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夢幻への再臨  作者: 柴光
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61 魔王竜〜イツワリ〜

転移者、33歳、男

前世の死因、事故死

 




「アナタ方に試練を与えましょう。この程度で朽ちるようなら…フフッ」





「敵襲っ!!」

「このまま通り過ぎるって事はないだろうなぁ…魔法士と召喚士は迎撃体勢を!」


「あ〜ここんところ忙しくて久々にゆっくり寝れると思ってたのに、よりにも寄ってドラゴンかよ」


 王国西側に拠点を構えている俺達の元へ『魔王竜アザトース』がやって来たのは夕暮れ時、今日の見廻り連中が見つけて召集がかかった。

 折角早々に寝ようと思っていたのによ。


「鑑定したか?」


 召喚士仲間に訪ねてみる。


「うん、アザトースだって…あれって…」

深淵クロの六王竜だよな」

「勝てるの?」

「やるしかないだろ」

「そうだよね」


 ウチのメイン部隊が出払ってるってのに、魔法使い六人、召喚士四人、ガンナー一人、この戦力で勝てるのか…相手は神話時代のドラゴン…


「来るぞ!召喚士は詠唱を開始してくれ」


 副隊長の指示のもと、俺達は召喚口上を唱え各々の召喚獣を喚び出して接近を待つ。


「あれが…」

「アザトースってあんな化け物みたいな奴なのか」


 姿が露わになったアザトースを見て仲間達が驚く。

 無理もない、俺も驚いたってか正直ビビってるし。

 複数の頭には口だけ、眼は全身のあちこちに数え切れないくらい散らばっている竜種と呼べるのか分からんあんな姿に驚かない方が可笑しい。


「通り過ぎる訳無いよな…先制攻撃を仕掛ける。野郎共頼んだぞ!」


 魔法使いの対空攻撃が開始され、俺達の相棒にも攻撃指示を出すと、一人が不安そうな顔で尋ねてきた。


「ほんとに良いの?」

「ダメで元々だろ」

「それもそうね。お願い、無茶はしないでね」


 各々は召喚獣を奴の元に送り出す。

 俺の相棒『魔導王ドクトルファウスト』は魔法使い達と一緒に魔法を繰り出し、高層建造物型のアーティファクトサモン『ヘレポレス』は各砲門を撃ち、二体のドラゴン『紫石英竜アメジストドラゴン』と『善女龍レーゲンドラゴン』が空を駆ける。

 地上から放たれる魔法はファウストの火力を持ってしても効き目が薄いが、ヘレポレスの砲撃が多少利いてる感じはする。ガンナーは…ライフルで魔力弾を撃って頑張ってるな。

 二体のドラゴンもアザトースよりも高い位置からブレスを放っている。


「あれだけの攻撃を受けてもビクともしないのか」


 誰に言うわけでもなく仲間の一人が空を見上げながら囁き、俺は返した。


「何よりも不気味なのが反撃して来ないって事だ」

「何か企んでいるのか?」

「分からん…が、動かんならその隙に攻めるしかないだろ」


 地上、上空から猛攻を受けてるのにも関わらず微動だにしないアザトースに不気味さを覚えるけど、攻撃の手を緩める訳にはいかなかった。

 が、それが間違いだったと気付かされた時には時既に遅かった…


(主、魔王竜から膨大な魔力反応が)


 ファウストから念話が届く。


(ついに動くのか、ファウスト防げるか?)

(やるだけやろう。だがあれは我をもってしても無理だろうな)

(スマン…周りと一緒に防壁を頼む)

(心得た)

「攻撃来るぞ!俺達も防御を!」


 一度攻撃を止めて防壁を展開したと同時に耳を裂く高音と一瞬の衝撃が襲う。


 何も聞こえない…何が起きたんだ…

 顔を上げた俺の目にまっさらな更地が飛び込んで来た。

 さっきまで前方にいた仲間達の姿も見失うはずがない巨大なヘレポレスも何もない。いや…崩れ落ちるファウストが一人だけ。


(あ…るじ…無事で…良かった…)

(ファウスト…守ってくれたのか…ファウスト!!)


 粒子になって消えていくファウストを目で追うと、アザトースの無数の眼が此方を見ていた。


「お前、一体何… 言い終える前に俺の身体は一瞬にした蒸発した。

 …

 ……

 ………


「間に合いませんでしたね…エルフさん」

「えぇ…残念でなりません」

「せめてアイツだけでも殺しましょう。マスターの為に!!」

「殺ってしまいましょう、ジャンヌ」


 跡形も無くなった拠点に瞬間移動アゲートで現れたエルフと漆黒の鎧に黒い大剣を持った少女ジャンヌはアザトースの元へ転移し斬りかかった。

 ジャンヌは大剣で、エルフはビームソードで転移を繰り返し首を一つづつ斬り落とし、アザトースの闇魔法はいなし、見えざる攻撃も距離を取って回避してまた斬撃を浴びせて行くが、斬っても斬っても新たに首が生え始める。


「再生持ちですか」

「面倒ですね、一気に決めましょうか。エルフさん、デッカいの頼みますね」

「任されました。時間稼ぎお願いしますね、ジャンヌ」

「はい!マスターに私の勇姿を届けなくてはいけませんからね」


 更に速く鋭くなるジャンヌの太刀筋に圧倒されるアザトース、地上で召喚口上を唱えるエルフ。


「星揺るがす一撃、世界の終焉奏でる四重奏を謳え。星間弾道ミサイル『ハルマゲドン』!」


 口上を終えたエルフはジャンヌに退避を命じ、自らもその場から遥か遠くへ転移し、アザトースの最後を見届ける。

 虚無空ウチュウから墜ちてくる一発のミサイルはアザトースの真上で大爆発を起こした。

 離れた位置でも感じる衝撃波と爆音はその威力を物語っている。


「光りの粒子確認、やはり召喚獣でしたか。お見事ですねエルフさん」

「ジャンヌが時間を稼いでくれたお陰ですよ。後…」

「何ですか?」

「スタミナ切れなので帰りはお願いしますね」

「お疲れ様でした。さっ、早くマスターの所に戻りましょう!!なでなでして貰わなくては」

「相変わらずですね」


 魔王竜との戦いは退治出来たものの、拠点は失い生存者もゼロという多大な被害を受けたカタチで幕を閉じた。




「そうか…だが良くやったなジャンヌ」

「フヘヘへへ、もっと褒めて下さいマスター!」

「後でな。古代兵器を回収に向かった連中に伝えるのが先だ。二人共ゆっくり休んでくれ」

「私は疲れてないのでマスターのお供します!!」

「いや、ジャンヌは還ってくれ」

「なんでですか!!?」

「召喚しっぱなしも疲れるんだよ…お前の転移じゃ今どの辺にいるか分かんない連中の所には飛べないだろ」

「そんな…」

「また喚ぶから。そんときは宜しくな」

「はい!すぐ喚んで下さいね!!」

「あぁ…」

「リーダーも大変ですね」

「変わってくれるか?」

「古代兵器の収集に尽力して良いなら考えてあげます」

「そんな時間無くなるぞ」

「じゃあ嫌です」

「あ〜、早く終わらせて休みたい」




『アザトース』

討伐レベル?

ステータス?

 全長20メーター、口だけの多数の首と全身に付いた眼を持つ深淵の六王竜の一体。

 魔王竜とも呼ばれるが、竜の形をしていないのに何故竜種に分類されるか不明。

 蓄積したダメージを一気に放出するカウンター魔法『虚構夢想』で当たり一面を無に還す。


『ドクトルファウスト』

召喚獣

体力B 攻撃力A+ 速力C

 立派な髭が特徴の人型召喚獣。

 かつて魔導王と呼ばれた遥か昔の人物でアンデッド系に分類され、多彩で強力な魔法を扱える。


『ヘレポルス』

アーティファクトサモン

体力S 攻撃力A 速力0

 全高65メーター、高層建造物型のアーティファクトサモン。

 元々は都市防衛を担っていた古代兵器で、全方面に配置された砲門で徹甲弾を撃ち出し敵の襲撃に対応していた。

 意思疎通は攻撃の開始と停止のみ。


『アメジストドラゴン』

召喚獣

体力A+ 攻撃力A 速力B

 全長18メーター、紫石英竜とも呼ばれる紫色の西竜。

 上級種に位置し、高い魔法攻撃耐性を持つ。


『レーゲンドラゴン』

召喚獣

体力B 攻撃力A 速力A

 全長25メーター、東方龍型の上級種で極東では善女龍と呼ばれている。

 白と水色の鱗を持ち、水魔法と風魔法を得意とする。


『煉獄騎士ジャンヌ』

召喚獣

ステータス?

 漆黒の鎧と黒い大剣を持つ紫の髪色の見た目16位の少女の召喚獣。

 実年齢は千歳を超えてる噂がある。

付与と転移魔法を駆使して戦う。













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