聖杖物語(セインステッキストーリーズ)黒の剣編+(プラス)act1
あの壮絶な闘いから、はや4ヶ月が経っていた・・・
魔王が滅ぼされても、魔獣鬼達は未だに人を襲っていた。
そんな西都街に爽やかな風が吹いた。学園中等部の制服を閃かせて、一人の少女が走りぬける。
・・あの闇に向って・・・
西都学園から下校中の生徒達。
そこを、元気良く走り向ける少女がいた。
「おーいっ、ミキィ!マケド寄ってかない?」中学部の制服を着た女の子が呼び止めるが、
「ごめーん!今日は駄目なんだ、また誘ってね!」返事を返すが足は止めなかった。
走り続けて、やがて街外れの小高い丘にある病院の林に来た。
「ここね・・・。」
少女の目の前には、闇に通じる道があった。
少女は右手を胸に当てて何かを唱えて、つぶらな瞳を見開いた。その右手には、銀に輝くブレスレットが袖口から見えた。
ー古来より聖なる者と、邪なる者との闘いは続いてきた。闇より現れ人の魂を喰らう魔獣。その闇から人を守る力を持つ獅騎導士。彼らの闘いは今夜も・・・-
「きゃああっ!」女の子が闇の中で悲鳴を上げて倒れこむ。
「ひっひっひっ、旨そうだ。喰らってやるぞ、その魂を・・な!」闇の中から不気味な姿を現したバケモノが、女の子に迫る。
「ひっ!」その姿は醜く、まるで何かの動物を半分人間と混ぜ合わしたようだった。
女の子は近付いた化け物に、許しを請う。
「嫌、来ないで!近寄らないでっ!」
その姿形、狸と人間のキメラの様なバケモノから触手が伸びる。
「ひいっ!」とうとう女の子は気を失った。
触手が女の子に触れようとした、その時!
「待ちなさい!式鬼!」
学園中等部の制服を着た少女が、狸の式鬼を指差し吼えた。
面食らった様に、
「誰だ!貴様っ!?」式鬼が驚愕しながら言う。
「闇の結界に入る事が普通の人間に出来ると思う?」片方の手を腰に当てて、右手で式鬼を指す。
「なんだと!キサマは一体っ?」バケモノが言う。
少女は右手を高く高く掲げて、
「アタシか?アタシは・・・守りし者!」
掲げた右手のブレスレットが、光を放ち出す。その光の中から剣が出現して、
「獅騎導士!虹の豹・美姫!」
剣を握り締めて、勢い良く、振り払った。
少女の頭上に魔法陣が現れ、その中から白銀に輝く鎧が美姫の身体を覆う。
光が消えた後には、<ガオルルルッ>雄叫びを上げて豹の鎧の騎士が剣を構えていた。
式鬼が、身構える前に騎士が飛んだ。
「獣破斬!」
式鬼は美姫の一撃で声を上げる間もなく、粉々になって消え去った。
「ふんっ、他愛ない。」
美姫は、剣を振り下ろして、鎧を魔法陣に戻した。
髪を手串で靡かせて、剣をブレスレットに替える。
「ふうっ。」一仕事した後の様に、一息入れた美姫に突然声が掛かる。
魔獣鬼を倒した美姫に向って、声を掛けたのは・・・
「どうして・・、まずい・・見つかっちゃった・・。」
がんばれ!美姫。負けるな剣士!お前の未来は・・明るいかも・・・。
次回予告。act2・あの・・輝き。
次回も読んでくれなきゃ駄目だすーん!
どーもー!さば・ノーブです。
聖杖物語黒の剣編のその後の物語です。
本来はエピソード5で終了しました、黒の剣編の特別編です。
自分なりにあの終わり方を選択しましたが、あまりに可哀相でしたので・・・
なにせ物語の真の主人公が、記憶喪失のままって言うのも問題があって、ですね。
これから続く物語にも、真聖巫女、獣皇妃として頑張ってもらう所存ですから・・。
おっと、口が滑った・・・。
では、これからも聖杖物語を応援宜しくお願いします。
さば・ノーブ