表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜の季節  作者: 昴流
25/27

第24話

一変して静まり返った中庭。呆然としている一雄に問いかける庄之助。


「大丈夫か?」


「え?あ、はい。あの、その。」


スレイブが庄之助に。


「ほら、庄之助さん。」


「ああ……。」


庄之助は少し考えて一雄に。


「もう大丈夫だ、早く行け。」


「え?それだけ?」


うるさいとばかりにスレイブを睨みつける庄之助。


「うん、でも…。」


「ん?どうした?」


「この日記をおじいちゃんに。」


手に持っていた日記を差し出す一雄。


「……そいつはじいさんがお前にやるってよ。」


「え?でも…、おじいちゃんは?」


「遠くに行っちまった。よろしく言ってたぜ、元気でなって。」


「え?どこに言っちゃったの?」


「それは…、遠いところだよ。」


「いつ帰ってくるの?」


「もう帰ってこねぇ。」


「どうして?」


「そのうち分かるさ。でも悲しむ事はない、この桜の木からいつでも見てるってよ。」


そう言うと庄之助は枯れてしまっている桜の木を見上げた。一雄は俯き今にも泣き出しそうだ。


「そんな…、帰ってこない…。」


「一雄君…。」


スレイブは心配そうに近づき声をかけるがその声は聞こえていない。泣き出しそうな一雄に庄之助は。


「また、泣くのか?」


「庄之助さん!」


「言ったろ、じいさんはこの木から見てるって。笑われるぞ。」


「ううん、泣かない。約束したから。」


庄之助は笑顔で一雄をなでた。


「そうだな、偉いぞ。」


庄之助はもう戻らない事に気づいたが、こぼれそうな涙を拭い無理に笑ってみせる一雄。


「さぁ、母さんが心配するぞ。」


「うん、ありがとうお兄さん。」


自分の家へと向かう一雄、一度振り返り庄之助にお辞儀をして桜の木を見上げた。スレイブは大きく手を振っている。そして一雄は再び帰路につく、その背中を庄之助は悲しげな表情でいつまでも見送っていた。


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ