end.
この世界は私一人。それはもう変わらない事実だ。この身が朽ちるまで私は独りで生きていくのだろう。
だけど
音楽室の窓を開けた時、そこにはグラウンドで遊ぶ子供が居た。何人も。目を疑う程に。
しかし、彼女がまばたきをした瞬間。居たはずの子供は誰も居なくなっていた。
幻覚が見えたのか。
いや、違う。
確かに目に写った光景は現実のものだった。
私以外のヒトが消えた日。あの日の事を思い出す。あの日は家から学校へ向かう途中だった。いつも通りの朝を迎え、いつも通りに登校する。そんな変わらぬ日常を過ごす筈だった。だが、気付いたら人がいなくなっていた。
違う
何かがかみ合わない。
何かがおかしい。
何かを思い出せない。
忘れてはならない、大切な事を。
気づいてしまったのだ。世界から自分以外の全ての人がいなくなったのではない。世界からいなくなったのは・・・・・・―――――-――-
私だ。
通学路を歩き、学校へ向かう途中。猛スピードで私に突っ込んでくるトラックは、あっけなく私の身体を吹き飛ばした。
ここは天国なのだろうか。さっき聞き、見えたそれはまだ生きている人達の姿を捉えているのだろうか。
わからない。でも、この窓から見える空は、透き通る空色のままだった。
彼女はその空を見上げながら、窓から身を乗り出した。