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闇に飲み込まれた謎のメトロノーム  作者: 八戸三春
第一章
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56話 〇〇戦死

数分経った時、ドアから強い衝撃音が聞こえ、屋上に向けて誰かが駆け上がってくる音がした。レオナは驚きと希望を交えた表情でその方向を見つめる。扉が開くと、何者かが慌ただしく屋上に姿を現した。


「レオナ、大丈夫か!?」


声の主は空で、レオナを支えながら安否の確認をした。彼女は視界がぼやけながらも、その声に安心感を覚えた。


「空……来てくれたの……こんな私が……」


空はレオナを優しく抱きしめ、彼女の状態を確認した。


「レオナ!?何でこんなことに……なっちゃったんだ!?」


「私の罠見たい……自分で仕掛けたトラップにはまっちゃったのさ……私は馬鹿だったな」


レオナは苦しそうに笑い、空は彼女を優しく励ました。


「大丈夫だよ、レオナ。君を助けるために来たんだ。今は安心して、治療を始めよう」


「いや……私は空に会えただけで、もう十分だよ……」


空はレオナに微笑みかけながら、急いで応急処置を施すために手を動かし始めた。


「お前はまだ死んではいけない!俺はまだお前のことをよく知りたいんだ!だからすぐ治療する!」


「もういいよありがとう……私の身体はもう元通りじゃない……でも、君が来てくれただけで十分だよ……」


レオナは微笑みながら、自身の限界を感じながらも、空に感謝の気持ちを伝えた。


「馬鹿なこと言うなよ!君を助けるのが仕事だ!君の未来はまだ終わっていないんだぞ!」


空は真剣な表情で言い放ち、レオナの手当てを続けた。レオナは涙を流しながら必死に話した。


「私は人々を守れなかった……正義って本当は存在していないのかもしれない……」


空は黙って手を止め、レオナの目を見つめた。


「正義が存在するかどうかはわからない。だけど、君が人々を守れなかったとは思わない。君は戦って、努力して、未来を切り開こうとした。それが正義だと思うよ」


「そうだね……でも私はやっと気付いて人を殺めて何か得られるものはないって……だから私はこういう性格が嫌い」


「性格なんて人それぞれだ。ただ、それが前向きに生きてればいいんだ。君はまだやりたいことがあるんだろ?」


レオナは空の言葉に頷き、微笑みながら続けた。


「そうだね、まだやりたいことがある。人を守ること、そして……」


彼女は空に対して真剣な表情で言葉を続けた。


「美味しい空の手作り焼きそばをまた食べたい……空の作った手作り焼きそばは世界一美味しいんだから」


空は微笑みながらレオナの手当てを続け、彼女の言葉に応じた。


「そうだな、美味しい焼きそばは絶対に作ってやるよ」


空はレオナに寄り添い、彼女の手当てを続けながら笑顔で言った。


「お前が望むなら、何だって作ってやる。そして、お前はまだやることがあるはずだ」


「そうだ……ね……もう意識が……」


空はレオナを支えながら、急いで彼女の治療を進めた。屋上での死闘の余波が、彼女の身体に深い傷跡を残していた。


「待て!もう少しだレオナ!君を助けるために全力でやるから、耐えてくれ!」


空が必死に手当てを続けながら、レオナは次第に意識が薄れていく前に空の腕を引っ張って彼女の上にもたれさせた。


「温かい……人間らしい温かさ……ありがとう、空……」


レオナの言葉は微かに聞こえ、空はただ呆然と彼女の姿を見つめていた。レオナの目が閉じる前に、彼女は微笑みながら言った。


「少し拒んでる……?最後くらい好きにしていいよ……」


空はレオナの最後の言葉に驚きながらも、彼女を抱きしめた。彼女の身体はだんだんと冷たくなり、意識が遠のいていくのを感じた。


「ありがとう、レオナ。君は強かった。本当に頑張った」   


空は心からの感謝と決意を込めてそうつぶやいた。レオナの姿は次第に淡くなり、彼女の最後の瞬間が迫っていた。次第に手の力が弱まって、レオナの身体は重く感じられ、彼女の存在が次第に淡くなっていく。空は彼女を優しく抱えながら、最後の瞬間を見つめていた。


「レオナ、ありがとう。君がいてくれて本当に嬉しかった。」


彼女の瞳が閉じると同時に、空は静かな別れの言葉をささやいた。


「君の力、正義、そして君の美味しい焼きそばのこと、忘れないよ。安らかに眠れ、レオナ。」


空はなおも彼女を抱え、屋上の風に語りかけるようにそっと立ち去った。残されたは、屋上にただ一人寂しく眠るレオナの姿だった。


その後、屋上では異変がなくなり、闘いの余波も消え去っていった。


駆けつけたレナは、屋上に姿を現すと、目の前で繰り広げられた激しい戦闘の跡を見つめた。彼女は慌ててレオナのもとに駆け寄り、その様子を確認した。


「ちょっと、大丈夫!?何があったの!?」


レナが驚きと心配の表情でレオナのもとに駆け寄ると、彼女の身体はまだ冷たさを帯びていた。空が黙って頷くと、レナは悲しみで口に手を抑えた。


「なんで……こんなことが……」


レナは言葉に詰まりながらも、レオナの無念さと悔しさに胸が痛んだ。空は優しくレナの肩を抱え、二人で黙ってレオナを見つめた。


「彼女は最後まで正義を貫いた。でも、戦いの中で失ったものが多すぎたんだ」


空の言葉に、レナはなおさら心を締め付けられた。悔しさと悲しみを抱えながら、レオナの最期を悼む二人は、彼女のために手を合わせた。屋上には風が静かに吹き、落ち着かない雰囲気が残ったまま時間が流れていった。

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