62話 大和スカイタワー
「あ!空見て!でかい塔台!あれって東京スカイツリー!?」
アリスがはしゃぐように言うので、は見上げてみると確かに東京タワーがあった。だが、かなり崩壊しており、遠目から見ても完全に折れてしまっているのが分かる程だ。
「違うよ。あれは大和スカイタワーだよ。高さと外装も東京スカイツリーと同じだけど最新技術を使ったハイテク高層ビルだよ」と言って、はアリスの頭を優しく撫でてやる。するとアリスはとても嬉しそうに目を細めていた。はそんなアリスの様子を見て、更に頭を撫でてあげることにした。
「んじゃアリスちゃん、大和スカイタワーに行きましょうか!」
レナさんの言葉で皆が大和スカイタワーに向かうことになった。しかし、ここでアリスは一つの疑問が顔に出ていた。「あのー、この大和スカイタワーっていつできたの?私の
記憶が正しければここにはなかったような気がするけど?」
そう、アリスはここに来るの初めてのため、この周辺の地理に詳しいわけではないのだ。するとレナさんがアリスに対して優しい口調で説明を始めた。
「大和スカイタワーは2030年から計画をスタートし、2033年半ばに完成したのよ。高さは634mで東京スカイツリーと同じ高さのビルよ。ちなみに地上65階建てで地下3階まであるわ」
それを聞いてもアリスはまだ納得していない様子だったが、それでも理解はしたようだった。こうしてたちは大和スカイタワーに向かって歩き始めた。入り口に入る前に、未来を感じる立体物を見た。ビルには全ての壁面に多数の巨大なモニターが設置されており、人通りが一切ない都市の景色を映す映像を放映し続けていたのだ。その映像は絶景といって差し支えがないが、は特に心を動かされなかった。ただ単に美しい光景として認識できるだけである。そんなの態度を見てか、レナさんは笑いながら話しかけてきた。
「神薙くんムスッと顔してるね。せっかく来たんだから楽しんでいこうよ~」
その言葉通りはこの景色を楽しむことはせずに、ただ目的地に向かって歩き出すだけだった。しかし、そんなのことをみんな気にしていないようである。どうやらレナさん以外はこういう風景を楽しんでいるらしい。そう思いながら歩いていると入り口の内装が見えてきた。入り口は6つのエレベーターのような装置になっていた。そのシステムはとても最先端な感じが伝わってきて、科学技術の進歩を実感する。そしてたちはエレベーターに乗ると地上300mまで一気に昇ることができた。エレベーターの内装も非常に洗練されており、高所恐怖症禁止をするような硝子張りで透き通るように作られていて外が見えるようになっている。まさに360度の絶景が目の前に広がっている。が初めて見る景色に感動していると、他の皆も同じような表情をしていた。上がる間、スピーカー越しから30代女性のアナウンスが流れた。その女性の声は優しく包み込まれるような感覚になり、心を癒してくれるような話し方だった。しかもその声はどこかで聞いたことのある声だった。なぜかは分からないけどそんな気がしたのだ。そう考えているうちにエレベーターの扉が開き、たちは外に出た。地上300mの地点まで上がってきたためか、少し肌寒く感じた。それと同時に空気も薄くなっていたためか息苦しくもあった。しかし、それもすぐに解消されたので心配する必要はなかった。むしろ心地よい風を受けることができるため快適であるといえるだろう。
「凄い!あの建物凄い!」
アリスが興奮しながら指差す先には巨大な建物があった。それは高層ビルのような建物で、地上からでも見上げることができるほどの大きさを誇っていた。まるでこの街を象徴するかのような存在であった。
それはまさにこの都市のシンボルといっても過言ではないほどである
。その存在感は圧倒的で見るもの全てを圧倒するものがあった。
「あれはモストホテル321で、有名ホテルの一つ。私も一度宿泊したことあるんだ。内装も豪華だし、サービスも良いよ」と言うとレナさんはアリスを連れてホテルに入っていった。中に入ると外見と同じくとても広々としたロビーが広がっていた。高級感が漂う落ち着いた雰囲気が漂っており、とても優雅な気分になることができた。
「ここの最上階にレストランがあって、夜景が見れるから夜景で楽しむのもありですよ。とにかく食事だけでもおすすめなんです」レナさんが言う通り、確かにこのレストランで食事をしたくなったが今回は展望台を見に来たのであって決して飯を食べにきたのではないはずだ。「お風呂も入れるの!?凄い!」とアリスは目を輝かせている。とても元気な様子で微笑ましいのだが、発言が完全に幼女である。決して中身も小学生ではないはずなんだが、どうしても幼女扱いしてしまう。ここは仕方ないことだと割り切るしかないのかもしれない。しかし、この景色はそれすらも忘れさせるほどの美しさだった。現在は曇りで、霧が街を覆うように漂っていた。まるで幻想的な風景を見ているかのようだ。これなら展望台から眺めたほうが良いかもしれないと感じるほどに美しい景色が目の前に広がっていた。やはり展望台で見るのが一番だろうと判断した達は早速そこへ向かった。そこにはチケットブースがあり、1枚500円とお手頃価格。チケットを入手すべく受付のお姉さんに話しかける。すると、親切に対応してくれたので感謝を伝えつつ500円を払う。




