聖杖物語(セインステッキストーリーズ)黒の剣編+(プラス)Act3
美琴は病室の中で思った。
あたしは意識の中で、暗い闇の中を彷徨っていた。
あたし・・・どうしちゃったんだろう。
どうして・・記憶が失われてしまったんだろう・・・。
暗い暗い闇の中で、あたしはひたすら彷徨っていた。光を見つけたい一心で・・・。
ー此処は何処なの?それにあたしはどうしちゃったの?光が消えたあたしの世界。・・・死んでしまったのかな・・何も見えない。此処から出たいのに、どうしても出れない。・・・でも、何故だか諦められない。どうしてかわからないけど、あたしを待っている人が居る気がする。その人に会いたい。その人に会わなければいけない気がする。・・・だから、あたしは彷徨っている。-
あたしは、意識の中、暗闇の中で一人歩んでいく。
ーでも、これはあたしの意識の中の話。実際は生きている。体も動くし、目も見える。音も聞くことができる。あたしの記憶が失われてしまった事を話してくれる・・この男の人。あたしのお兄さんらしいけど、どうしても思い出す事が出来ない。とても大切な事を忘れている。-
あたしは病院のベットの中で、体を起こしてカレンダーを見た。
ーあたしが気が付いてから、もう4ヶ月になるんだ。-
「じゃあ、美琴。また来るからね。」
「お大事に・・です。」
「ええ。ありがとう。さようなら、西野さん、野間さん。」
2人のあたしの友達だった人が病室から出て行く。そして兄という人が、
「美琴、オレも少し出てくる。また後で来るから。」
そう言って病室から出て行った。
ポツンと一人で病室に居ても気が滅入る。窓の外を見てみると、
「今日は綺麗な空。・・・少し外に出てみようかな・・・。」
あたしは靴を履いて病院の庭に出てみた。
ーああ。いいお天気。-
見上げれば、何処までも続く青い空。病院の裏庭で陽を浴びてあたしは、ゆっくり歩いていた。
その時、横の林で見慣れない姿の人物が居た。
ー何?あれは?鎧?ー
白銀色に輝く鎧を着た二人が、剣を持っている。
「何かの撮影かしら?」
<ズキン>
ーいっ痛い!頭の中が何かを叫んでいる。-
あの2人を見ていると、頭の中が痛くなってくる。頭の中で誰かがどんどんと、叩いているみたいに。
あたしの前で、2人が持っていた剣を振り下ろすと、瞬く間に姿が少女の姿に変わった。
ーああ。この光景、何処かで見たことがある。-
<ズキンッズキンッ>
頭が割れそうな位痛い。眩暈もする。
一人の少女が、あたしの方を見ている。
あたしの中で、誰かの叫び声がする。
<ピンク水晶>声が頭の中で告げている。
美琴の病室から出たマコとヒナは、思った。
あの日、どうして止めなかったのだろうと・・・。
次回友情と焦燥
次回も読んでくれなきゃ駄目よーん!




