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川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§5.施工事例その3 石塔のある家
179/210

絵島だった

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


見事に剃髪された後ろ頭。もしかすると禿頭かもしれない。


とにかく、便器から、スキンヘッドの後ろ頭が突き出ていた。


なんだ()()は。


怖さよりも混乱が強い。


「つるピカはげあたま、か。」


()()()()()な、と川島は思った。


田代は、自身が体験した恐ろしい話を続けていたが、川島は考え事を()()()()()()()()ので、田代の話を、もう聞いていない。


その禿頭を除霊してくれ、ということなのだろう、と推測した。


要は、その禿頭を便器から取り出してしまえば、解決する話だ。


話を最後まで聞かずに、勝手に結論付けるのはよくないが、この場合、川島への要望が何か、容易に推測ができた。まず間違いない。話の途中で勝手に先読みして、要望に対する処理方法、段取りのシミュレーションを考え始めるのは、ついやってしまう悪癖だが、実施に移っていないから後戻りできるし、手遅れという話でもない。諸々は、後で確認すればいい。


何より、()()()の怪談っぽいし、話の()()()も、禿頭が便器から出ていたところがピークだろう。あとは蛇足だ。つまり、退屈だ。


そうじゃないのかもしれないが、どうしようかなあ、という考えの方に集中してしまった。


()()()()()


物理的に掴むわけじゃないが、川島にとっては、物理的に掴むようなものなので、掴みにくいというイメージがあると、失敗してしまうだろう。両手を使えばいいのだろうが、保険として、片手は残しておきたい。片手で掴み上げて引きずり出したい。


簡単にバスケットボールを片手掴みできるような手じゃない。川島の手はデカいが、指が短い。


せめて髪の毛があれば、髪の毛を掴んで、引っ張り上げられる。便器から引きずり出せる。


川島は、禿頭だった武田の頭を思い浮かべて、ああいう感じかな、とイメージしていた。


人の頭だから、バスケットボールほどではないか。バレーボールくらいかな。でも武田さんは、頭が大きかったからなあ。


頭の中で、武田さんの禿頭を掴んだ。


ちょっと笑ってしまう。


「ふふっ。」


「笑いごとじゃないんですからぁ!」


田代に咎められた。


「ごめんごめん。続けて。」


聞いちゃあいないけど。


バレーボールくらいなら、まあ何とかなるか、と手をにぎにぎする。


()()は、トイレの詰まりを直す、修繕工事みたいだなあ、とぼんやり思った。


トイレの詰まりの修繕。仕事でもやっていることなので、それについては、抵抗がない。


しかし、しかしだ。


便器に嵌っていた禿頭を引きずり出して、処分場(トンネル)に持っていく為には、自分の車に載せる必要がある。厳密にいうと汚物ではない。汚物ではないのだろうが、気分の問題だ。自分の車に載せるのには、抵抗がある。いや、載せたくない。便器から出てくるようなお化けだ。穢れは汚いに違いない。


となると、田代の車か。


いや、処分場(トンネル)を田代に教えるのは、なんかイヤだ。具体的にどうイヤかは言えないが、なんかイヤだ。知られたくない。


そうなってくると、結論はひとつ。


絵島だ。


絵島は、巻き込んでもいい。


「絵島さんから聞きました。」


()()()()()のだから。

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