表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜の季節  作者: 昴流
26/27

第25話

再び静まり返った中庭。その静寂に堪えきれない様にスレイブが庄之助に問いかけた。


「あれで良かったんですか?」


「ああ…。」


「一雄君、泣いてましたね。」


「賢い子だからな、何となく気づいたんだろう。」


「そうですね。」


「……。」


「……どうしますか?」


「ん?」


「残り時間はあと1日程ありますよ?」


「そうか…。」


「また、遊びにでもいきますか?」


「…………なぁ。」


「はい?なんですか?」


「1つ聞いてもいいか?」


「ええ。」


「どうして桜の木が枯れてるんだ?」


「えっ……?」


「何か知ってるんだろ?」


「いや、その……。」


「教えてくれ。」


「それは…。」


「まさかこの命は。」


「そうですよ!あなたを若返らせたのはこの桜の命です。」


「やっぱりそうなのか。」


「いまこうして生きているのもこの桜の命のおかげです。」


「じゃ、この桜が枯れてしまったのは俺のせいか……。」


「それは違います。」


「じゃぁ、なぜ!」


「この桜の願いです。」


「桜の?」


「言わない様にと言われたのですが、この桜の精に。」


「お前、会ったのか?」


「ええ、自分の残りの生命をあなたに与えてくれと。」


「どうしてそんな馬鹿な事を。」


「それがあなたの望みだからと。」


「望み?」


庄之助は昨晩の自分の言葉を思い返した。


《庄之助は縁側に座り桜の木を眺めていた。満開の桜は風でざわめき揺れていた。


「今日も元気じゃな、羨ましいのう。ワシにもその元気があればのう。」


庄之助はうつむき溜め息をついた。


「昔に戻りたいのう。そうすれば一雄にも本当の強さってものを教えてやれるのになぁ。」》


「まさか、あの言葉を聞いて?」


庄之助は桜の木に手をついて。


「馬鹿野郎…。」


「庄之助さん……。」


「いや、馬鹿なのは俺の方だ。そんな事とも知らずに、こいつの命を無駄に使っちまったんだな。」


「だから私は何度も言ったんです!遊んでないで早くと。」


「なんでもっと早くに本当の事を……!いや、お前はこいつとの約束を守っただけか……。」


再び沈黙する2人、またスレイブが耐えきれずに。


「で、でもほら!一雄君には十分伝わったんじゃないですか?まぁ、あなたがお爺さんだとは気づいてないでしょうが。」


「そうか…、伝わったかな?」


「大切な事は伝わったと思いますよ、あなたの姿を見て。」


「そうだといいんだがな。」


「そう信じましょう、賢い子なんですから。」


「ああ…。」


「でもやっぱり、早く行け!なんて言わずにもっと話すべきだったんじゃないですか?」


「……。」


何かを考え混んでいる庄之助。


「庄之助さん?」


「なあ。」


「はい。」


「戻すことはできないのか?」


「え?」


「この命を返すことはできないのか?」


「それは……。」


「どうなんだ!」


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ