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川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§4.施工事例その2 鉄橋
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クレジットカード

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


「絶対に嫌だ!」


「大丈夫だって、何にも映ってないから。」


「観ない!絶対に観ない。観るわけないだろ!」


「俺も観たけど、何にも映ってなかったわ。面白くない。」


竹脇は、断固として、観ようとはしない。


「霊感のある子にみせたけど、全然だったから。」


竹脇は、観るくらいなら帰る、とすら言い出した。


「わかったよ。もういいよ。絵島さん、これ、処分しといてよ。」


「自分とこのコンテナに捨てろよ。」


「今、決まった現場がないから、できないんだよ。」


「しょうがねえな。」


「なんで俺が、聞き分けのない子みたいになってるんだ。」


「飲みなおすか。」


「キャバクラでも行く?」


心にもない提案をした。中務と違って、おっさんふたりは、乗ってきた。しかし、


「キャバは、いいわ。もっと落ち着けるとこがいい。どっか(いいとこ)ないか?」


「えー。最近は(街に)出ても、バーしか行かないからなー。バーでいい?」


「川島君のいうバーって、オーセンティック(ガチ)のだろ。流石に落ち着きすぎだわ。」


「うちの社長が行ってるとこでいいなら。」


「俺たちは、経費で飲めないんだぞ?割り勘なんだから、高いとこは勘弁。」


「社長がボトル入れたばっかりだから、ちびちびやれば、大丈夫だろ。」


「貧乏サラリーマンは、世知辛いねえ。」


とはいえ、酔っ払ったオッサンの財布の紐は緩い。それに、川島は、そこそこのカードを持っている。


川島は、若い頃、すすめられるままに、クレジットカードを作っていた。川島が二十歳そこそこの頃、クレジットカードの審査が緩かった。色んなお店で、カードを作りませんか、と言われて、そうですかと作っていた。5枚ほど作ったところで、こんなにいるのだろうか、と疑問に思った。


財布の中がカードだらけになっていて、これはいかん、と思った。整理をしよう。まず年会費のかかる奴を解約しようと考えた。契約は簡単だが、解約は困難だ。すごく面倒くさい。


会社の先輩に、そのことを話したら、無料の奴を解約しろよ、と助言された。


川島の持っている、年会費のかかる奴は、その辺の若いサラリーマンが作ろうとしても、なかなか審査が通らない。なかなか審査が通らないってことは、信用できるカードってことだ。フリーターでも作れる年会費無料のカードよりも、年会費が多少かかっても、信用度の高いカードの方がいい。クレジットカードなんだから、と説得された。


そう。クレジットカードのクレジットは、販売信用。信用会社が会員を信用して先払いをしてくれる。審査が通りにくいカードは、持っている会員の、信用の高さをあらわしている。


「え。でも、カードの審査、すぐ通りましたよ。」


五輪(うち)だからだよ。」


そう。信用会社が信用しているのは、若い社員個人ではなく、若い社員が勤めている会社を信用して、カードを発行している。


「なるほど。」


年会費無料を率先して解約した。


信用できるクレジットカードが、ポケットの中の財布に入っている。()()の支払いなら、大丈夫だ。


行こう行こう、と3人は、一軒目を出た。


竹脇を先頭に、繁華街を闊歩する。竹脇も()()だし、川島も()()。絵島に至っては、見るからに()()。そんな三人が、繁華街を歩くと、人を避ける必要がまったくない。だからといって、(やから)のように歩きたくはないので、真ん中ではなく、大人しく、端っこを歩いて、店を目指した。


(ラウンジ)の名前は、linda (リンダ)といった。

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