4.
日刊(大嘘)
大変遅くなってしまいました。リアルが絶妙に忙しく、文字を書く気力の一切を失っていました。
光によって舞う小さな埃が見える。
カーテンの隙間からなだれ込む陽の光を浴びてカナは目を覚ました。カバンの中にしまっておいた、コンビニで拝借したお茶とカロリーメイトを口に入れる。こういう時に保存食というものは便利である。栄養が偏るのは仕方がないが、贅沢は言ってられない。
そうしているうちに、何か違和感がある事に気づいた。
音がある。
ピアノの音が微かに聴こえるのだ。誰かが演奏しているのか。わからない。それでも人がいるかもしれないという期待だけが、彼女の足を早くさせる。
上階から聴こえる音に近づく。徐々に大きくなる音楽は軽快なリズムを奏でている。そのリズムにつられ、彼女の心も弾んでいく。
音楽室と書かれたプレートの部屋を見つける。音はここからなっている。大きな期待と、少しばかりの不安が入り混じりながらも、彼女は決心して扉を開けた。
誰もいない。
先ほどまで確かに聴こえていたピアノの音は、扉を開けた瞬間まるで最初から何も奏でていなかったかのように静寂に包まれた。
あるのは埃をかぶったグランドピアノだけであり、そこには誰もいない。
本来ならば、この怪異的な現象にホラーチックな、恐怖の感情を浮かべるのだろう。だが、彼女にはそんなものよりも、失望。裏切られた、という感情しか湧かなかった。
結局こんなものなのだ。