から大勢の命と未来を奪う自分。両者を対比させたときに、どうしてもその差を見出すことが出来なかった。


それでも、もう引き返せない。例えこの選択が間違っていても、現に同胞達の意思は手の中にあり、目の前には白く佇んでいた魔女が居る。これ以外に、魔女が“奪われない未来”は思い描けなかった。


「貴女の手で、全て終わらせてはくれませんか」


意を決したクレアは、自身の魔力も秘めた手を、ゼカルパの前に差し出した。

ゼカルパは、それに答えるように、彼女の手を包み込む。


そして、初めて口を開いた。


『ヨハネス皇…』

それは、カノープス帝国六代目の皇帝の名前だった。

『わたしが愛した彼は平和を愛し、望んでいた。それは実現しなかったから、わたしは、もうこの世界に用はない』

『故に、其方らの願いを受け取ろう』


その言葉を受け、クレアは全てを託す思いで瞼を閉じた。その裏に、母やミレー、アリスの顔が浮かび上がる。もう少し辛抱していれば、彼女たちのような人に新しく巡り合えただろうか。今更そんなことを考えた自分を、クレアは「いつまでのうのうと生きているつもりだ」と、苦笑した。


その頭を、ゼカルパがそっと撫で下ろす。すると、クレアの意識は穏やかに遠のいて行った。


彼女の最期を見届けると、ゼカルパは託された全ての魔力を、限界に達する威力で放出した。


避難豪の中は、たちまち冷気で満たされてゆく。やがて、それはクレアの来た道を辿り地上に出た。

騒がしかった魔女の郷は、火を消したように静寂に包まれる。


アスター山脈を超え、スレイオ高原を駆け抜け、次第に各国へ広がっていった。国々の人々は、突如やって来た終焉に対抗する余地も無く、ただ何も知らずに永劫の眠りに着いた。


最期に海までたどり着くと、その残された莫大な魔力は、天に昇って空を覆いつくす雲になった。

ゼカルパはその全てを見届けると、クレアの亡骸に覆いかぶさるように、絶命した。


   ◇


ゼカルパの生み出した雪雲は、魔力を消費しながら上空に残り続けた。


今でも沈黙が続くその世界では、かつて戦争で奪い合われた魔力だけが、今も吹雪となって降り続いている。


親切に最後まで読んでくださった方へ。

ありがとうございます。踊りまくりです。

※誤字脱字等あれば、報告していただけると幸いです。

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