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第57話 シアと千結のお見舞い

 


 ◇◇シアside◇◇



「あらら、出て行っちゃったねぇ」


 顔を赤くした天斗がバタバタと忙しなく出て行ったドアを見つめて千結がくすくすとおかしそうに笑います。


 私はそんな千結に抗議の視線って不満を表します。


「なに天斗に色目使ってるんですか!」


「ちょっとからかいたくなちゃったんだよぅ、ごめんね?」


 そう言って手を合わせて小さく誤ってくる千結。まぁ、天斗をからかいたくなる気持ちはわからなくはないので仕方ないから許しましょう。


 ただ、千結がやると割とからかいの範疇を超えそうなのが怖いです。


 ‥‥‥私より良いものをお持ちですし。


 あんまり自分にコンプレックスとかはありませんが、こうして比べると羨ましいですね。きっとこれが私にもあれば天斗も‥‥‥。


「シアちゃん? 気になる? 触ってみる?」


 私が物欲しそうに見ていたのに気が付いたのか、千結がそんなことを聞いてきました。


 自分以外の胸なんて今まで興味が無かったので触ったことはありませんが、今はすごく気になります。


 コクリと頷くと、千結は少し胸を逸らして私に向けてきます。


 服を押し上げるふくらみがむにゅっと強調されて、思わずゴクリと息を飲んでしまいました。


 同性の私でも目を奪われるほどのものなのに、天斗はよくこれに耐えられましたね‥‥‥。


 恐る恐る手を伸ばして服の上から触れると、沈み込むような柔らかさと、少し硬い生地の感触がしました。


「あ、そういえばこちらの世界の女性はみんなブラジャーを付けているんでしたね、おぉ‥‥‥」


 ブラ越しでも分かる、この圧倒的なボリューム感‥‥‥さっきの天斗は惜しいことをしましたね。絶対に人生損してます。


「千結、すっごぉい‥‥‥——ひゃんっ!?」


 少し夢中になって千結の胸を押したり寄せたりしていると、急に自分の胸が触られて反射で身体が跳ねました。


「あれ? シアちゃんは寝るときブラ付けない派? ちゃんと着けたほうがいいよぅ」


 そんなことを言いながら、千結は私の胸に手のひらを押し当ててムニムニと揉んできます。


「んっ、つけて、ますよっ! ぁっ、いつも、ぬげちゃ、ますけどっ」


「それってサイズとかあってないんじゃないかなぁ? そこに落ちてるのは普通のブラだし、ナイトブラは‥‥‥あ~、天斗くんじゃちょっと厳しいかぁ、男の子だもんね」


「あ、あの千結‥‥‥? 手を、止め——にゃっ」


 私の胸をただムニムニとしていた千結の手が、突然湾曲を付けた絶妙な強弱の手さばきに変わりました。


 胸から身体全体にビリッとした甘い電流が走って、手のひらを通して千結に何かを吸い取られるように、今はただでさえ入らない力がどんどん抜けていきます。


「おぉ‥‥‥シアちゃん、感度も最高だよぅ! これは、間違いなくSランク‥‥‥」


「ち、千結‥‥‥やめっ‥‥‥ぅんっ!」


 必死に千結を止めようとしますが、口から出るのは小さな声ばかりで千結には届きません。


 むしろそんな私の様子に、心なしか千結の私を見る目がぎらついたような‥‥‥。


 こ、この目は知ってます‥‥‥私たち吸血鬼が人間の血を求めるときと全く同じ‥‥‥。


 そういえば、初めて千結と会った時に天斗に忠告されたことが‥‥‥確か『こいつ、こんな清楚な見た目の癖して中身とんでもないオッサンだから、外見詐欺もいいところだ』と。


 これがそういうことですか! 今思い返せば、ガールズトークの時も結構際どい所がありましたね。


 確かに、アニオタといいこの変態というしか他ない姿といい、黒髪を靡かせる普段の姿からはかけ離れてます。


「うぇへへっ、シアちゃん次は生で触るねぇ」


「——っ!?」


 私はもう声を上げることもできなくて、必死に首をぶんぶんと振りますが、千結は無視して服の中に手を入れてきます。


 仰け反って避けようとしてもそのまま覆いかぶさってくる始末で、必死に手を伸ばして抵抗するしかありません。


 しかし悲しいかな、今の私は貧弱もいいところです。夜ならば多少は抵抗できましたが、まだ日が昇っているうちは抵抗らしい抵抗などできはしません。


 こ、こうなったら不安定でも魔法を使って‥‥‥いえ、それじゃあ被害がどのようになるかわかりません! ダメです! それなら必死に叫んで天斗に助けを‥‥‥いえ、今の姿を見られるのはなんだかすごく恥ずかしいです! ダメです!


 あぁ、天斗‥‥‥許してください、シアの身体は穢されてしまいます‥‥‥。


 最後の抵抗とばかりに瞼をギュッと閉じた時でした。


 今まで私の服の中に侵入しようと蠢いていた千結の両手が突然ピクリと止まりました。



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