聖杖物語(セインステッキストーリーズ)黒の剣編+(プラス)Act7
あたしはやっと、帰れた。想い人の元へ。
やっと逢えた、あの人に・・・。
あたしは、窓から差し込む陽の光を浴びながら病室の寝台に半身を起こして、二人を見つめている。
「美琴。プリント置いておくね。」
「これですぅ。」
「・・・・。」あたしが黙っていると、少し悲しそうなマコ、ヒナ。
「ありがとう・・・。」
あたしは、言葉が詰まって旨く言い出せない。
爆発寸前の感情を、抑え切れなくなっている。病室の中には、あたし達3人だけ。
マコが、「美琴、また明日来るね。」
ヒナも、「来るです。」と、寂しそうに言って出て行こうとする。
ーもう、駄目。逢えて、また逢えて良かった。-
あたしの頬を涙がつたう。
「マ・・コ・・。ヒ・・ナ・・。」
マコとヒナが、振り向く。
「え?今、なんて?」
「ヒナって、呼んでくれたのです?」
あたしのベットに、2人が駆け寄ってくる。
「マコ、ヒナ・・・。ただいま。」
「!」
マコとヒナが揃ってあたしに抱きつき、涙を瞳一杯に溜めて、
「う、嘘っ!美琴!美琴ぉ!」
「ミコッタン!」
あたしの名を、何度も何度も呼ぶ。そんな2人に涙を溢れさせながら、もう一度言った。
「ただいま、マコ、ヒナ。逢えて・・逢えて嬉しいよ。今迄ありがとう。」
「ああっ!美琴っ、美琴ぉーっ!!」
「おっ、おかえり・・なさいっ、ですっ。ミコッタン!」
2人はあたしに抱き付きながら、涙する。
「う・・ん。うん。ありがとう、2人供。」
あたしは、2人と抱き合った。その時・・・。
ドアが開いて、入ってきた人。
ーあ、ああっ!-
溢れる想い。胸が早鐘の様に高鳴る。
「美琴?」
その人が、声を詰まらせながら近付く。
マコとヒナが、あたしからそっと離れる。
「記憶が・・・。」その人はそう言いながらあたしを見つめる。
ーああ、やっとやっと・・・。-
あたしは、その人にそっと右手を差し出し、ブレスレットを見せながら微笑んで、
「・・ただいま。虎牙・・約束・・守ったから。・・帰れたから・・。」
微笑みながら、溢れる感情を爆発させる様にベットから飛び出し、愛しい人に抱き着く。
あたしを抱き留めてくれる虎牙。
「お帰り、美琴。」
あたしをじっと見つめる、この瞳。
ーああ、帰れたんだ。あたしっ!あたしは虎牙の元へ、帰れたんだ。-
涙が止めど無く零れ落ちる。
あたしは虎牙の瞳を見つめ続ける。もう爆発した感情は止める事が出来ない。
「お帰り、オレの・・美琴。」
虎牙が、優しくそして強く抱きしめて言ってくれる。
「うん、ただいま。」
あたしはそっと呟くように、言葉にした。
あたしと虎牙の視線が交差する、そしてどちらとも無く見詰めた瞳を閉じて、
「んっ!」
口づけを交わした。
ー幸せな時がやっと来てくれる。あたしと虎牙の・・・。-
あたしは止めどない涙を流しながら、虎牙の愛を素直に受け止めて心に思った。
黒の剣編 +(プラス) 美琴ハッピーエンド 終わり。
どうも、こんちばんわ!さば・ノーブです。
今回は、エピソード5での最期から4ヵ月後の話ですが、如何でしたか?
エピソード5の最期で、虎牙と美琴が再会出来ましたがあまり幸せ感が無かったので、ハッピーエンドを追加してみました。この後も、美琴の冒険は、闘いは続いていくのですが、それはまた、別の機会にご紹介していきたいと思います。
それではまたの機会に・・ごきげんよう。




