証明する者
俺の名前は皆月証明18歳。
俺はみんなができない、無理だという事が実現できると必ず証明しようとする男である。
100mを9秒台で走るなんて無理だ、できない。そう言われたらトレーニングをし、コンディションを整え、追い風が丁度吹いている時間と場所でタイム計測。結果9秒96。無理だと言った奴等にこう言う。
「できないなんて誰が証明した!」
また別の奴がセンター試験7教科もあるけど、数学苦手だから、1教科切り捨ての6教科でみんな採点してくれるなら受かるのになあ。そう言われ、俺はセンター試験で6教科しか受けず、なおかつ本試験5教科を4教科しか受けず試験に挑み見事合格。
そして今日は私立大学の合格発表の日。俺は3教科の内2教科のみ試験を受けた。結果は不合格。
俺は初めて証明に失敗した!
そんな発表を見てきた帰り道、駅のホームで考える。そういえば昔、電車に引かれても必ず死ぬわけじゃないとか話してたっけ。あまりの確率の低さに結局証明することはなかったのだが、今挑戦したら必ず失敗するだろうと思った。何しろたった今証明に失敗したばかりなのだから。そんな事を考えていたら突然背中を押された。気がつくと俺は駅のホームから投げたされ、電車が迫る線路に飛び込んでいた。俺は咄嗟に背後を振り返る。俺のいた場所には頭から足先までを覆う真っ黒なローブを着た人が立っていた。そんな不思議な格好の人がいるのに俺以外誰も気づいていないかのような、そんな風に見えた。俺の体は地面に落下していく。落ちきる前に電車に引かれるだろう。こんな事まで考えられるほどゆっくりと時間が過ぎていた。これが走馬灯ってやつなのか。そうして俺は電車に引かれて死亡した。