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闇に飲み込まれた謎のメトロノーム  作者: 八戸三春
第一章
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19話 空の異常事態

――ある場所にたどり着いた。その場所は遊具が無い公園だった。空は周囲を見回してから辺りを見回した――しかし、その場所にアリスの姿はなかった。そこで彼は再び考え込んでいた。

何故、彼女がいなくなってしまったのか? 別行動を取ったことが原因か、それとも、彼女を探し出すことができず、戻るのが遅れてしまっているためなのか。

その時、後ろから男性の叫び声が響き、空は振り返ることになった。そして、信じられないものを目にすることになる。なんと、そこにいたのは――

「うわぁぁあぁぁぁぁぁ!!」

空は絶叫した。それと同時にその場から逃げ出したのだった。彼の目の前にいたものは紛れもなく人間の死体だった――それも一人ではなく二人だ。

二人とも全身傷だらけであり、顔は苦痛に歪んでいた――しかもその手には凶器らしきものが握られていた。それらは血にまみれており、地面に滴り落ちていた。

空はそれを目にするとすぐに走り始めた――後ろから二人の男性が追いかけてくる音が聞こえたからだ。

彼は必死になって逃げ続けた。ゾンビ映画さながらの光景を目にして、いよいよ現実とフィクションの区別がつかなくなっていた。

しかし、それが夢ではないことは明らかだった――何故なら彼を追いかける足音がしっかりと聞こえていたからだ。空はとっさに振り返り、その光景を目にした瞬間に再び絶叫していた――二人の男性は地面に倒れている死体が痙攣したように、うごめいているのを目撃したからだ。

体の痙攣はベータ144が体内でウィルスを暴れさせているからで、死体が勝手に動いていたのだった。

しかし考える時間もなくそれを見て混乱し、さらに全速力で走った――

しかし、二人の男性の足音がどんどん近づいてきていることに気づいていた――難を逃れるには何とかしてこの場から逃げ切れたときには、誰もいない場所にいたかったが、どこへ行けばいいのか見当もつかなかった。

だが、そんな彼の願いはすぐに叶うことになった。後ろにピチャピチャっと液体の音がし、振り返るとそこには死体が這いつくばって空を追いかけてきていたからだ――空の目には、それが人間ではなくゾンビそのものに見えていた。

死体の特徴は小学生ほどの背丈で、肌の色は青白く、体のあちこちには大穴があり、腐敗が進み肉や骨が見え隠れしていた。

服装はローブのようなもので、顔が暗くてよく見えなかった――その足は化物に貪られたかのように原型をとどめていなかった――

そして、微かに見える口からははっきりと空に助けを求める声が聞こえていた。

「足が痛いよ……助けてよ」

しかし、空はそれを無視しようとした――いや、できなかった――というのも、死体が這いつくばりながら空に近づいてきて、

足にしがみついてきたからだ――そして死体はこう言った。「……いや、違う。……じゃない、お前は……じゃない」

その瞬間、空は正気を取り戻してその場を逃げ出した――死体は必死にしがみついていたが、

空はそれを蹴り飛ばし、なんとか引き離すことができたのだった。だが、その周囲には複数の化物の呻き声が聞こえていた――それは全て死体から発せられたものだった。

空はさらに走ろうとした瞬間、少女の叫び声と共にバキッという鈍い音が響いた。

その直後、空は何か強い力で後ろに引っ張られた。

「……!? ……!!!! おい嘘だろ!?」空が振り返ると、そこには化物の口の下から分厚い本がバサッと抜け落ちる光景が目に入った。

「止めろ!!!! 止めろよ!!!!」

空は叫び、すぐに走り出した。だが、化物は口を閉ざしたまま空を追いかけた――

すると、アリスが空を見つけて呼ん だ。しかし、空はその呼びかけに応えることなく走り続けた蛇の口を大きく開け、牙を見せつける。

空にはそれが蛇の舌に見えるのだった。アリスが飛び上がり空の背中にしがみついて来て、なんとか捕食から逃れることができた。

アリスは空を引っ張るようにして走り、何とか逃げ切ったのだった。

「空! 何で化物に向かてったの!?」

アリスは怒った口調で問い詰める。

空は、「はぁ、はぁ」と息を荒げながら頷いた。そして、自分に起こった事を話し出した――だが、彼は恐怖のあまり声が震えていた。

「もう少しで空が死ぬところだったんだよ!? 私の言うこと聞いてよ!」

アリスは怒り、空の胸を叩く。

空は頭を下げたまま何も言えずにいたが、突然、アリスの後ろから黒い影が現れた。

それはあの化物だった――しかし、今回は一人だけではないようだ――空たちが振り返ると同時に別の方向からも現れたのだった。

全部で四体の化物がいた。しかも、その背後にも更にもう一体現れ、計五体が空から襲おうとしていた――空は恐怖に怯えながらもなんとか銃を構え、引き金を引いたその時、撃鉄がカチンッと金属を弾かれる音だった。弾切れである。空はそれを見て絶望し、その場に座り込んだ。

「くそ、何故こんな時に!」

空は悪態をついて銃を地面に放り捨てた。それから空はすぐに逃げ出した。

アリスは彼についてくるよう促し、二人は同時に走り出すのだった。

しかし、背後から追いすがる化物たちの方が速く、徐々に距離を詰められていた――そこでアリスは急停止して振り返る。

彼女は両手を広げて立ちはだかり、向かってくる化け物たちにこう言った。

「私はアリス! あなたたちが食べたいのはこの私でしょ!?」すると、化け物たちは怯み足を止めたのだった。それを見た空は、驚きながらアリスを見つめる。

すると、アリスはニコッと微笑み、再び化物たちに向き直ってこう言った。

「空は私の家族なの! あなたたちには絶対にあげないよ!」

そう言うと、彼女は目の大きく見開いた。その瞳模様は狐の頭のような模様だった。

そして、空の方に向き直り、こう告げた。

「私に任せて! 大丈夫だから」

アリスはそう言って手を差し出した――その小さな手は、空から見たらまるで天使の手のように見えたのだった――。

アリスは空の前に出ると、両手を伸ばし、何か呪文のようなものを唱え始めた。

「エレメントコード、セブンスソード!霊魂牢獄(アットカール)!」アリスが唱えると、空中からいくつもの剣が現れ、次々と化物に向かって飛んでいった。

そして、それらは次々と化け物に突き刺さっていき、彼らの体を無数の刃が貫いていった――

そしてトドメと言わんばかりに剣を召喚した地点から赤い血が噴き出してその体は後ろに吹き飛ばされていたのだった。

しかし、アリスは息つく暇もなく次の行動に移るのだった。彼女は空に抱きつき、何かを唱え始める――すると、二人の体が光に包まれていく。

「最大強化、奇意撃エンチャントストライク!!」そうアリスが叫ぶと、地面を蹴るアリス。彼女の体は宙に舞い上がり、その勢いのまま化物に向かっていく――そして、彼女は化け物の一匹に向かって跳び蹴りを叩き込んだ。

その瞬間、アリスの右足には虹色の光が宿っていた――それはまるで花火のように散っていく――

だが、それでも威力は衰えず、化物の体を貫いていったのだった。五匹目を倒したところで、次に並んでいた三匹目の標的へ移る。

しかしそのときには既に空が動き出していた――空は、化物に向かって走り出していた。

そして、ナイフを手にし、化物に向かって振り上げる。空は怯えていた――しかし、彼は自分に言い聞かせる――俺は逃げちゃいけないんだ――と。

腕が振り下ろされ、ナイフがしっかりと化け物の体をとらえていたのだった。

刺された痛みで苦しむ化け物を横目に、さらにもう一本ナイフを取り出し、再びその体に突き刺していくのだった。その直後、化物の首が跳ね飛ばされ、胴体から鮮血が噴き出す。

「え? 何だ?今のは俺か? いや、アリスか?」

そう言いながら後ろを振り向くと、銃声の連射音に化物の死体が包まれていった。

すると、化物は耳障りな金切り声を上げて消滅するのだった。それを見た空は思わずその場にへたり込んでしまうのだった――よく見ると、アリスは汗だくになっていた。

額には大粒の汗が光り、息も上がっている。あれだけの能力が使えば無理もないだろう。それでも彼女は毅然とした態度を崩さなかった。

「空、大丈夫?」

彼女はそんな空の様子を心配したが、彼は首を縦に振った。それを見てアリスは安堵の表情を見せるのだった。その時、後ろを向くと神城蠹毒が立っていることに気づいた。神城はの不思議な表情でこちらを見ていた。

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