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闇に飲み込まれた謎のメトロノーム  作者: 八戸三春
第一章
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36話 尊殿を護衛する警護隊

恐怖で口が開かず上手くしゃべれなかった。

『――!?おいお前ら!向こうに尊警護隊が武装してるぞ!一時撤退だ!』功徳隊の1人がそう叫ぶと全員が一斉に銃を下ろすと走り出した。ユキは呆気にとられて功徳隊を眺める。

『そこの一般人!大丈夫か!?怪我とか無い?』隊長であろう一人の警護隊ユキに駆け寄った。功徳隊が銃を持っていることを知っていて、ユキを心配していた。ユキは呆然としながらも、アリスの安心したのか涙が零れた。

『我々は尊殿を護衛する警護隊です。くれぐれもスーツの青年には気を付けてください。ここに居るのは危険ですので帰りまでご同行します』

空の家までっと言うと尊警護隊は家まで送ってくれた。住宅街に並ぶその道に空の家は何処なのか見渡すと車を止めた。


『着きました。玄関までご同行するので決してスーツの青年には気を付けてください』

ユキが車を降りて二人の男性に支えながら2階の玄関に向かう。

『では、我々はこれで失礼します』

警護隊が敬礼すると敬礼を返して去っていった。インターホン鳴らす。だが誰も出ないため恐る恐るドアノブを回すとドアは開いた。ユキはそのまま空の部屋に入った。そこにはベッドに眠る空がいた。ユキは安心なのか不安なのか複雑な気持ちだった。それからしばらくすると空が起きた。寝ぼけていてまだ意識がはっきりしていない様子だ。ユキは優しく声をかける。

「空さん、来ましたよ」空はユキの存在に気が付いた。

「あれ?もう来たのか。まだ1時になってないみたいだけど」ユキは空の体調を心配する。空はまだフラフラしていて意識がはっきりしていない様子だがユキと話した。

「無事で良かった。んじゃ、犯人の調査開始しますか」

空がベッドから起き上がるとユキは待ってっと空に対して言う。空はユキの方を見る。ユキは真剣な表情で空のことを見ている。空はその真剣さに何かを察するかのようにユキのことを見つめる。「何?」空が言うとユキは口を開く。「その、功徳隊ってご存知ですか?」空は一瞬考える表情を浮かべながらもユキに対して答える。

「あー確か官僚閥の元、テロ防止組織だっけ」ユキに対して言う。空は少し考えた表情を浮かべておりユキに尋ねる。「何か変わったことあったの?」

するとユキは首を横に振り質問する。

「いいえ、ただ聞いただけです」ユキは真剣な眼差しで質問する。「もし、私達が狙われたらどうしますか?」空は少し呆れた様子でユキに対して言う。「いや、別にどうもしないよ。官僚の元だろ?あり得ないよ」ユキは驚き空に対して真剣な眼差しで質問する。

「じゃ、じゃあ、もし誰かを狙うとしたら誰が狙われますか!?」

「しつこいぞ、だからあり得ねぇって。官僚がそんな目立つことするかよ」空が苛立つ口調で答えるとユキは下を向いた。

「そ、そうですか。すみません、変なことを聞いちゃって」ユキは申し訳ない表情を浮かべる。

すると空がユキに向かって話し始める。その表情は少し怒っているように見えた。

「調査は分かったのか?早く見つけないとまた被害者がでるぞ」

ユキは頷いて答える。

「はい、わかっています。でも、全く見つからなくて」

「俺等の部隊は瞬時な判断と行動を求められているんだ。そう教訓を叩き込んでる。君たちが見つけられないのなら、他の手段を考えろ。被害者は待っているんだぞ」

ユキは焦りと責任の重さを感じながらも、空に向かって必死に訴えた。「でも、大切な人が……」「大切な人? 大切な人もそうだがそれは後だ。市民を助ける任務が最優先だ。お前はそのことを理解しておけ」空は厳しい表情のまま、ユキを見ながら話す。ユキは疑問のあまりつい口出してしまった「何でそんなに怒るんですか……?」

「使命への徹底が求められる。怒りではなく、危機感と使命感だ。君たちが成功すれば多くの命が救われる。だから怒ってない、市民を守るために全力を尽くしてる」空は厳しいまなざしでユキを見つめながら説明した。ユキは理解し、ユキがその言葉を受け入れるような微かな頷きを見せると、空はそのまなざしは少しだけ緩んだ。「君には期待している。早く手がかりを見つけ、被害者を守れ」ユキは改めて頭を下げ、使命を果たす姿勢を見せたが内心ではまだ戸惑いと不安が渦巻いている。

またあの功徳隊がアリスさんを狙っていることが心の奥底で気になっていた。でも、どうしてアリスさんを……と口に出すことなく、空の厳しい指示に従うことしかなかった。被害者を守るのもそうだけど同時にアリスさんがなぜ狙われているのか、その理由も知りたいという思いが自分の心に渦巻いていた。

もし功徳隊がアリスさんを始末されたら次は自分が狙われる可能性もある。


次もまた来る……。


ユキはその現実を冷静に受け止めるしかなかった。武装してる相手に立ち向かう覚悟なんてできない。スーパーヒーローや超能力が居ない限りユキは現実的な限界を理解しなきゃいけなかった。せっかくアリスさんが助かるっと思っていたのに、彼女の前に立ちはだかる脅威はますます厳しくなっていた。立ち向かって儚くも散るしかないし、交渉する場合官僚の説得力も限られている。ユキは現実的な制約を感じられてそして誰も信じてくれない、信じてもらえない、そんな孤独感が重くのしかかる。「何してるんだ?早く見つけろ」空の厳しい声が頭の中で響き、ユキは現実と向き合いつつも、無力感と孤独の深い痛みに耐えながら調査を進む。

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