3.
下駄箱が左右対称に並んでいる。小さなプレートに1から6と書かれているのを見るにここは小学校なのだろう。簀子の上で、わざわざ靴を脱ぎ、適当な場所に靴を入れる。土足で立ち入っても、怒る者など誰もいないのに。
左右に伸びる廊下を特に考えも無く右に進む。無造作に進む。階段も上る。蛇口が複数並んだ水道場を通る。檸檬の形をした石鹸がまだ残っていた。
教室が並ぶ廊下に出ると、適当に教室に入ってみる。ここも扉は鍵がかかっていなかった。不用心とは思わなかった。だって私しかいないもの――――――。
誰もいない教室には数十の机、その机に所々掛けられている体操着入れやリコーダー入れ。中には教科書を置きっぱなしにしている机も在った。
黒板は良く見えないが誰かが描いた何かのキャラのらくがきが残っていた。
教室を後にして校長室を探すことにした。あそこならソファがありそうでそこでならある程度快適に寝ることが出来る、そんな単純な思考を持ちながら再び闇に伸びる廊下を歩く。
そして見つけた校長室に入ると、歴代校長の顔写真やら、生徒が獲得した賞やトロフィーが並べられている棚があった。そして天井近い壁には【結実】と書かれた習字が掛けられていた。
予想通り応対用のソファがあった。手で埃をはたいて寝転ぶ。予想以上にふかふかでよく寝れそうだった。
目を閉じ、眠りの世界へ落ちていく。