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闇に飲み込まれた謎のメトロノーム  作者: 八戸三春
第一章
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51話 危機的状況

エージェントたちが施設の奥に急ぐと、広い部屋は砂埃に覆われてしまっていた。砂埃の中から、小さな子供の姿が浮かび上がり、手にはロケットランチャーを構えていた。


「レオナ!?」 空が驚きとレオナを呼ぶ声を上げる中、小さな子供の姿をした不法侵入者はロケットランチャーを手にエージェントたちに向けた。


「隊長危ない!!!」一人の隊員が掩護を命じると放たれたロケランは天井に命中し、閃光と一部の壁を吹き飛ばす。その破片、衝撃波、瓦礫がエージェントたちを巻き込む中、一瞬の混乱が広がった。空は身を守るために急いでカバーを探し、レオナに向けて呼びかける。


「レオナ、お前だろう?なぜこんなことを!?」


煙と砂埃の中から、レオナの声が返ってきた。


「なぜって……なんでって?!」レオナは激昂しながらも、瞳には異常な輝きが宿っていた。「私は何も悪くない! !悪いのは人を虐める者たちだ!!それ以外はないわ!!」


煙が晴れると、レオナの姿が浮かび上がった。彼女は冷徹なまなざしでエージェントたちを見つめ、言葉を続けた。


「やっと分かった……何故こんなに悪い人が、こんなに悪い人が……」レオナの言葉が途切れ、破片が舞い散る廊下でエージェントたちは彼女の急襲に戸惑いつつも、その背後に潜む理由を理解しようとしていた。


「レオナ、冷静になってくれ!」空はなんとか制止しようと試みるも、彼女の目には怒りと悲しみが入り混じり、まるで燃えるような炎が灯っていた。「不安は消されない……今解決してもまだ不安が広がっている」


エージェントたちは緊迫感漂う中、空は欠けた壁の血を辿ると六人の遺体が重なっていた。エージェントたちは沈黙に包まれ、レオナの行動が背後に隠された悲劇の一端を明らかにしていた。空は深い悲しみを感じながらも、彼女に対峙した。


「レオナ、君の行動は理解できる。だが、限度がある。もちろんお前が危機を感じた気持ちははっきり分かる。でも、君の行動が招いた結果はもう一度考えないといけない。これ以上の被害を防ぐために、協力して問題を解決しよう?」


レオナはまだ憤怒のまなざしを向けながらも、空の言葉に耳を傾けた。彼女の中に渦巻く感情が複雑に入り混じっていたが、一瞬の沈黙の後、彼女は深いため息をついた。


「でも……でも、これ以上誰かが苦しむのは嫌なんだ。私はただ、正義を貫くために戦っていたつもりなんだ。でも、どうしてこんなことに……」


「やっと心を入れ替えたか? それじゃあ一瞬に署までご同行するね」


優しい微笑みで伝える空は部隊に合図すると、隊員がレオナに近付くとエージェントたちはレオナを取り押さえ、彼女の危険な行動を封じることに決めた。腕を掴もうとするが、レオナの中にはまだ燃えるような怒りが宿っていた。


「触るな!私を触るな!」彼女は絶叫し、身体を抵抗の限り反らせて手錠から逃れようとしたが、仲間たちは固く制止した。


「レオナ、冷静になってくれ。君の行動がもたらした結果を受け入れないと、これ以上解決は難しい」


空はなるほどの穏やかな声で言い、他のエージェントたちもなんとか彼女を鎮めようと努力した。しかし、レオナの心にはまだ抱えきれない苦悩が渦巻いていた。


「何もかもが壊れた……」と彼女はつぶやきながら、体重の半分の一人の隊員を軽々持ち上げ、投げ飛ばされる。他のエージェントたちは驚きの中、手錠を装着しようとするものの、レオナの力強い反抗に苦戦していた。彼女の瞳には激しい怒りと絶望が入り混じり、その力はまるで制御不可能な嵐のようだった。


「レオナ、君の怒りは分かる! でも、これ以上は危険だ。落ち着いてくれ!」空が懇願の声を上げるが、彼女の怒りはなお収まる気配を見せなかった。


部隊が発泡するとレオナは素早く身の軽い動きでエージェントたちの銃弾を躱し、そのまま施設の奥深くへと駆け出していった。空は仲間たちに指示を出し、レオナを追跡するよう命じた。


「追うぞ!何があっても発泡はするな!」


「神薙!! 何やってんの!!」


後ろにレナの声が部屋中に響き、空は驚きと混乱をした。

 

「神薙空くん!! 何で無理矢理子供の手を掴むの!?」レナがエージェントたちに向かって怒りをぶつける中、空は一瞬立ち止まり、その行動が冷静でなかったことに気づいた。


「え、いや俺じゃないけど…ただ…彼女が危険だったんだ。制御できない力が湧き上がっていて」


「理解を示してあげてるのはいいけど、それで腕を掴むのは、あまりにも過剰だよ!!」


レナが空に厳しい視線を向ける中、エージェントたちは混乱した状況を収拾し、レオナの追跡に集中することになった。


「空くん、子供も罪悪感はあってね、自分がやった行いを理解してるけど友達と家族も居ない一人で檻の中に過ごしたくないものだよ……」


エージェントたちは深刻な表情でレナの言葉に耳を傾け、空も反省の色を浮かべた。


「空くん、無理にでも手錠をかけてしまったの?」レナが尋ねると、空は瞬間的に躊躇いながら答えた。


「彼女の力が制御できないと危惧して何とか逮捕しようとしたが、確かに行き過ぎた行動だったな……」


空は深い反省の中で、レナの言葉を受け入れながら続けた。


「――分かった、空くん。でもこれからは危険だと思う前に、もっと相手の状況を理解して行動するようにして。彼女に対してもっと思いやりを持って接することが、今後のトラブルを避ける鍵になるかもしれない」


空はレナのアドバイスを真摯に受け止め、未熟だった自分の行動を改める決意を固めた。エージェントたちは再び追跡に集中し、レオナを探し出すために施設内を進んでいく。


「また改めて謝るよ、レナ。君の指摘は正しかった。今度は適切に対応するように心掛ける」


「私も知りたいことがあるけど、とりあえずレオナを止めないと」


空とレナが言葉を交わしながら、この六人の遺体と周りに広がる破片や瓦礫の中で、彼らの死に至るまでの経緯が不明瞭に浮かび上がる。


「この人達は? 若い男の子達だけど」


レナが指を指すと空は深くため息をつきながら答えた。「彼らはまぁ、少し頭のネジが外れた困った者たちさ。イカれた輩で馬鹿な行動をして人に迷惑をする不名誉な存在だったからね」


「つまり全国民の恥で、彼らは何度も警告を受けながらも犯罪行為を続け、最終的にはこの施設に侵入して亡くなったってことかな?」


レナが興味津々で尋ねると、空は複雑な表情で語り始めた。


「そう、彼らは社会から孤立し、問題を引き起こす存在だった。だが、不運にもそれが施設に侵入し、命を落とす事態に繋がるとは思っていなかった」


レナたちは深くため息をつきながら、遺体の前に立ち止まり、証拠として写真を撮る。レオナの姿はまだ追いつけそうにないが、彼女が何者かに狙われていることは明らかだった。


「行きましょう。犯人が逃亡する前に早く追跡を再開しましょう」


施設内を進むエージェントたちは、レオナの足跡を頼りに進む中、異変がますます強まっていく。光景が次第に歪み、現実と幻想が交錯する中、エージェントたちは警戒の中で進んでいった。


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