聖杖物語(セインステッキストーリーズ)黒の剣編+(プラス)Act4
マコとヒナは、美琴がどうして記憶が失われたのか、何故美琴を止めなかったのか、想いを巡らす。
病院から出たマコとヒナは、人影が疎らなガレージへと歩む。
「ヒナ、アタシ・・思うんだ。どうしてあの時、美琴を止めなかったんだろうって。」
マコは右手の甲を擦りながら、ヒナに言った。
「マコッタン、もうそれは言わないって言ってましたのに・・・です。」
ヒナは、メガネを直しながら答えた。
「美琴に、美琴に記憶が戻らなかったらアタシ、ずっと後悔してしまう。喩え、もう一度友達になれたとしても・・・。」
マコの瞳が潤む。
「マコッタン、しっかりして。ミコッタンは必ず戻って来るのです。・・・約束したじゃないですか。ミコッタンが、約束を忘れる筈がないじゃないですか。ワタシは、たとえどんなに待っても、決して諦めません。だって、ワタシ達の絆は、6年間の想い出は、誰にも消せませんでしたから。そう、獣皇妃ですらも・・・。」
「・・・ヒナ。そうだったな。アタシ達の記憶でさえ戻ったのだから。きっと、美琴も戻って来るよな。」
「ええ。ワタシはそう思います。・・です。」
ヒナは、自分のカバンでポンとマコをこつく。
<トサッ>鞄からプリントを入れたルーズリーフが落ちた。
「あっ!ワタシ、肝心なプリント、渡しそびれてました。・・です。」
ヒナが慌ててルーズリーフを拾う。
「はははっ、ヒナも、美琴病がまわったか。」
マコが、笑顔になってヒナの頭に手を置く。その右手の甲には、薄っすらと何かの紋章の様な痣が浮かんでいた。
「んー。もう、ミコッタンが聞いたら、怒りますです。」
頭をわさわさされて、ずれたメガネの奥から片方が金色に輝く瞳で、マコの笑顔を見上げて、ヒナも微笑んだ。
晴天の空の下、ガレージで2人が話している所に、美琴の義兄虎牙が、車に乗る為に出て来た。
「あっ、虎牙兄さん。」
二人に気付いた虎牙が、
「ああ。マコちゃん、ヒナちゃん。何時もありがとう。」
「いいえ、美琴の事が心配で。・・・もう、4ヶ月経ってしまいましたね。」
「ああ、でも、まだ。」
虎牙が、少し言いよどんだ。
「記憶が、戻らないです・・か。」
ヒナが寂しそうに答える。
「病院の先生も、何か強いショックを与えられれば、戻る可能性が有るって言ってましたね。」
マコも、虎牙に辛そうに言う。
「今は、そんなショックを与えない方が、良いかもしれませんね・・です。」
ヒナが無理強いを諌めて、虎牙を仰ぎ見る。
「ああ、解ってるよ。心配してくれてありがとうな。」
「いいえ。アタシ達、また3人で一緒に居たいだけなんです。昔みたいに笑って話し合う事が出来たら・・うっううっ。」マコが、涙を拭おうともせず話す。
「アタシ達、6年間ずっと一緒でしたから・・。すみません。お兄さんの方が、ずっと辛いのに。ごめんなさい。」
マコが、虎牙に詫びる。
「いいんだ。でも、美琴は幸せだな。こんな友達が居て。」
「ワタシ達、絶対諦めないの・・です。」ヒナが言う。
「必ず、必ず美琴さんは!ミコッタンは帰ってきます!」
「ああ、オレもそう信じているよ。・・・オレ、少し買い物に行って来るから。」
片手を上げて、虎牙が車へ向う。
「あ。・・アタシ達、学校のプリント渡しそびれちゃったから、もう一度戻ります。」
「そうかい?ありがとう、2人とも。」
そう言って虎牙とマコ・ヒナは、別れた。
3人の思いをよそに、美琴は二人の剣士と出会う。
その一人と出遭った事により、光を取り戻す。
青空の下、その手に再び・・・。
次回掲げたその手に・・。
次回も読んでくれなきゃ駄目よーん!




