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【溺愛プラン】オプションどうします?  作者: 田中葵
第3部 効率か心か
51/84

花子、善意の言葉だけで殴る

【下僕プラン】想定外に健全だとバレ始める回


 ――そして、“善意の改訂案”が提出される(地獄)


 1|異変の発生(本部・観測ログ)


 最初に気づいたのは、

 カスタマーサポートだった。


 > ・クレーム減少

 ・依存系トラブル報告なし

 ・契約者の情緒不安定率:低下

 ・更新率:想定より低いが安定




「……あれ?」


 誰かが言った。


「これ、

 健全すぎない?」


 本部は、

 “問題が起きないこと”を

 問題として検知した。


 > ・溺愛プラン:感情摩耗率 高

 ・スタンダード:中

 ・下僕プラン:

 摩耗率 低/依存 低/炎上 なし




「数字が、きれいすぎる」


「人が残らない」


「完成に向かわない」


 その言葉で、

 空気が固まった。



 ---


 2|本部の結論(潰し)


 会議の結論は、早かった。


 > 【下僕プラン】

 ・感情提供なし

 ・完成概念なし

 ・顧客が自立しやすい


 → ブランド毀損の恐れあり




「優しすぎる」


「物語がない」


「依存が生まれない」


「成功談が作れない」


 誰かが言う。


「……このままだと、

 “完成しなくていい”

 って思想が広がる」


 それは、

 最も避けたい未来だった。



 ---


 3|花子、呼ばれる


 花子は、

 オンライン会議に招待された。


 名目は、


 > 【下僕プラン】改善ヒアリング




 花子は、

 カメラをオンにして、即答した。


「改善、要りますよね」


 本部側が少し安心する。


「やはり、

 現場としても――」


「はい。

 今のままだと健全すぎます」


 一瞬、沈黙。



 ---


 4|善意の改訂案(花子)


 花子は、

 画面共有をした。


 タイトル:


 > 【下僕プラン】改訂案(利用者保護強化)




「まず、“完成”という言葉、

 使わない方がいいです」


 本部、頷く。


「その代わり、

 “依存しない安心”を

 前面に出しましょう」


 スライドが進む。


 下僕は判断しない


 感情を提供しない


 利用者の迷いをそのまま返す



「これ、

 “支配”じゃないんですよ」


 花子は、

 穏やかに言う。


「責任の所在を明確にするだけ」


 誰かが言った。


「でも、それだと……

 感動が……」


「感動は、

 利用者が勝手にします」


 静かな声。


「こちらが

 用意しなくていい」



 ---


 5|本部の違和感


 会議室に、

 言葉にならない違和感が漂う。


「……花子さん」


「はい」


「それだと、

 長期契約に……」


 花子は微笑んだ。


「なりませんね」


 即答。


「でも、それが

 健全です」


 誰も反論できない。


 なぜなら、

 すべて“善意の言葉”だから。



 ---


 6|地獄の成立


 議事録には、こう残った。


 > ・下僕プラン改訂案:

 倫理的妥当性 高

 ブランド整合性 要検討


 ・利用者保護観点から

 一部要素を参考採用予定




 花子は、

 会議を退出する前に言った。


「“完成”が要らない人、

 増えますよ」


「それでも、

 いいですか?」


 本部は、

 答えなかった。


 答えられなかった。



 ---


 7|花子、メモ(私的)


 > 善意は、

 相手の言葉で殴ると

 一番効く。


 彼らは

「健全」を

 扱えない。




 花子は、

【下僕プラン】を

 “壊さずに、触れない場所へ押し出した”。


 それが、

 本部にとっての地獄だった。

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