表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

王女の婚約者と聖女の結婚式…?

作者: 湊 悠美

聖女が出てくるのはおよそ千字ぐらいです


 ある国に王女様とその婚約者である侯爵子息が居ました。王女様は天真爛漫で、皆の心を和ませていました。侯爵子息は剣に秀でていて、騎士団長にも選ばれるような腕前でした。ですが、本人は役職に付きたがらなかったので、王女を降嫁することによって国に留める事にしました。


 嬉しいことに、王女の天真爛漫な性格は、自らが使える魔法の腕を磨きたいという考えにし、王女を魔法使いの最上位である魔導師の地位までにしてしまいました。元々王族は神の血をひいているので、王女の才能と神の血が良い具合に合わさり、彼女の魔法の精度を挙げたのでしょう。


 侯爵子息は、貴族!という女性は嫌いでしたが、魔導師の王女という、自分の背中を任せられるパートーナーは良かったので、この話をすぐ承諾しました。そんな二人ですので、政治の話や軍の話で意気投合してしまい、婚約者として決まった後でも、色気のない話ばかりしていました。


 周りは微笑ましいような、歯がゆいような気持ちになっています。王女の天真爛漫な性格は悪い方向に行かず、決して貴族と言う驕りにならない安堵。侯爵子息の脳筋ではなく、女性の気持ちも通常の男性より分かることができるという、女性陣からの安心感。

 しかし、剣の才能と魔法の才能が秀でている者。幼いころに受ける周りからの悪視線は最悪なものでしょう。そんな二人が、心の底からの笑いあえてるのは大変微笑ましい。ですが、二人共変な性格でないからこそ、婚約者らしくして欲しい!と歯がゆい思いをしているわけです。


 では、結婚適齢期の女性や男性だったかというと、二人の婚約話を聞いた瞬間に諦めていました。

 王女は、睫毛が垂れ下がり、目も垂れ目という困った顔。が、笑うと垂れなくなるので、大変愛らしく皆が癒やされていました。艶やかなふんわりと巻かれた金髪が背中まで伸び、いつもは垂れ目な目は、輝かしいと言われる程の青色で、笑っていなくても癒やされてしまうほどでした。

 侯爵子息は、騎士でしたが、第一印象では筋肉がついてないように見えるほどの細身でした。触れば、硬い触感は感じられますが。それと、金が混ざった茶髪は、サラッとした触り心地音が聞こえてきそうな程のサラッサラで。切れ長の目は知性を感じられる、深い緑色をしていました。その顔は、端正で凛凛しい顔立ちをしていました。


 つまり、王女は外見も王女様であり、侯爵子息も騎士の服装や軍服を着ていれば、物語に出てきそうな王子様であったわけです。そんな二人に見合うのは、王女(侯爵子息)居ないと大半は諦めました。諦めなかった人達は、本人達に乗り込んで行きましたが、剣と魔法の才に秀でて者に勝てるものはなく、負けて帰っていきました。また、国王や侯爵家に相談(殴り込みですよ)に行きましたが、「お前らは、才あるもの達の未来を潰すのか?ならば、お前の領地を取り上げお前の子どもの未来を潰す」と脅され、すごすご引き下がりました。勿論、諦めなかった者たちは領地を奪われ、未来と才がある子どもに託されましたよ。


 こんな長々と語って言いたいことは、二人の結婚は皆から祝福をされていたわけです。彼らの部下たちも、結婚出来なさそうな上司の婚約話に、涙を流して喜んでいました。…男女問わず肉食系は居るんですよ。


 そんな二人の婚約を祝いたいと来たのが、隣国の聖女を名乗る女性でした。その聖女は、神の使いと言われるほど美しく、その美しさから隣国の王から、側室になって欲しいと懇願されたらしいと言う話が流れるほどでした。


 聖女は、国王に挨拶した後、二人を祝いに行きました。聖女の姿を見た瞬間、王女は口を押さえて固まり、侯爵子息は、直立不動になってしまいました。

 因みにですが、二人のお付の者は、あまりの美しさから二人が固まったのだと思い、国王や隣国の使者は、目が虚ろになり、まるで死人のような表情と雰囲気をしていました。




 聖女が二人と、運命的な出会いをしてから数日後。


『王女の婚約者が、聖女との結婚式を今日開くらしい』という話題が王都に駆け巡りました。

 それには、民も大激怒。貴族さえ激怒し、二人が寝泊まりしている王城に乗り込もうとして、騎士達に止められていました。民、貴族、二人を見守っていた騎士、侍女、文官に魔法使いまで怒っている中、一番激怒していたのは、国王でも無く、息子を見守っていた侯爵でもなく、それどころが、当人である王女でもない



「…なんですってぇ!!??」



 王城に響き渡るほど、まさしく絶叫した聖女様でした。



「ちょっと、あんた!どういうことよ!!」


 聖女様に胸元を持たれ、ガクガク揺さぶられているのは侯爵子息です。実は二人の男性聖女の横に居るのですが、二人は、いつしかの国王達のように、死人の目と顔と雰囲気をしています。…多分、早い段階で止めようとしたけど、無理だったんでしょうね。


「私の愛しい愛しいあの子のぉ!婚約をぉ!せずにぃ!?私と結婚!?なに!?神である私を舐めてるの!?」


 ガクガクを激しくしながら怒鳴る聖女様。彼女の発言の通り、実はこの世界を守る女神様。この国の王族は彼女の血を引いており、『彼女の愛し子』である王女の魔法の才の発揮に、一役買ったと言われる神様です。


「落ち着け、我が君?彼の顔が真っ青だぞ」

「そうですよ、我が主。私は治癒は出来ませんよ?」


 漸く、彼の気道確保という名目で、女神を止めれるとふんだ二人の男性が止めに入ります。発言で分かるように、女神の伴侶である神様と、彼女にも仕えているとも言える火の精霊王様です


「…っゲホッ!有難うございます!!…女神様!貴女様のその特徴のあるお姿で、何故!あの方より、貴女様なんかを選ばないといけないのですか!!」


 逆に、女神様に食って掛かりそうな雰囲気を出す侯爵子息。その雰囲気を見て、首をかしげる男性陣。女神様ですら、首を傾げているいます。

 彼らが心のなかで思ってることは唯一つ。


 …彼女と会って政治関連の話しかしてない癖に何いってんの?


 その空気を読み取ったのか、ゴホゴホッと空咳をする婚約者?様。


「…兎も角!僕も不愉快なんですよ。てなわけで、乗り込みましょうか?王の元に。彼女の実力でしたら、多分もう呼び出してるはずです」


 侯爵子息の最後の一言を聞き、キランと目を光らせる女神様。対象的に、頭を抱え唸る男性二人。


「私の愛しい子だったら当たり前よ!さっさと行って切ってしまいましょう!!」

「えぇ!存在すら無かった事にしてやりましょう!!」


 元気に飛び出していく二人の後ろを、


「俺の胃ってさ、何時痛くなくなるんだと思う?」

「…我が主と結婚した限り無理だと思いますよ?代表」


 苦労人の神様と、その神様の胃を心配して、主の護衛としてついてきている精霊王様が、重たい足取りで追いかけていました。…ご愁傷様です。




「なぁ?俺は理不尽な事で、斬りかかりそうなレベルで機嫌が悪いんだ」

わたくしね?このように本人に気づかれないようにされるの、嫌なの」


 王の執務室前の護衛の騎士に、殺気を込めた笑顔で詰め寄る二人。可哀想な事に、直視してしまった護衛騎士は、腰が遠目でも分かるぐらい震えています。流石に耐えきれないらしく、扉の前から退いてしまいました。


 その瞬間、ドアを蹴り開ける二人。の後ろで護衛騎士に、ご家族でっと王都で有名な茶菓子を渡す、苦労人二人。…お疲れ様です!


「陛下!何故!何故、有名な侯爵子息の名を使い、聖女殿を引き止めてはならないのですか!?」


 その発言を聞き、瞬時に何処からか取り出した刀を構える二人。もう駄目だと、天を仰ぐ苦労人様。最悪だぁという表情をされる宰相。後ろの二人に目礼する国王陛下。機嫌が悪そうに、馬鹿を蹴る王女様。


 この様々な反応を見せる皆様の中で、唯一反応を変えなかったのは、馬鹿発言をした方です。本当に馬鹿なんでしょうね。


「消えろ!」「存在ごと無くなって!!」


 殺気を振りまきながら斬りかかるお二人ですが、王女に抱きつかれ止められました。


「自分の名前を使われたからって怒らないの!お祖母様も落ち着いて下さい!!」


 王女様が叫んだ瞬間、何処からか鐘がチーンと聞こえました。王女様の言葉を聞き、固まる馬鹿こと王弟子息。つまり、大公子息様。


「…お、おばあさま?」


 どうにか、絞り出した声はとっても震えていて、まるで信じられない者を聞いたかのようでした。そして、彼の嘘であって欲しいという願いを、潰しにかかるのは王女様です。


「えぇ、私のお祖母様こと、この世界の創世神様よ?この国では、この豊かな国にが狙われないように、加護の代わりに、何年かに一度。女神様が王族として生まれなさって、血を濃くなさるのよ?

 ほら!その証拠に、女神だけが持つと言われている、美しい銀の髪に、青い目を持っていらっしゃるでしょう?

 貴方も王族何だから、自分の髪の色が、銀の表裏一体である金である事は知っているでしょう?だから、大奥様が第四王女の、私の婚約者は金が混ざっているもの!」


 自信満々に語られた王女様の言葉は、大公子息の心を折っただけでした。もう、彼は大公の名を名乗れ無いのでしょう。寧ろ、このまま生きていられるか要られない状況です。女神の魅力という流れ弾を喰らった彼には同情しますが、流石に侯爵子息の名を語ったが皆の逆鱗に触れ、平民として生きるという生き(地獄で生き)ては居るでしょう。


「それでお祖母様?何しに来られたのですか?」


 婚約者を抱きしめながらニコニコと微笑む王女様。その様子は、とても愛らしいです。

 王女を見て、微笑ましくなった女神様は、同じようにニコニコと微笑みます。


「私の愛しい子の婚約者を品定めに来てね?私の魅力に引っかかるようでは貴女に任せられないじゃない!まぁ、この様子じゃ大丈夫わね!

 という訳で、我が息子!!」

「はいっ!!」


 急に振られて、引きつった声を出す国王陛下。その陛下を尻目に自分の仕事に直る宰相様。…宰相様、多分貴方も巻き込まれますよ!


「このまま、この子達の三ヶ月後の結婚式発表からの私の正体公表よ!!大丈夫!隣国の王も使者に扮して来てもらってるわ!早く女中頭を呼んで準備なさい!!時間なんて無いわよ!!」


 そう叫びになって颯爽と、手配に走る女神様と申し訳無さで座り込む二人。外交問題だぁ!と発狂なさる国王陛下と宰相様。お互いの顔が見れず顔を真赤にさせる、王女と侯爵子息。



 この部屋に入って、現実逃避しながら女中頭は思ったそうだ。あの女神様の血は、良いところだけ王女様に受け継がれた。私達の癒やしの王女。バンザイ!!





 ある国の王女様と侯爵子息の結婚は、政略だったそうだ。しかし、二人は一目惚れして、周りも二人の仲の良さに嫉妬の気持ちすら生まれなかったらしい。そんな二人の結婚には、ある貴族が侯爵子息の名を語り破談になるかと思われたが、侯爵子息とこの世界の創世神の証言により回避された。そんな困難を乗り越えた二人は一段と仲良くなり、二人が団長を務める、騎士団と魔法省は二人の時代から仲が良くなったらしい。

 しかしながら。二人の話を説明するときに語られる聖女の存在だけは、今も詳しい事は知られていない。隣国から来たはずなのに隣国での記録さえも残ってない。

 神の使いだとされるが………その真実は、当人達と子孫である王族しか知らない事だ。












簡単説明

王女

神の孫 神の愛子 魔法使いの最高位の魔導師 笑ったら癒し 笑わなくても癒し


侯爵子息

王族の親戚 長男 騎士団長になった 性格は、王子様!ではなく、王子様(笑)


聖女

この世界の創世神 国王陛下の母親 王女の祖母 結構自分勝手な性格


国王陛下&宰相閣下

苦労人 国王が兄の宰相弟の実は王族コンビ 外見は母譲りの素晴らしさだが、中身は勿論父親似 母親には頭が上がらず、それは妻も一緒


女神の伴侶の神様と火の精霊王様

苦労人 神様が可哀想すぎて薬の神様から貰った薬を持っている火の精霊王様 それぐらいのレベルで全神から胃の心配をされる苦労人の神様 他の精霊王様はフォローに回っている


馬鹿

王弟子息=大公子息 女神の力の流れ弾を食らった 同情の余地は女神をキレさせた時点で無し 平民の暮らしをしているが楽に生きれず寿命まで死ぬ事がない地獄

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 仲睦まじくて 善きかな?良きかな♪ 「このモヤシ省が!」 「うるさい!脳筋団が!」 「「ほう、我が(の)愛しい人の勤める省(団)がモヤシ(脳筋)だと…?」」 (ポキッ…ポキッ…)元侯爵…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ