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第7話:トラウマ

 その地震があった次の日の朝。

寝間着姿のまま、未だ覚めやらぬ頭をなんとか稼働させて顔を洗おうと外の井戸に向かったハコミはそこで先に顔を洗っているクライブに出会う。


「あっ…おはよう」



「…っ!」


 

 クライブはハコミに挨拶を返さず、無言で横を通り過ぎる。そしてそのままクライブは朝ご飯も食べずに家を出て行ってしまう。そんなクライブの様子に首をかしげるが、昨日の”ミミック”が記載されたページを見てから態度が変ったのが気になっていた。ハコミは首をかしげながらも、用を済ましてから食卓のある部屋へと入ると既に食卓には料理が並んでおり、エプロンを脱いで椅子に腰掛けたビンベとソフィーが既に居た。



「あっ、ビンベさん、ソフィーさん。おはようございます」



「おう、おはよう」




「ハコミちゃん、おはよう。今日もまたお勉強かしら?」



「えぇっと。そのつもりだったんですが」



「…?」



「クライブさんが、あの。ちょっと様子がおかしくて」



「クライブが? どうして?」



「おいおい、あの年頃の男にはいろいろあるもんだよ。大方、”夜のオカズ”にでも困ってるだろうさ」



「お父さんって本当っ、最低!」



 ビンベのしょうもない横やりにソフィーは本気で父親に向かって怒り狂う。そしてソフィーは調理器具のフライパンを手に持つと殴りかかるような仕草をする。

 一方でソフィーを苦笑いしながらビンベは手で『どう、どう』となだめすかす。そんなやりとりを見ながらハコミはしっかりと、良く聞こえるように言葉を紡ぐ。



「昨日、ある本に書かれたものを見てからクライブさんの様子がおかしくなりました。そこには『ミミック』という怪物のことが書かれていたんですが、何か知りませんか?」



「え、なにそれ? 聞いたことないけど」



 フライパンをビンベへと振りかぶった状態でソフィーはハコミの問いに答える。一方でビンベはその言葉を聞いて眉間に皺を寄せると少しだけ考え込む。



「みみっく?なんて聞いたことないわ。お父さんは?」



「あー…ううん。きゅ、急に腹が痛くなってきた。ソフィー悪いが急いで医者のとこいって薬を貰ってきてくれないか?」



「え? こんな朝早くじゃお医者様もまだ起きてないでしょ」



「あー! やばい! 腹が! こんな痛いんじゃ今日の仕事は無理だ~」



 仰々しく腹を抱えて転げ回るビンベを横目に、ソフィーは呆れた様にため息を吐く。

そして自室から薄手の上着を取ってくると、医者を目指して家から出て行く。そしてビンベはソフィーの気配が完全に消えたことを確認すると、膝を軽く払って立ち上がる。そして椅子に座りこむと、大きくため息を吐いてからハコミを真剣な目で見やる。



「ミミック…そう、ミミック、ね」



「昔に居た怪物だとか書いてありましたが、それがクライブさんと何か関係があるんですか?」



「ふぅー、関係ね。大いにあるよ」



 ビンベはそこまで口を開くが、後を話すかどうか悩んでいる様子であった。

朝食の残りのミルクを口に含むと、ビンベは意を決したように口を開く。



「…ミミックはね。クライブの両親が死んだ原因なんだよ」

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